株式ニュース 2002/03/29更新

2002/03/25(月)


 【先週の株式相場】

 空売り規制強化を受けた買戻しが一巡した後、予想通り株式相場は調整局面入り。2月から3月にかけて急増していた外国人投資家の買いが減少傾向を辿ったことから、ハイテク銘柄などを中心として日経平均は上値が重くなり、調整色を強める展開を余儀なくされた。ただ、下値を切り下げれば「期末の株価を意識した公的資金の買いが入る」といった見方が支配的であることから、下値を更に売り込む向きは少なく、日経平均は前週末に比べ302円安に踏み留まった。
(日経平均週末株価11,345円08銭前週比▲302円93銭。週末出来高7億4874万株)

【今週の株式展望】

 3月11日の相場展望では、需給関係の一段の好転が期待されることから「引き続き買い需要が旺盛となり、日経平均の12,000円台乗せの局面があろうが、それまで相場をリードしてきたアドバンテスト、東京エレクトロンなどの主力銘柄が過熱ゾーンに入ってくるので株価に一服感が出てくることに留意」といったコメントを紹介したが、実際に日経平均株価は3月11日に12,034円の米国同時多発テロ事件後の戻り高値を付けた後、調整局面入りとなった。また、3月第3週の相場の強調局面では利益確定売りを考慮するようにと指摘しておきましたが、予測通り多くの主力株が短期で10%以上の値下がりを示した。

 さて、今週の株式相場であるが3月8日の3月SQ算出日を境に売買代金、出来高といったボリューム面での減少が顕著であることから、今しばらくの日柄調整が必要。期末のドレッシング買いを考慮したとしても、3/11に付けた高値12,034円を抜くことは困難であろう。実際に権利付き最終売買日の本日25日は持ち合い解消売りの最後の売りが出ることから、需給面での圧迫を気にする向きも多く、先週の流れを受けて小幅続落の動きとなった。

 一方で、出遅れ感のあったJASDAQ相場は、本日も日経店頭平均が1191ポイント引けとなり、ジリ高歩調を堅持。本日を含めて週前半あたりまでの日経平均株価は引き続き下値調べを余儀なくされそうだが、年度末の株価の買い支えに対する期待度が高いことや、テク二カル上の指数が今週26日には売られ過ぎゾーンに達する見込みであることなどから、週後半はソコソコのリバウンドが期待できるのではないか。但し、陰陽の転換足が陰転を提示し、戻り売りを示唆。11,905円に強力なフシを作った他、11,828円以上では週間ベースでの過熱ゾーン入りになるため、売り圧力が強まってしまうことから、戻りは11,800円台が精々と見られる。11,800円台では再び主力銘柄中心に株価の頭が抑えられることになろう。

 来週からは4月相場入りとなるが、期末を意識して比較的底堅い展開を見せてきた株式相場が、引き続き強い展開となることは日本の景気回復にとってプラス材料であるが、卵が先かニワトリが先かで言うと、景気回復への確信がないままの株式相場上昇には限界がある。現状の株式相場が需給頼みである点を留意すれば、慎重な対応が必要であることは言うまでもない。主力株の動きが鈍くなってくれば再び個別株人気が高まるだろう。 4月1日の大同生命の上場を控え、このところの動きが鈍っているIPO銘柄などへの物色気運もそろそろ高まると期待したい。

**来週からのオクチカでの相場展望はお休みとする可能性もあります点をご了承願いたいと思います。

 

2002/03/18(月)


 【先週の株式相場】

 先週は「日経平均株価の12,000円台乗せ局面があろう」といった見通しを紹介しておきましたが、週明け11日の取引時間中に米国同時テロ多発事件発生後の戻り高値12,034円をつけたが、その後は高値警戒感から反落の動きとなった。
 日経平均は2/6のバブル経済崩壊後の安値9420円を付けてからわずか1カ月間で26%強も急上昇。25日移動平均線からのカイ離率が異常カイ離(最大カイ離3/8の15.1%)を示していることなどから、「短期的な過熱感は否めず、株価に一服感が出てしまうことに留意」と警告を促しておいたが、日経平均は11日に付けたザラバ高値12,034円から14日の同じくザラバの安値である11,347円まで700円近い下げを演じた。
 個々の銘柄についても「相場の強調局面では利食いを優先させるべき」と指摘した通り、テク二カル上で過熱ゾーン入りしてきたアドバンテスト、東京エレクが早速1割強の下落を演じた。全体相場が行き過ぎ局面を迎えたことから個別銘柄を見てもイビデン、安川電機など短期上昇を示し、過熱感が出てきた銘柄を中心に調整場面を迎えた。
(日経平均週末株価11,648円01銭前週比▲237円78銭。週末出来高7億8003万株)

【今週の株式展望】

 今週の株式相場であるが、需給関係の好転が相場の下支え要因になる公算が高い。先週調整を見せただけに、それまでの短期急騰に対する警戒感も薄らいだことから、週前半は押し目買いが優勢となりそう。週後半は貸株の返済期限や、昨年9月安値時に売り込んだ信用取引の絶対期日が到来することから、日経平均が再度、12,000円台に乗せることができるのかに焦点が当てられることに。
 ただ、12,000円以上の上値は限定的。株価の本格反騰は、不良債権の抜本的処理、金融システムの安定化、税制改正、規制緩和―改革など需要喚起に向けた政策の進展を見極めてからとなろう。

 企業と金融機関との持ち合い解消売りが峠を越した上に、例年3月後半は年金資金などの公的資金が流入してくるため、需給関係は好転するが今回は買戻し主体の反騰相場であるだけに、買戻し一巡後の市場エネルギーの減退に注意する必要があります。

