株式ニュース バックナンバー 2000年6月分

2000/06/30(金)

 中低位株に対する物色意欲は旺盛だったものの、米国株安を映して値嵩のハイテク株に利益確定売りが終日継続し、日経平均は4日ぶりに反落。
 ドコモ、ソニー、NECが反落したほか松下通、アドバンテストが安値圏で推移。ソフトバンク、光通信も下落した。証券・銀行株の一角が軟調。電線、非鉄株が反落し、個別に雪印、そごうが安い。半面、鹿島、三井不など建設・不動産株が堅調を持続し、薬品株が軒並み上伸。丸紅、東ガス、グンゼ、住友化など中低位株が軒並み人気を集めた

。 日経平均は後場、一時17500円台を回復する場面もあったが、大引けでは月末と週末が重なりポジション調整の売りが広がり、4日ぶりに反落。と言っても時価総額の大きな値嵩情報通信関連株の値下り分130円があることを考えると、指数以上に相場全体は底堅いとの見方が有力。先週から外人が買い越しに転じるなど、需給の好転を背景に週明けの相場に強気の声が増えてきた。国内景気の回復傾向や、予想以上の企業収益の伸びも相場の先行きを明るいものにしている。

(日経平均大引け17411.05▲64.85 出来高8億7214万株)

【来週の株式展望】

 28日の米FOMCで金利据え置きが決定し、米国株はこの日小幅な上げを演じたが、翌29日は企業収益悪化懸念や利上げ一服の材料出尽くし感から、NYダウ、NASDAQ指数共々反落である。
 米国はFOMCの後、7/7の6月の雇用統計と、7/11から本格化する第2四半期の決算発表に焦点が当てられることになったが、決算発表は今までの利上げ実施から伸び悩みが懸念されているが、94年時と同様FFレートは名目成長率を上回っておらず、3%成長の巡航速度に軟着陸が可能であり、IT投資の再加速で企業業績も拡大基調を維持するものと思われる。
 米株式の本格反騰の条件は、1)利上げ懸念払拭、2)米経済が巡航速度に落着くこと、であり8月以降のFOMCで利上げ懸念が残っている現況では、本格上昇は望むべくも無いが、それでも次回のFOMCまで2ヶ月間の空白期を迎える事から、7月から8月にかけてのサマーラリー相場は十分期待できると踏む。

 国内では、日銀のゼロ金利政策解除の時期を巡り論議を醸し出しているが、7/17の日銀金融政策決定会合でもゼロ金利政策は維持されると判断する。ゼロ金利解除には家計統計を見る必要があり、7/4の日銀短観は企業部門の統計を見るに留まることになろう。日銀サイドも個人消費に最大の注意を払っており、7月下旬に九州・沖縄サミットも控えていることからも、7月中のゼロ金利政策解除は時期尚早もいいところ。

 7/4の森政権の第二次内閣が発足し、その後は景気回復を確実にするために景気重視の政策を打ち出すことが期待でき、日本株式も米国株式同様、下値切り上げ型の堅調な相場展開を予測する。

 日経平均の転換足のレンジは16950円〜17666円であり、17666円抜けが上ブレのポイントとなることは言うまでもないこと。

2000/06/29(木)

 米FOMCが利上げを見送り、米国株市場が反発に転じたことで安心感が広がった。これを受け幅広い銘柄に買いが入り、ほぼ全面高となり日経平均は一時17500円台を回復。
 ソニー、富士通が高くドコモがは反発。キヤノン、トヨタの国際優良株の一角が堅調。ソフトバンクも反発した。電線、商社株が賑わい化学、非鉄の一角や証券・銀行株が軒並み高となった。半面、NTTが反落。東芝が利食い売りに安く朝高のTDK、京セラは値を消し鉄鋼株が甘い。

 出来高、売買代金ともに増加し、市場エネルギーの拡大からムードは明るくなっている。先高感は強まってきたが、3日続伸の後だけに利益確定売りも出やすく、上値は重い状況となってはいる。

(日経平均前場・17440.33△70.16 出来高4億690万株)

2000/06/27(火)

 米株高を受け、値嵩ハイテク株、中低位株ともに買われるほぼ全面高の展開となり、日経平均は4日ぶりに反発し17000円台を回復した。
 NTT、ドコモの情報通信株が買われ富士通、松下のハイテク関連株が値を上げた。化学、食品、鉄鋼の一角は堅調。個別に225銘柄への新規採用が決まった資生堂が年初来高値を更新。半面、石油株は値を下げ、電鉄株は甘い。

 NASDAQの反発を受け、IT関連株やハイテク株が値を戻して始まった後、中低位株など幅広い銘柄に買い注文が入り、3日ぶりに17000円台乗せで前場を終えた。3日続落の後だけにそろそろ買い場との読みが働いた上、新政権発足で景気刺激策が打ち出されるとの期待感も強まっている。

(日経平均前場・17098.39△172.99 出来高3億2569万株)

2000/06/26(月)

  事前の予想通り、衆院選で与党が絶対安定多数を確保し、積極財政政策が継続される見通しとなり下値不安は後退したものの、選挙結果が既に相場の織り込み済みだった上、前週末の米ハイテク株安を受けて利益確定売りが先行し、日経平均は3日続落。
 NTT、ドコモが下落。ソニー、日立も軟化。ソフトバンクが安く松下通、東エレクも値を下げた。銀行株が軒並み安となったほか薬品、電線、非鉄の一角が売られた。半面、不動産、ゼネコン株が総じてしっかりで、NECが上場来高値追いとなったほか、富士通が堅調。東芝が切り返し、石油株が一斉高に。そごうは4日続伸。

 与党の絶対安定確保と言っても民主党が大躍進し、民意は構造改革の進展も期待しているとも受け取れ、勝利者無き選挙後の今後の政権・政策動向を見極めようとの雰囲気も強い。規制緩和の遅れを気にする外国人投資家の評価も気になるところで、取り敢えず利益を確定しようとの動きも見られる。
 28日の米FOMCや来月上旬の日銀短観発表を控え、積極的に手掛ける地合にないこともあり、しばらくは模様眺めムードが強まる展開にならざるを得ないと見る向きが一般的だ。

(日経平均前場・16802.58▲160.63 出来高2億1236万株)

2000/06/23(金)

  週末に加え、衆院選を前に見送り商状が強まったことから、引けにかけIT関連株、ハイテク株を中心に利益確定売りが出て日経平均は続落。
 ソフトバンク、ドコモなど情報通信関連株が値を下げたほかソニー、日立などハイテク、電機株が売られ自動車、銀行、繊維株が軒並み安。半面、紙パルプ、食品、薬品の一角が確り。商社、石油株も堅調に推移した。

 朝方は米国株の反落を嫌気し、売り先行で続落して始まった。しかしながら下値への抵抗感は強く、売り一巡後は機関投資家による押し目買いが入り、切返す展開に。市場関係者の間には「公的資金による買い支え」とする見方もあったが、後場に入ると週末で動きづらい上、衆院選の投票や週明けの米FOMCを控え、手掛り材料難から様子見気分が広がって17000円台を挟んだ小動きに終始。本格的な上昇局面になるには時期尚早ではあるが、先行き不安感は解消し、投資マインドは明らかに好転に向かっているとの強気の見方が増えている。

(日経平均大引け16963.21▲142.80 出来高5億9691万株)


【来週の株式展望】

 来週の株式相場は、25日の衆院選の結果や27日、28日の米FOMCでの金融政策の行方を注視する展開となろう。衆院選は連立与党が安定多数確保まで株式市場は織込んでおり、連立与党が惨敗とならない限り中立要因と考える。森政権の退陣は、連立与党が安定多数254議席を確保しても自民単独で229議席を下回った時。この場合は後継者選びに焦点が当てられることになります。