 今週は19日に米FOMCが開催されるが、米国の景気が自律的な拡大局面に入ったかどうかの是非が問われることに。22日に発表の3月のフィデラルフィア連銀指数は、1−3月期の米国景気反転の力強さの度合いを見る上で重要となります。米国景気の回復が日本の景気に波及するといった期待があり、「米国景気の回復はむしろ、日本市場へ与える影響が大きい」といった見方もあるだけに注目しておきましょう。

**本日は寄り付きこそしっかりの動きであったが、引けは11498円と150円安。上記コメントの通り上値は限定的となっております。

 

2002/03/11(月)


 やっと元気が出てきた株式市場ですが、皆様の成果はいかがですか?
 今週の相場展望をお送りしますが、これは先週末に執筆したものであることにご注意下さい。2月上旬にはあれほど危機感のあった相場が、このみちがえるような元気ぶり。空売り規制による官製相場とは言え、3月末に向け明るい展開になってきた点は安堵感がありますね。
 さて、本日は一旦12034円まで高値があって伸び悩み。そろそろ高値圏から利益確定売りが意識されてくる地合となってきそうです。


【先週の株式相場】

 総合デフレ対策の中で市場対策即ち、空売り規制強化が予想外の効果を示し、株式市場は急反発。日経平均は中期波動である13週移動平均線を抜いた他、長期線である200日移動平均線をも抜き、株式市場は今までの下降相場から上昇トレンドへと大きく基調転換。買い戻しの他、有力外資系証券が世界分散投資における日本株のポートフォリオの保有株比率を引き上げたことも刺激材料。内外の機関投資家は「持たざるリスク」への警戒感を強め、週後半は実需の買いも入ってきた。
(日経平均週末株価11,885円79銭前週末比△1,073円73銭。週末出来高19億4892万株)

【今週の株式展望】

 日経平均株価は3月4日に638円高は11,450円と急上昇し、昨年11月27日の戻り高値である11,188円を抜くことによりW底を形成することになった。更には、一昨年4月以来強力な上値抵抗線として作用してきたレジスタンスライン(戻り限界水準。下降相場ではトレンドの延長線上で上げ止まる傾向が強い)である11,600円を抜き、中・長期での上昇相場への基調転換を確認する運びとなった。

 先週は株価操作とも受け取れる政府のなりふり構わない買いに対しては批判が強いものの、「良し悪しは別として相場の流れに乗ることが相場の鉄則」であるとしたほか、買い戻しに加え、証券会社の自己売買部門や個人投資家を交え、更なる上値追いを予想。政府による空売り規制強化を背景として、これまで売りポジションを取ってきた向きの買戻し継続、持ち合い解消売りの一巡、公的資金流入継続に加えて、売り圧力の低下で需給関係が好転しており、下値不安の後退から引き続き上値を試すとの見通しを示しておいたが、それにしても先週の日経平均株価の1,000円幅を超える急伸は想像以上のものであった。

 さて、急伸後の今週の株式相場であるが、政府の追加デフレ対策(税制優遇措置―贈与税減税、企業の設備投資減税を検討中、及び規制緩和等)、日銀の一段の金融緩和、叉、需給関係の一段の好転が期待されていることなどから、引き続き買い需要が旺盛となり、日経平均の12,000円台乗せ局面があろう。気の早い向きは「昨年3月期末の株価である12,999円を視野に入れた相場展開も」と強気であるが、2/6のバブル経済崩壊後の最安値である9,420円を付けてからわずか1ヵ月間で26.2%も上昇し、25日移動平均線とのカイ離も15%強を上回る異常カイ離を示しており、短期的な過熱感は否めない。

 今週はここ相場の上昇をリードしてきたアドバンテスト、東京エレク、ソニーなどの主力ハイテク銘柄が過熱警戒ゾーンに達してくることから、株価に一服感が出てくることに留意したい。ニ番手銘柄、出遅れ銘柄の物色では、これまでのような力強い相場上昇は見込み難く、今週の強調局面では利益確定売りを優先させるべきでしょう。

 空売り規制に伴ういびつな上げとは言え、ここに来ての株価上昇がもたらす効果が景気の先行きにも明るい要因となってくれれば、今後の株式相場にとってはこの上ない展開になってくれるだろう。ここに来ての不良債権処理の進展とハイテク関連中心に、企業業績の好転が見られるようになった点も超目先はともかく中期的なトレンドにとっては明るい方向を見出せる糸口になってきたと言えよう。

**本日の日経平均は一時12034円の高値があったが、引けは11919円。上昇トレンドは崩れていないが、高値警戒感も台頭しつつある状況にある。相場の勢いは止まっておらず、押し目買いムードから月末高ムードが高まっているが、上記のコメントからは利益確定売りに頭が抑えられる局面となっているので注意しておきたい。

【注目される株主優待制度】

 このところメディアなどでも取り上げられる機会が増えてきたことから、株主優待制度を楽しみにしている個人投資家の方々が徐々に増えているだろう。銀行に預けている利子が1%以下の時代で、投資家が受け取るリターンが配当金だけでなく株主優待制度も加わり、株価を下支えしてくれる要因になりつつある点に気がついた方々は、中長期的な観点で過去の株価の動きを眺めていて、水準が低くなったら買おうという投資行動に出ることになる。投資家にとっては下値不安さえ無ければ買ってみたいという方は多いに違いない。

 現在、株主優待制度を導入している企業は680社程度と推定されるが、その内容は千差万別である。12月決算企業ではオークネット(9669・時価1487円)が新たに導入を発表したが、このほかイオンファンタジー(4343・同1360円)、ぴあ(4337・時価3520円)など、最近上場した企業でも個人株主作りのための株主優待制度導入に踏み切っている。

 また先週企業訪問を行った日本ライトン(2703・時価530円)でも、12月末現在の100株以上の株主に対して高島屋の商品カタログから2500円相当の商品が選べるといった配当金以外の優待制度を導入。100株の株主だと配当金に加えて、こうした優待制度の価値から計算した総合利回りは、時価で計算して7%を越えるというから小口の投資家にとっては絶好のチャンスである。

 本日説明会のあったバンプレスト(7854・時価1040円)でもクリスマスプレゼントとしてキャラクターぬいぐるみを前12月期の株主に贈呈したとのこと。今後は3月決算企業で制度導入を検討しているところもあるだろうから、投資家の関心はますます高まろう。

 ここに来ての相場の強展開は、目先の株価に一喜一憂せず、こうしたゆったりとした考え方に立った真の投資家が徐々に増えてきている点も背景になっているとするなら、また相場への見方も違ったものとなるだろう。

**本日中期経営計画のあったバンプレストは株価が動意含みです。2004年3月期までの中期計画では時価総額260億円(現状は110億円)があってもよさそうです。信頼性の高さがあるかはまだまだ予断を許しませんが、経常利益26億円に向かっての展開が株価を押し上げる要素となりそうです。詳細はまた機会を見て紹介したいと思います。(炎)

 

2002/03/04(月)


 3月相場インとともに明るい展開がますます鮮明となってきました。但し、明るいというのは買い方に関してのみ。逆に売り方は悲壮な日々を送っておることでしょう。
 これまで言われ続けた3月危機説が、どこに行ったか判らない程度に一気の上昇相場が見られ、危機は過ぎ去ったかのような錯覚に陥ってしまっていますが、果たして真実はどこにあるのでしょうか?
 佐藤工が倒産したことを不良債権処理の進展とみなすなど、前向きな姿勢が随所に見られるようになってきましたし、大手証券(大和など)の3月のストラテジーでも相場上昇の背景を語っています。

 以下は先週、土曜日の段階での相場コメントですが、週末のNYダウの急伸から本日の日経平均なども急速な上昇を示しており、もう既に目標ラインを突破してやや過剰なほどの展開となってきています。
 引け後の信用残動向が気になるところですが、一気の踏み上げ相場であれば、短命に終わってしまいます。踏みまで至らずにまだ売り方が残っていれば、なおも上昇の余地が残りますので、そのあたりが短期的なポイントとなります。

 それにしても今回の上昇相場を当てた方は、オプションのコール(115コールや120コールなど)で45倍から85倍もの成果を収めたことになります。これは、おめでとうの一言しかありません。
 滅多にあるものではないのですが、こういうこともあるという程度に認識して下さい。
 因みに115コール(SQまでに11500円を超えると見た買いの権利)は、直近の2円安値から170円の高値まで85倍に、120コール(同様に12000円を超えると見た買いの権利)は直近の1円安値(つまり紙くず同然だった)から本日は45円の高値まであって引けは35円で終えた。
 オプションのことは勉強されていれば良し、そうでない方は多少の勉強が必要。単純に上昇相場ではコールを買い、下落相場ではプットを買えば儲けが出るというものだが、SQ(その月の第二金曜)までに決済しないとならないので紙くずになるケースも多い。
 今回はSQまでの相場の変化が大きく、こうした変化を見せた滅多にないケースである。
 この先も上昇するならばコール買いが優勢となるが、下落すると見るならプット買いが有利になる。

 さて、今週の相場については既に本日11400円台で終え、やや過熱気味となってきた。ここからはやや警戒しておいた方が無難であろうかと思われるというのが、一般的な見方であろう。
 以下、いつものように今週の相場展望を紹介しておきたいが、先週末のコメントである点をお忘れなく。

 

【先週の株式相場】

 政府の総合デフレ対策、日銀による追加金融緩和策が発表された。27日の総合デフレ対策は年度内の大手銀行への公的資金再注入が明確にされなかった他、相続税の引き下げなど抜本的な税制改正案を盛り込んでいなかったことから、株価上昇は疑問視されたが、株式市場対策である空売り規制強化に市場は事の他反応を示し、先週指摘した「株価の意外な上ブレ」に繋がった。
 28日の日銀金融政策決定会合では長期国債買い入れを月1兆円程度に増額する、ロンバート型貸し出しの日数上限を撤廃する、など予想の範囲に留まりインフレターゲットの設定などのサプライズの政策は打ち出されることはなかった。
(日経平均週末株価10,812円前週末比△455円33銭。週末出来高10億4155万株)

 

【今週の株式相場展望】

 3月期末を目前にして、公的資金はこれまでの相場下支えから株価押し上げスタンスに変えており、空売り規制強化もあって、日経平均は11,000円台奪回を見込む向きが増えて来ている。ここに来ての買い主体である年金など公的資金の動向が「唯一かつ最大の関心事」になっており、市場には「公的資金は期末まで買い続けるのでは」との観測が広がっている。

 株価操作とも受け取れる政府のなりふり構わない買いに対して、批判が強いものの、「良し悪しは別として相場の流れに乗ることが相場の鉄則」として買い戻しに加えて、デ゛イーラーや、個人投資家を交えた上値追いが予想される。
 週末8日には3ヶ月に一度のメジャーな株価指数先物・オプションの特別清算指数算出を迎え、SQ直前は外資系証券による持ち高調整で値動きが荒くなる傾向があり、株価は政局や企業業績と無関係に思わぬ乱高下に見舞われてしまうことに注意しなくてはならないが、裁定買い残はここ低水準で推移しており、解消売りによる大きな波乱は考えにくい。