 株式市場にとっての最悪のシナリオは、連立与党で241議席に満たない時。民主党の鳩山由紀夫氏代表を首相とする鳩山政権誕生の芽が出てしまい、政治の枠組みが変化し財政再建ムードの高まりから、株式市場は波乱に見舞われてしまいましょう。
 米FOMCでの金融政策は、利上げが見送られる公算大。仮に0.25%の利上げが実施されてもむしろ打ち止め感に繋がり、これを好感した買いが入りNY株式はサマーラリーが期待できることになりましょう。
 28日の日銀金融政策決定会合では、ゼロ金利政策継続の見込み。7月4日の日銀短観発表前の解除は考え難いからである。

 国内景気や企業収益などファンダメンタルズが改善傾向にある上、外国人投資家の売り圧力も後退の兆しが見られ、需給改善の好転から相場全体の下値不安も薄らいでおり、週前半のもた付きは好買い場を提供することになろう。 25日線(23日現在16666.98円)目途に押し目買い方針。

2000/06/22(木)

 前日の米国株高を受け、買い安心感が広がり、IT関連株を中心に買いが入り、日経平均は4日続伸。ザラバベースでの戻り高値を更新した。
 NECが上場来高値追いとなりソニー、富士通も値を上げNTT、ドコモも上伸。自動車、流通、不動産、証券の一角が確り。古河電工が4日続伸し第一製薬は個別物色に急伸。半面、鉄鋼、造船の低位大型株が安く住友化、東レも軟化。JAL、ANAが利食い売りに押されたほか、マツダが年初来安値を更新。

 米国株の落ち着きを映し、下値不安が後退。信用取引の需給バランスが改善しつつあり、市場エネルギーも増加傾向を示し、市場は中間反騰に向かいつつある。ただ、目先は日経平均が3日間で900円も急伸したことから、上昇ピッチの速さを警戒した利益確定売り圧力が強いのも事実。国内機関投資家からの買い意欲は感じられるが、外国人投資家は売りこそ手控えてはいるが、様子見姿勢に変化はなく、一本調子の上昇には力不足の状態である。
 テクニカル的な節目となっているザラバベースで6月5日に付けた戻り高値17261.87円を上抜けたものの、この水準から買い上がろうとの雰囲気はない。
 月末にかけての衆院選やFOMC、来月初めの日銀短観など外部環境をしっかりと見極めようとの意識も働くことから、上値の重い展開はしばらく続きそうだ。

(日経平均前場・17345.94△135.86 出来高3億3966万株)

2000/06/20(火)

 NASDAQなど、米国株市場の上伸を好感した買いが主力の情報通信関連株を中心に入り、日経平均は大幅反発。
 富士通、NECなど主力ハイテク株が軒並み値を上げ、東エレ、京セラも堅調。NTT3社が揃って値を上げ、ソフトバンクも反発。自動車、薬品、化学の一角が値を上げた。証券株も小締り、個別に東亜合成、日産ディ、五洋建、ダイエーも物色人気を集めた。半面、板硝子、旭硝子が利食い売りに押され、反落。赤井、シントムの低位株や、銀行株の一角も軟調。

 シカゴ(CME)の225平均株価にさや寄せする形で、日経平均は寄り付きから続伸。総選挙や米FOMCを控え、基本的には見送りムードが強いものの、先週つけた16300円近辺で底を固め、改めて17000円台を目指しながら下値を徐々に切り上げる格好で、堅調に推移し始めている。特に昨日までとは打って変わり、売買代金の上位にNEC、NTT、ソニーなどのいわゆる主力銘柄が顔を揃えたことが相場のムードを明るくしている。
  このところの軟調相場の中でも、中低位の情報通信関連周辺銘柄を買う動きは強まり、物色意欲が強くなっていたが、本日の動きは主力銘柄から遠ざかっていた投資家が戻ってきて、全体相場が次の上昇局面に入る契機となるのかを読み取るためには重要だとの見方も出ており、市場はこうした主力銘柄の復調が継続するのか見守っている状況である。