 「政府による空売り規制強化を背景として、これまで売りポジションを取ってきた向きの買い戻し継続、持ち合い解消売りの一巡、公的資金流入継続に加えて売り圧力の低下」と需給関係が好転しており、下値不安は一層後退するものと思われ引き続き上値を試す展開を予想するが、25日移動平均線からの異常カイ離(3/1現在+7.7%は昨年5/7以来の高水準)、RCI9日線の80%台乗せなど、短期のテクニカル指標が過熱感を示しており、日経平均株価の11,000円からの上値は限定的になってしまうだろう。

 上値目途としては中・長期線である200日移動平均線(3/1現在11,187円)、昨年11月の高値である11,186円、転換足のフシ11,194円などが収斂している11,100円台と考えられる。

 **本日の日経平均終値は11450円。踏み上げの様相になってきたが、明日からは過熱気味となっており、一旦は警戒感を強める展開が想定される。

 

【出遅れが目立つようになってきたJASDAQ市場】

 結果としては全体相場は2月6日にボトムを打って上昇してきたが、その間も比較的堅調な推移を辿ってきたJASDAQ市場は、むしろ多少出遅れ感が出てきた。ここに来ては市場のムード好転から流動性の高い、長期に売り込まれた銘柄が人気の中心となっており、流動性に乏しいJASDAQ銘柄はその分人気の圏外となっている格好である。しかしながら、JASDAQでは4月1日から時価総額の大きな47銘柄で構成されたJASDAQの新指数を導入することを発表。すでに楽天、ヤフーなどが人気を集めており、こうしたJASDAQのコア銘柄を中心に再び人気化する場面があるだろう。

 2月6日の日経平均は9420円。これを2番底に先週末は10812円となり、14.8%も上昇。同様にTOPIXは921ポイントから1030ポイントと11.8%の上昇を見せた。これに対して日経店頭平均の2番底形成は遅れ、2月20日の1087ポイント。これに対して先週末は1117ポイントで2.8%の上昇に留まっている。この間、日経平均は9773円から10812円と10.6%上昇。TOPIXも951ポイントから1030ポイントへと8.3%の上昇を見せていることから、JASDAQの出遅れが目につく。

 当面は1部市場がリードする形で上値追いが見込めるとしても、出遅れてきたJASDAQ銘柄が再び復活する公算もあるだろう。当面は11月7日の高値1197ポイント抜けから1217〜1230ポイントへの水準訂正が期待される。

**本日の日経店頭平均は1126ポイント。4日間の続伸となった。

 

【新指数採用銘柄】

 JASDAQは2月28日に市場の代表的な47銘柄を選定し、新株価指数(J−Stock Index)を4月1日から導入すると発表。時価総額や経常利益などを基準に選ばれたこれらの銘柄が、機関投資家などのベンチマークとなる公算もあり、当面の物色対象になる可能性もあるので注目される。
 ただ、この指数の導入は数ヶ月前から話題になってきたので、既に銘柄によっては事前に人気化しているものもあるので注意が必要。以下はその47銘柄である。本日はその中では明暗分かれた格好となっていて、決して全面的な上昇には繋がっていない点に注意したい。

ペイントハウス(1731)、カワチ薬品(2664)、カネ美食品(2669)、ITC(2670)、
アスクル(2678)、キャンドゥ(2698)、日本マクドナルド(2702)、フェイス(4295)、
日清医療食品(4315)、コナミコンピュータエンターテインメントジャパン(4338)、
電通テック(4682)、日本DBM(4688)、ヤフー(4689)、
フューチャーシステムコンサルタント(4722)、OBC(4733)、楽天(4755)、
東映アニメーション(4816)、インテリジェントウェイブ(4847)、ノエビア(4916)、
フジミインコーポレーテッド(5384)、理想科学(6413)、アルゼ(6425)、
ザインエレクトロニクス(6769)、カノープス(6774)、精工技研(6834)、
日本コーリン(6872)、シチズン電子(6892)、UMCジャパン(6939)、
フクダ電子(6960)、カッパクリエイト(7421)、第一興商(7458)、
サンマルク(7479)、サザビー(7553)、オリジン東秀(7579)、
ユナイテッドアローズ(7606)、ドッドウエルBMS(7626)、日本トイザらス(7645)、
フジシール(7864)、アーク(7873)、大塚家具(8186)、ジョナサン(8204)、
レオパレス21(8848)、エイブル(8872)、レーサムリサーチ(8890)、
日本エアシステム(9203)、HIS(9603)、プレナス(9945)

 

【IPO銘柄の動向】

 主力株に人気が回っている間はIPO銘柄への関心は薄れがち。先週はその色彩が強まり、福神とJALUXとも公募価格割れを演じる格好となった。今週もそうした流れに大きな変化はないだろう。但し、ソフトバンク関連の2社(6日のネクシーズと8日のクラビット)への投資は割安スタートであれば思いがけない成果をもたらすことになるだろう。

 ネクシーズ(4346・NJ)は衛星放送サービス等への加入契約取次、テレマーケィングサービスを手がける。公募価格12.6万円は割安感あるので狙い目。同様にクラビット(4347・NJ)もCSデジタル放送の会員向けサービス提供を手掛ける成長志向の企業。公募価格1200円であるが、潜在的な成長力からは狙い目と思われる。

 6日にJASDAQに上場するCTS(4345)はエリア限定の建設関連として上場時の人気はないだろうが、建設企業向けのASPサービスが将来は伸びてくるとの期待から、上場してしばらくしてからの人気化も想定される。

 8日の住友チタニウム(5726・東証2部)は住金の関連企業。当面の継続的な人気化はないと見たい。

 

2002/02/25(月)


 【先週の株式相場】

  日米首脳会談後、政府が金融機関への公的資金再注入に慎重な姿勢を示したことを嫌気する格好で、日経平均株価は一時1万円の大台を割り込んだ。しかし、その後買い戻しが加速し反発、週末22日の株価は10,356円と1ヶ月振りの高値水準で取引を終えた。週初18日の日米首脳会談では公的資金の再注入の検討や、日銀による金融対策について、より具体的内容についての論議がなかったことから期待外れ感、材料出尽くし感が台頭し、翌19日の平均株価は1万円の大台をアッサリ割り込んだ。ただ、空売り規制の強化や、総合デフレ対策を控えて積極的に売り込む姿勢も見られず、外資系証券を通じた公的資金の買いなどを中心に、買いが優勢となり反発。週末にかけては上げ幅を拡大させた。
 公的資金の買いは225先物、値嵩のハイテク株に集中したことから、NT倍率は週初の10.2倍台から週末22日には10.47倍に大幅に拡大し、TOPIXの出遅れが目立つことになった。
(日経平均週末株価10,356円78銭前週末比△337円68銭。週末出来高7億4237万株)

 

【今週の株式相場展望】

 今週の株式相場は週前半の25日、26日の株式市場は27日に経済財政諮問会議(デフレ対策を決定する)、28日には日銀政策委員会、日銀政策決定会合(金融緩和への期待)などを控えており、模様眺めの展開が強まるだろう。ただ、日経平均株価は週前半相場では空売り規制強化による売り圧力の後退や、公的資金の買いに支えられ1万円の値固めを予想する。

 問題は27日以降の株式相場である。金融機関に対する公的資金の再注入を巡っては政府、官邸、与党の対立が激化。政府内でも柳沢金融相、塩川財務相、竹中経財相の意見が対立しており、今年度内の銀行への公的資金再注入は困難であろうが、現在、与党3党の幹事長レベルではRCC(整理回収機構)を使った不良債権の買い取り、公的資金の間接注入を提案している他、27日の「総合デフレ対策」では10兆円規模の公的資金を予防的に導入する案も検討中と言われており、仮に株式市場を納得させるような有効策が打ち出された場合の株価の意外な上ブレも想定しておく必要があろう。

 一方で実効性のある対策が打ち出されなかった時の失望売りにも留意が必要である。「これまで報道されている以上の目新しい策定はない」が一般的であるが、「具体的な内容を確認するまでは動けない」ことから様子見が基本。自民党は2月19日にデフレ対策特命委員会を開きデフレ対策を協議したが、一段の金融緩和については日銀に株式の買い取りやETFの取得の検討を求める方針。

*本日の株式相場は一時前日の高値を上回る局面があったが、引けは前日比マイナス。多少頭重い展開にはなっているが、それでも依然として上昇トレンドが維持され、先高感が残っている。仮に再び1万円接近となればまた押し目買いが入って相場の強さを示しそうな状況である。

 

【重要局面を迎えた株式相場】

 今週の展開というより、ここからの中・長期的な相場展望で重要な局面に差し掛かっているとの見方をしているのはアイリス・ジャパン・インベストメントの有力テクニカルアナリストである伊藤氏である。「3月危機説が依然として意識される中で、一般的にはなおも3月までの相場については頭重い展開を予想する向きが多いが、先週の動きで2000年4月の日経平均の高値20630円を起点とした下落相場は下げ三波、下降五波動後の2番(W)底形成の可能性が出てきたとの見方ができる。ここから押し目を入れても9837円〜9727円の節を切らずに出直れば、そうした可能性があり、更にこの先に11600円を突破するようなら上昇相場へ基調が転換すると見られる。」としており、少なくとも株式相場はかなり重要な局面を迎えていると考えられる。

 

【IPO銘柄の動向】

 先週は三光ソフラン(1729・NJ)、セコム上信越(4342・東2)、ケネディウイルソン(4321・J)、NECモバイル(9430・東)などの上場があったが、三光ソフランが上場後一旦20%の上昇を見せたが、その他は余り大きな動きを見せなかった。

 今週は26日に東京を地盤とした医薬品卸の福神(2728・東証)、28日にJAL系列の航空関連機材、生活関連物品等の卸売りを手掛けるJALUX(2729・東2)が上場してくるが、余り妙味はなさそうだ。積極的に上値を追うべきではなく上場後しばらく経過してから、じっくりと押し目を買うスタンスで良いだろうし、ないしは積極的に投資する必要もないだろう。

 

2002/02/18(月)