(日経平均終値・16907.55△316.20 出来高6億5539万株)

2000/06/19(月)

  値嵩の情報通信関連株をはじめ、銀行・証券株に買いが入り、日経平均は5日ぶりに反発。
 ドコモが5日ぶりに反発。アドバンテスト、東エレなど半導体関連が続伸。鉄鋼・造船の一角が強張り、JT、キリンも上伸。電力株が続伸しJAL、板硝子などが年初来高値を更新。半面、ソニーが反落。セブンイレブンが連日の安値更新。商社、不動産の一角が下落し、ソフトバンク、光通信が反落。三菱マテリアル、日東紡、東ガスも小甘い展開となった。

 日経平均が5日高値から前週末まで5%の下落となっていたことで、さすがに突っ込み警戒感が台頭。相場の足を引っ張っていた値嵩情報通信関連株をはじめ、銀行・証券株が落ち着きを取り戻し、証券自己、個人投資家による中低位株の循環物色が継続した。
 ただ、市場エネルギーが減退していることから、前場段階では株価の戻りは鈍く、相場の方向感はまだ定まっていない。また、NY株が景気減速による業績の悪化懸念から、1万500ドルを割り込むなど先行き不透明感が漂っており、今しばらくは上値の重い展開を余儀なくされるとの見方があった。

 この日取引開始したNASDAQジャパンは、新規公開のスギ薬局やデジタルデザインなど4銘柄が公募価格を上回って穏健にスタート。その後、この2銘柄を中心に堅調な推移を示した。

(日経平均前場・16506.74△188.43 出来高2億8861万株)

2000/06/16(金)

 値嵩の情報通信関連株やハイテク株に押し目買いが先行したが、買い一巡後は週末ということもあって様子見気分が強まり、方向感の定まらない展開となり、平均株価は小幅ながら4日続落。
 ドコモ、京セラ、富士通などが下げ、シャープが年初来安値を更新。証券株が続落し鉄鋼、薬品、不動産の一角や個別に三洋電、古河電なども軟化。半面、ソニーが9日ぶりに反発。松下通、アドバンテ、東エレが上伸し銀行、電力株が軒並み高。造船、非鉄の一角や板硝子、富山化などが買い人気を集めたほかSバンク、光通信が上伸しJT、JR東日本などが一段高となった。

 市場では、ここでの調整はファンダメンタルズの悪化ではなく需給関係の崩れに起因していると見る向きが多く、平均株価の寄与度の大きい値嵩株への外国人投資家の利益確定売りが止まるまでは、下値模索の展開が続くとの見方が有力。尤も、16000円近辺では国内年金など機関投資家の押し目買い意欲も強く、強弱感が対立する水準に差し掛かろうとしている。

(日経平均大引け16318.31▲20.39 出来高6億5340万株)


【来週の株式展望】
 日経平均的には、5/26の安値15780円から6/5の高値17261円までの上げ幅の半値押しである、16500円台の押し目がいいところと判断していたが、週末である本日の株価は16318円であり、予想外の下げを演じてしまっている。

 外人売りが再び騰勢を強めたことで、投資マインドが後退。TOPIXに至っては安値更新の恐れも出てきた。来週前半相場でTOPIXは、転換足の重要な節目である1490ポイント(終値ベース)を維持できるかどうかがポイント。日経平均は16518円が下値支持線として作用するので、安値更新は何とか逃れそうである。

 本日の計測では、STC指数のKラインは日経平均が8.2ポイント、TOPIXが8.9ポイントと、共に10ポイントを下回り、売られ過ぎゾーンに達した。来週19日にはT・S波動日足VOLのエネルギーラインも日経平均、TOPIX共々20ポイント割れの売られ過ぎゾーンに届く見込みであり、押し目買いの好機と捉える事ができる。