 【先週の株式相場】

 先週週初の月曜日はお休みでしたので相場展望をお届けできませんでしたが、実際には以下のような展望をしておりましたので、はじめに紹介しておきます。


『今週は会計疑惑で揺れたNY株が週明けも高く2日続伸の動きとなったことに加え、週明けの経済諮問会議で銀行絡みの政策が打ち出されるのではないかといった思惑が先行し、売り方の様子見や買戻しを誘う動きが継続する可能性が強い。
政府の株安対策は1)銀行等保有株式取得機構の早期始動2)空売り規制の強化3)RCC(整理回収機構)の活用が柱に。
2/8の自民党デフレ対策特命委員会の会合では金融機関への早期資本再注入を政府に緊急提言する方向で意見が取りまとめられる事になったが「不良債権の抜本処理、それに伴う銀行への公的資金再注入期待だけでは相場の継続した上昇は無理。不良債権処理問題の解決にはRCCの強化など間接的な公的資金の活用が必要」との指摘がある。
注目の海外投資家は1月中旬に発表されたダイエーの再建支援策を「問題先送り」と捉え、1月第3週以降売り越し姿勢を強めていることから「不良債権処理の具体的な進展が見られるまでは投資スタンスを変えることはない」と思われる。
例年、2月は事業会社と金融機関との持ち合い解消売り圧力が一層強まってしまうため、相場全体の戻りは限られたものにならざるを得ない。
今週も「政策動向や、政府要人発言に一喜一憂する」展開が予想される。週末17日には、ブッシュ米大統領が初来日。18日の日米首脳会談を控えて「構造改革に向けた具体策が示される」との見方が強まり政策期待が相場を下支えすることになろう。
今週の相場であるが日経平均株価のレンジは9,465円(陰陽の転換足上の下支え線)〜9,955円(昨年11月13日につけた安値であり今年1/29まで1ケ月半に渡り下値支持線として作用した)を想定。株価は上値も下値も限定的、所謂「踊り場」に突入であり相場の上昇局面では、ブッシュ米大統領帰国後予想される相場の波乱に備えることにしたい。繋ぎ売り、ヘッジ売りなどを活用すると良いでしょう。
相場の基調転換には1)心理的抵抗線である10,000円を抜き大台を回復すること。2)25日MA(2/8現在10,132円)を抜くこと。3)陰陽の転換足が陽転を提示することなどが必要であるが、これはまだ先の話である。
今週は1/11以来ネックラインとなっている一目均衡表の転換足のフシ(2/8現在9,805円)に株価の頭が押さえられてしまうのかに焦点を当てておきたい。』


 さて、上記の展望は結果としては多少全体相場の上振れに繋がりましたが、ほぼ想定した展開となっております。
 銀行株が前半リードしておりましたが、後半は早くも息切れ。東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連の一角が相場を下支えする展開が見られました。先週の全体相場については以下のような動きが見られました。

 IPO銘柄については想定通り上場前人気が低かったイオンファンタジーがむしろ、上場後のパフォーマンスを高める結果となりました。このあたりを皆さんもよく考えて投資の参考になさって下さい。
 デフレ対策への期待感から買戻しが継続し、日経平均は10,000円の大台を回復。日経平均株価、TOPIX共に2/14まで5日連騰を記録したが、株価上昇の背景は1)2兆円の政府保証を受けた銀行など保有株式取得機構の株式買い上げ2)日米首脳会談を前にした総合デフレ対策への期待3)過剰在庫の解消で各企業が収益最悪期を抜け出せる事への期待が高まる。等々によるもの。

 日経平均株価は2/13に1/29以来10日ぶりに10,000円の大台を回復、週末株価も10,000円の大台を維持して取引を終えた。TOPIXは取引時間中に1,000ポイントの大台を回復したが、週末株価は982.50ポイントであり1,000ポイント台乗せの引けは叶わなかった。

(日経平均週末株価10,048円10銭前週比△362円04銭。週末出来高7億7,001万株)

 先週の動きを踏まえての相場展望は以下の通り。皆様の投資の参考にして頂きたい。

 

【今週の株式相場展望】

 日経平均株価は1)三尊型形成の際のネックライン(10.062.50円)2)一目均衡表の転換足3)25日MAの各々のフシを抜いたが、陰陽の転換足上のフシ(10,240円〜10,350円)を抜くことができなかった。今週も引き続き陰陽の転換足のフシに焦点を当てることにしよう。一目均衡表からは基準線(2/15現在10,084円)、移動平均線からは75日MA(同、10,365円)がフシ目として意識されることになりましょう。

 ブッシュ米大統領の訪日控えで政府がデフレ対策の取りまとめを急いでいたが、2/15に政府の「デフレ対策」の全貌が明らかになった。「総合デフレ対策」は1)不良債権処理の促進2)金融システムの安定3)市場対策4)貸し渋り対策5)金融政策、以上の5本柱。ただ、先々週来株式市場は「総合デフレ対策」の策定を先取りして反発、日経平均は2/6の9,420円の安値から2/14の高値10,235円まで800円強値上がりしていることから、「デフレ対策」の大部分は既に株式市場が織り込んでしまったと思われ、週明けの東京株式は「デフレ対策」決定を受けても取り立てて材料視されることはないでしょう。
 むしろ、肝心の金融機関への公的資金注入が、金融庁による特別検査の結果を見て判断されることから、今年度内の公的資金再注入は困難となってしまいましょう。財政出動を伴う景気対策が封じられていては「デフレ対策」も限られたものになってしまうのは当然であり、材料出尽くし感が台頭してしまわないかが懸念されるところです。

 米国格付け会社ムーデーズ社は、日本国債の格付け見直しに着手したことも不安材料。同社は「日本政府の政策の選択肢が限られていることや、関係者の足並みの乱れを見透かしている」と言われている。

 

【IPO相場動向】

 こうした局面下では引続き需給の良いIPO銘柄への人気が集中しがちである。ただし、物色の方向は潜在的な成長性の高い銘柄や、割安感の強い銘柄に偏ってしまいがち。先週は比較的穏健なスタートとなったイオンファンタジー(4343)が公募価格800円(実質PER10倍程度)に対して950円のスタートとなり、その後週末には1230円の高値引けとなるなど、上場初値から3割のアップとなる一方、公募価格が27倍とやや高目だった中部地区最大のCATV会社であるスターキャットケーブルネットワーク(4339)が、寄り付きこそ104万円と穏健なスタートとはなったが、その後は週末に91万円で終わるなど、早くも調整の動き。14日に上場したインボイス(9448)やエルゴブレインズ(4309)も高寄り後、反落の動きとなり、明暗分かれる展開となった。これらは今週以降の余りに高寄りしたことで、その後の押し目形成、反転場面を狙うタイミングを伺うことがポイントになるだろう。

 今週は2月19日にセコム上信越(4342・公募価格2300円)が東証2部に上場。同じ日にナスダックジャパングロースに不動産投資アドバイザリー事業や債券マネジメント事業を手掛けるケネディウイルソン(4321・公募価格44万円)が上場。また、20日には土地有効活用アドバイス、建設事業を手掛ける三光ソフラン(1729・公募価格340円)がナスダックグロースに上場。22日には東証1部にNECモバイリング(9430・公募価格1800円)が上場してくる。

 セコム上信越やNECモバイリングなどは親会社の系列下で買い安心感はあるが、現状の需給からすればやや消化難。むしろ成長性の高さからすればケネディウイルソンと三光ソフランに関心が寄せられる。但し、このところの高寄り傾向には留意しておきたい。

 

2002/02/05(火)


 【今週の株式相場展望】

 国内景気や企業業績への先行き懸念が強まり下値を探る展開が継続することになろう。日経平均は昨年9月に付けたバブル崩壊後の最安値である9,504円を下回ることも頭に入れておきたい。
 主要企業の2001年度第3四半期決算が続いているが、企業収益の回復が期待できず、先行きに対する不安感が高まってしまっている。東京海上と朝日生命の経営統合前倒し見送りを受けて、金融システムへの先行き不安が強まっていることに加え、田中真紀子外相更迭によって、小泉内閣の支持率低下や構造改革の遅れは必至で、政局混乱を嫌う外国人投資家の日本株売りが加速されてしまう恐れが十分ある。下値模索が予想される中で株価が底打ち反転するには、政府の政策対応が必要である。
 この意味では2/8、9のG7、2/17のブッシュ大統領の来日に活路を見い出したい。G7では金融危機の回避が要請され、ブッシュ大統領来日の際には「3月危機回避策」の具体的な説明が求められることになろう。主要銀行への公的資金の再注入や、ブッシュ大統領来日の2/17頃まで政策が取りまとめられるかどうかが鍵。「3月危機回避策」の前倒し発表期待が株価反発の契機となると思われる。

【チャート観測上の3つの懸念】

 先週までの日経平均株価の動きについて、テク二カル上はどうなっているのか分析した結果、3つの点で懸念を生じております。

1)デッドクロス
 1月22日に25日線は10,438円まで下落し、10,465円の75日線を下回ることによりデッドクロスを演じてしまいました。デッドクロスとは短期線が中長期線を上から下に付き抜けた状態を言い、通常投資家の間では弱気相場への転換点として、売りシグナルとして受け止められている。

2)右肩下がりのフラッグ型
 ローソク足チャートは、昨年11月27日に直近の戻り高値11,186円を付けた後、12月4日の10,325円、12月26日の10,170円、そして、1月22日に10,050円を付け下値を切り下げるなど、フラッグと呼ばれる右肩下がりの典型的な下降トレンドパターンを形成してしまい、一段の安値更新が意識されることになった。

3)三尊天井形成
 株価が上昇過程で3回高い山を付け、中でも、2回目の山が最も高い状況を指すが、寺院などにおける仏像の配置が、中央に背の高い釈迦像、両脇に菩薩像となっていることに由来する。2回の下げた谷底を結ぶラインが抵抗線となり、これを下回った場合に相場は過去3回の山で天井を付けたとして売りシグナルとされている。このケースに当て嵌めてみると日経平均は昨年11月13日の戻り安値9,955円、12月26日の10,170円を結ぶラインが1月29日まで下値支持線として作用していたが、1月30日の下落で完全にその支持線を切り三尊天井を形成してしまった。三尊型天井の計測から株価の下値目途は次の通り。
A−{11,186円(11/27高値)−A}=8,939円と計測されます。
Aは{9,955円(11/13安値)+10,170円(12/26安値)}÷2となります。

 

2002/01/28(月)


 1月も後半に入り、今週は2月相場入りを迎えますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 東京ではまだ本格的な雪が降りませんが、これからは雪の降る季節。また例年、風邪がはやる季節でもあります。寒い日々が続きますので皆様風邪には十分ご用心下さい。

 株式市場も相変わらず冷え込んだままの状態が続いていますが、今週からは新たなIPO銘柄が登場してきます。お休みしていたIPO銘柄ファンの皆様は再び活動の時期が到来しました。ご自身でしっかり作戦を立てて資産の増強に努めて頂きたいと思います。