 海外勢の売りが気に懸かるが、外人売りは1)景気回復が本格化しない、2)経営改革が進まない、3)ゼロ金利政策解除の検討、4)総選挙後の政権の経済政策が不透明、等が背景にあるものと考えられるが、米系ファンドの第2四半期決算に伴う利益確定売りがかなりの部分を占めており、外人売りは来週で峠を越す可能性が強い。欧州筋は、日本企業の収益回復、円高ムード、IT革命の進展、アジア市場の回復等を評価しており、流動性の高い割安感の目立つ個別株には買い姿勢を強めるものと判断している。

2000/06/15(木)

  米国市場の先行き不透明感に加えて、新規材料難から様子見気分が強く、日経平均は続落。
 銀行株が軒並み年初来安値を更新したほか、ソニーが8日続落。NTT、キヤノンなど情報、ハイテクの一角が下落しソフトバンク、光通信が反落。造船、鉄鋼などの低位大型株や、先駆した三菱マテ、富山化、日東紡など中低位銘柄も値を消した。半面、NEC、富士通が反発。建設、不動産、薬品の一角が強張った。個別に大商いで板硝子、川重、東ガスなどが年初来高値を更新するなど、銘柄によっては物色意欲は旺盛。

 米国株の先行きが気になる市場参加者が多いことが、見送り商状に繋がっているとの見方がなされているが、米国では14日に発表された5月の消費者物価指数が、前月比0.1%増で予想の範囲内となったほか、今月に入り景気の減速を示す経済指標の発表が相次いでいるため、次回のFOMCでは利上げが見送られる公算も出てきた。
  と言っても、NASDAQとの連動性を強めている東京市場では、「米国の減速に伴いハイテク企業の利益成長率が鈍化する」との懸念から、値嵩ハイテク株には引続き利益確定売りも継続。市場エネルギーが減退する中で、物色対象の矛先が中低位株に向かってはいるが、買い一巡感の台頭から相場全体は手詰まりの状態となっている。

(日経平均前場・16500.16▲154.26 出来高3億731万株)

2000/06/13(火)

  前日の米国株安を映して、値嵩情報通信関連株を中心に売りが続き、日経平均は反落。
 NTT、ドコモが下落しソニー、京セラなどの値嵩ハイテク株が安い。自動車、商社、銀行、証券株などが軒並み安となり、先駆した化学、繊維株の一角も利食い売りを浴びた。半面、三菱マテが商いを伴い急伸。鉄鋼、造船、海運の大型株が値を上げた他、三洋電、セントラル硝子、宇部興が確りの動き。

 日経平均は反落したものの、中低位の材料含み株への物色意欲は旺盛。日経平均が下げていると言っても、市場では暗いムードは感じられないとの声が大勢を占めている。前場だけでも年初来高値を更新した銘柄は86にも上ったほか、東証1部の値上がり銘柄数は722銘柄と、値下り銘柄数528を上回り、全般底上げ相場が進んでいることが判る。ただ、物色対象が広がり過ぎの感は否めず、中低位株の水準訂正もそろそろ限界に近づいているとの見方もあり、今後の展開は読み難くなってきた。
 値嵩株の調整局面は依然として続いており、長期調整局面から抜け出せない状況で、相場の次の主役が見出せないまま日柄調整が今しばらくは続くとの慎重論も底流には流れている。

(日経平均前場・16842.84▲137.77 出来高4億7770万株)

2000/06/12(月)

 中低位株が幅広く物色されたものの、25日の衆院選や27―8日の米FOMCを控え、見送りムードが強く、日経平均は小幅高に留まった。
 NEC、富士通が高く、朝安の京セラ、東エレは切返し、NTT、ドコモがしっかり。TDK、キヤノンが堅調。繊維株が軒並み物色されたほか、化学、非鉄、電線株が賑わった。半面、ソニーは5日続落。シャープ、松下が軟調で、ソフトバンク、光通信は大幅安。薬品、銀行株が安く、電力、ガスの公共株も全面安となった。

 市場では、前週末の1―3月期GDP発表やSQを終えたものの、月末の衆院選や米FOMCを控え、値嵩株を積極的に買うのは避けようとのムードが漂っており、これに代わって業容の変化の可能性のある繊維、化学、非鉄などの中低位素材株が主役に踊り出ている。日経平均は小幅安で推移してはいるが、東証1部の値上がり銘柄数は値下り銘柄数を大幅に上回っており、新高値銘柄数が80以上にも上っていることからも、業績などの裏付けのある銘柄を積極的に物色しようという気運は高まっている。

(日経平均前場・16920.14△58.23 出来高3億3720万株)

2000/06/09(金)

 需給面で懸念されていたSQを無事通過したものの、週末に伴うポジション調整の売りが先行したことや、1―3月期のGDPが事前の期待を下回ったことで盛り上がりに欠ける展開となった。加えて、米国株の波乱要因と見られる今夜発表の米5月の卸売物価指数が気にされ、市場を弱気に傾けさせた結果、日経平均は5日ぶりに17000円台を割り込んでしまった。
 ソニーなど値嵩ハイテク株が下落し、DDI、ソフトバンクなどが軟調だったほか、流通、薬品の一角や銀行、証券が総じて安く、電化など先駆した化学株も利食い売りを浴びた。半面、ドコモ、NTTが上げ個別に富士写、本田が確り。低位株では東洋紡、日東紡などが軒並みに買われ、住化、三菱化など出遅れていた総合化学株も堅調。新日鉄、東ガス、三菱重や光通信が高い。

 GDPの数字が決して悪かった訳ではなく市場がクールに受け止めた分、ゼロ金利政策の解除や財政再建が先送りされる公算が出てきた、といった強気筋に味方する意見も出ており、個別物色気運が高まる中で押し目形成後の週明け以降の相場に期待を繋いだ格好だ。

(日経平均大引け16861.91▲142.43 出来高11億0446万株)


【来週の株式展望】

 本日(9日)寄り前に発表された1―3月GDPは、前期比2.4%増、年率換算でプラス10%の成長となった。これにより1999年度の実質GDP成長率は、前年度比0.5%増と政府見通しのプラス0.6%は達成できなかったものの、それでも3年ぶりにプラス成長に転じた。
 予想を若干下回ったが、前日発表された法人企業統計や家計調査、機械受注など直近の経済状況を示す数値が改善基調を示しており、景気回復は明らか。景気敏感株である内需関連を中心に、引続き株式相場は上昇シナリオを描く事になろう。

 日経平均は先月5月26日に16008円の年初来安値を付けたが、この日T・S波動日VOLのエネルギーが19.9ポイント、STC指数のKラインが9.6ポイントと、共に底値ゾーンに達した事で目先の底打ちを確認。又、指摘通り30日には人気ラインも16.8ポイントと底値ゾーンに届いたことから、6/1号では「日経平均は17266円程度までのリバウンドが考えられる」としたためておきましたが、6/5にはザラバで17261円をつけ、ズバリ読み通りの上げを演じた。

 問題は今後の相場。米国では今週末の5月生産者物価指数、13日の5月小売売上高と重要指標の発表が相次ぐ。引続き景気の減速を示すと思われるが、6/28のFOMCまで米株式は神経質な展開を余儀なくされましょう。
 国内に目を向けても、日銀のゼロ金利政策の解除の検討、25日の衆院選挙と不透明要因が多い。連立与党が敗北なら、景気回復優先の経済政策に狂いが生じてしまう懸念があり、総選挙の結果が気に懸かるところ。基本的には押し目買い有利の相場であるが、吹き値では手堅く利を入れる事もお忘れなきように。

 狙い目株は、業績や将来のビジネスモデルが確りしている企業、リストラ進展でコスト削減が図れ、収益に結びつく企業(IT関連の中〜低位の周辺銘柄なら尚可)となります。

2000/06/08(木)

 昨日のNYダウ、NASDAQがともに上伸したことから日経平均も高寄りし、一時106円高まで反発したがその後は騰勢は続かず、小幅高でもみあう展開となった。明日のSQやGDP、米卸売物価指数の発表を控え動き難く、様子見ムードが強まっている。
 値嵩ハイテク銘柄や国際優良株が冴えない中で、化学、繊維など中低位株には高いものが多く、もみ合い商状の中で際立った動きとなっている。電機でも東芝、三洋電など1000円前後の銘柄に人気が集中。好材料の出た電化が賑わい、医薬品株が全面高となった。また、旭硝子が続伸し、住友大阪が年初来高値を更新。半面、ソニー、富士通、NTT、ドコモの情報通信株が軟調。ソフトバンク、光通信も安い。トヨタ、京セラなどの国際優良株の一角が値を下げ、非鉄も利食い売りで冴えない展開。

 市場では明日のSQ後の相場を気にし始めており、ここまで急速に上げた後にしては大きく下押すことはなく、確りの展開との印象はあるが、中低位銘柄への目先狙いの物色気運が横に広がっており、資金の逃げ足は速い。

(日経平均前場・17145.63△0.67 出来高3億8220万株)

2000/06/06(火)

 NYダウ、NASDAQとも3日続伸で、米国市場が落ち着きを取り戻していることから、東京市場も下値不安が後退している。ただ、日経平均はここ4日間で1000円近い上げを演じ、値上がり率も6%と急激だっただけに、本日はさすがにこのところ人気化した値嵩株や中低位株を中心に利食い売りが出て、5日ぶりに反落。
 ソニー、京セラの値嵩情報通信関連株や証券株が反落。銀行、流通、不動産、電力の一角が弱含んだ。半面、富士通が商いを伴い上伸。三重工が3日続伸し、薬品の一角が買われた。フジクラなど電線の一角が上値追いとなり、個別に住友大阪、トキコなどが年初来高値を更新。ソフトバンクが続伸し、重田社長退任説が流れた光通信はS高買い気配に。

 市場エネルギーの回復で投資家心理にも好転の兆しが出始めており、日経平均の17000円割れは考え難いとの見方から、朝方こそ売り物勝ちとなったが売り一巡後は下げ渋りの展開となった。

(日経平均前場・17079.49▲122.30 出来高3億4347万株) 

2000/06/05(月)

 前週末の米国株式が、利上げ懸念の後退で大幅に上昇したことを好感した買いが入り、日経平均は4日続伸し、半月ぶりに17000円大台に乗せた。
 ソニー、ドコモが上伸。NEC、東芝も高くソフトバンクが3日続伸。オラクルはストップ高買い気配。証券、商社株が値を上げ、三重工は年初来高値を更新。化学株が総じて高く、機械、電線株も堅調。半面、鉄鋼、薬品、電力株の一角が安く、個別に東天紅、日鉱金属が売られる。

 景気減速を受けた米株式市場の底入れ感を背景に、広範な銘柄に買いが先行。日経平均は前週末の地合を引継ぎ、出来高を伴いながら400円幅の上昇を記録。市場エネルギーの回復が強気の見方を支えており、懸念材料視されてきた9日のSQもロールオーバーが進展し、過度に心配する必要が無くなってきたとの楽観論が台頭。国内景気の回復状況や総選挙後の政局動向など、不安材料が完全に払拭された訳ではないが、指数を見るとテクニカル的に自律反発の域を抜け出しており、じり高局面に入ったと市場では強気ムードが高まってきた。

(日経平均前場・17203.09△403.03 出来高3億3806万株)

2000/06/02(金)

 昨日の米国株高を受け、中低位好業績株や個別材料株への物色人気は旺盛で、日経平均は3日続伸。
 造船、鉄鋼、電線、商社など、中低位大型銘柄が商いを伴い上伸。電機、硝子株の一角には年初来高値を更新する銘柄が見られた。半面、損保株が軒並み安となったほか自動車、薬品株が下落。個別に7―11、地所、JTが値を下げた。また、熊谷組、千代田化が年初来安値を更新。

 米国株の落ち着きを映して、日経平均は17000円にあと58円までと急接近。今晩の5月米雇用統計を見極めたいとのムードは依然あり、一時伸び悩んだものの、利益確定売りをこなして終日プラス圏で推移した。
 三菱重工が3000万株の大商いで1/20の年初来高値を更新するなど、これまで人気の圏外にあった銘柄にも物色意欲が見出されるようになり、市場エネルギーの回復ぶりが窺えるようになった。このため、先般つけたTOPIXの1500ポイント、日経平均の16000円どころが当面の底値との見方が有力となってきた。

(日経平均大引け16800.06△105.76 出来高7億8350万株)

【来週の株式展望】

 今週に入り東京株式はようやく落ち着きを取り戻し、日経平均、TOPIX共々4週間ぶりに陽線を立てた。今週の株高は、連動性が高まったNY株式の反発に負うところが大。
  特にNASDAQ指数は、30日に254ポイント高で過去最大の上げ率を記録。1日も181ポイントの大幅高を演じ、ブルマインドがやや復活している。NY株式の大幅反発は個人消費、耐久財受注、新築住宅販売、自動車販売、建設支出の落ち込みを受け、断続的な利上げが後退してのもの。

 ただ、基本的には自律反発の域を脱することはあるまい。週末の雇用統計を含め、9日の生産者物価指数、13日の小売り売上高、14日の消費者物価指数と、重要な経済統計の発表が目白押しであり、6/27−28のFOMCまでは神経質な展開が続くものと思われるからだ。
 市場の最大関心事は雇用統計。更に景気のスローダウンを示すものであるのかどうかだが、今回の雇用統計だけでインフレ沈静化に直結させるには無理がある。昨年6月から継続させて来た利上げ効果を確認するまで、まだタイムラグがあることと、諸々の経済指標がスローダウンを示しても依然高水準であることに変わりはなく、月末のFOMCでは予想通り利上げが実施の運びとなろう。
 従って、米株式は金利に相場の頭を制圧された展開が続くと考えなくてはならない。NASDAQ指数に関しては、転換足の節目が3730〜3780ポイントであり、今の時期に節抜けは容易ならぬものと判断する。

 東京株式については予測通り、先週の26日で目先底打ち。日経平均は25日移動平均線前後の戻りを期待。T・S波動の変化日は6月7日であり、週前半高で一旦の利入れを考慮。

2000/06/01(木)

 米国株式は反落したものの、小幅に止まったことから買い安心感が広がり、日経平均は続伸。
 TDK、シャープなど液晶・有機EL関連銘柄がしっかりで、三洋電は年初 来高値を更新。NTTなど情報通信の一角が高く、キリン、宝酒造、山之内などバイオ関連が堅調。朝安のソフトバンクが切返し、アドバンテスト、東エレ、スクリーンなど半導体製造装置関連が確りの動き。板硝子、セントラル硝子がS高を演じ、証券株、電力株が高い。半面、日立、ソニーなどが安く、KDD、DDIが売られた。販売代理店の倒産を嫌気して、光通信が年初来安値を更新した。

 全体相場がしっかりとなってはいるが、9日にSQを控え様子見ムードは強い。売り越し基調が続く外国人に加え、第百生命の破綻などから機関投資家は選別色を強めており、動きの見られるのは個人とディーラーに限られているため、需給改善が進まず、ここから大きく買い上がるムードにはなっていない。

(日経平均前場・16518.41△185.96 出来高3億400万株)

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