 後ほどのコーナーで今回に限って、私からのIPO銘柄に関しての耳寄りなお話をお届け致します。
 さて、今回も先週の相場動向からチェックしておきましょう。

【先週の株式相場】

 先週の東京株式は週初21日に前週末の米国株式安を受け、軟調なスタートを切った。普通株の減資を発表したダイエーがストップ安の他、銀行株の下げが目立った。翌22日は米国市場が休場の中、円が昨年来の安値を更新したが、主力輸出関連株は反応を示さず日経平均は229円安と下落。23日は米国株高、米国半導体BBレシオの改善などで主力の輸出関連株が買い直されるも、相場全体への波及効果は見られず日経平均は10円安と小幅な下げとなり、225先物3月限は9,990円は10,000円の大台を割り込んだ他、TOPIXが975.20ポイントで取引を終了し、バブル相場崩壊後の安値を更新した。24日はNASDAQ高、DRAM価格の急回復、134円台半ばの円安などを受け、ハイテク株、自動車株の輸出関連株が買い戻されたが裁定売りがでて急速に値を消した。週末25日は引けにかけそれまで売りポジションを取っていた証券会社自己売買部門のポジション調整の買い戻しが入ったが、銀行株は戻しきれず、三井住友銀はバブル後の安値を更新。銀行株全般に再び下値模索の動きを見せはじめた。
(日経平均週末株価10,144円14銭前週末比▲149円18銭。出来高 7億8,607万株)

 


【今週の株式展望】

 〜10000円の攻防続く日経平均〜

 持合い解消売りに加え、金融不安台頭の懸念売りに年金資金が買い支えるといった構図に変化がない。持合い解消売りの受け皿となる株式買取り機構は、2月以降において出動の構え。但し、突拍子もなく下げれば当然出動するだろうが、現状の株価水準ではなお出てくることはないと言われている。このため米国株、ハイテク株の動き次第で日経平均は10,000円台割れが俎上に。いよいよ2月相場インで銀行や事業会社の本格的な持ち合い解消売りが警戒されることになろう。

 銀行株には金融不安の高まりから市場の目が厳しさを増している。大手銀行への公的資金の再注入期待だけで辛うじて株価の底割れを逃れているだけであり、薄氷を踏む思いであることに変わりが無い。

 大手金融機関の破綻も懸念されており、危機認識を巡り政府当局と市場の認識にズレが生じれば、銀行の株価が急落してしまい相場が波乱に見舞われてしまう恐れがあることは否定できない。

 この中でハイテク企業の2001年度第3・四半期(10−12月)の決算発表がピークを迎えるが、25日の取引終了後発表されたソニーの決算が従来の予想を上回ったことから、週明けの東京株式にどれだけインパクトを与えるのかに関心が寄せられることになろう。ソニーの好決算は為替相場が円安に振れ、半導体を中心とした国内事業の不振をカバーし、売上、営業利益共々上方修正されたことから、今週決算が発表される富士通(29日)、NEC(31日)など主力のハイテク企業にはNY株次第で、円安による利益拡大を見越した先廻り買いが入ることが見込まれる。

 ただ、相場の本格的な立ち直りは不良債権に目途が立ち、銀行株に下げ止まり感が出てこない内は無理なことから、株価の上昇は引き続き限定的とならざるを得ない。公的資金は買いを継続させており、株価の下落局面では下支えの役割りを果そう。

 今週は昨年11/13に付けた9,955円の安値や、陰陽の転換足のフシ(引け値ベース)9,922円を維持できるのかに焦点を当てておきたい。

 

2002/01/21(月)


 【先週の株式相場】

  週初めの日経平均は、景気の先行き不透明感を受けた米国株の続落を嫌気し、下落して取り引きを開始。週半ばは1万円大台割れが回避されたことから買い戻しが優勢となり、週末は米国株価の大幅反発から更に買い戻しが活発化し、日経平均株価は8日ぶりに反発した。
 一方、TOPIXは1/16に977ポイントの安値を付け、昨年9/13に付けた安値984ポイントを下回り、98年10月のバブル崩壊後の安値974ポイントに肉薄した。週末株価は1.007ポイントと米国株高に支えられ、1,000ポイントの大台を回復。

(日経平均週末株価10,293円32銭前週末比▲148円28銭。 週末出来高7億9596万株)


【今週の株式展望】

 8日ぶりに反発を示した日経平均であるが、今週は再び下値模索の展開が予想される。週初は先週週末の米国株安から売りが先行して始まったが、過剰債務の代表企業であるダイエーの経営支援策が取りまとめられ、ひとまず最悪の事態が免れたことから、買い戻しや押し目買いが入り、比較的に落ち着いた動きが見られた。しかし、週後半にかけては1月下旬以降増加する可能性がある企業と銀行との間の持ち合い解消売りが懸念され、見送り色を強め日経平均は再び下値を試す展開になるものと思われる。

 日経平均の今週の予想レンジは9,924円〜10,563円。持ち合い解消売りは最終局面に支し掛かり、相場水準に関係無く売りが出されてしまうことに注意が必要である。3月期末を目前に控え、特に今後は持ち合い解消売りが需給面での重しとして強く意識されてしまうことになろう。

 ダイエーの経営支援策については、官民ぐるみの救援策がまとまったことで小泉内閣が掲げる「不良債権処理問題が前進する」との見方がある一方で、「露骨な政治介入を交えての救済劇」と批判的な声もある。一部の海外投機筋(ヘッジファンド)は問題先送りを嫌気し、銀行株に対して金融不安を先取りするような仕掛け的な売りを出し始めた。

 金融監督庁の特別監査の進展、数社の過重債務企業が経営破綻に追い込まれるとの警戒感も根強く、信用リスク不安は株式市場に暗い影を落とし続けそうである。

 今週はソニー、HOYAなど主力企業の昨年10−12月期の決算発表が行われる。円安メリット享受で好業績への期待が高まっているが、相場全体への効果は限定的となろう。

 1/20にオニール米財務長官が来日するが、不良債権処理問題に対し何らかのコメント飛び出すかどうかに注目。1/24のグリーン・スパン米FRB議長の議会証言にも注目。1/11に景気回復に対する過度の楽観論を強くけん制し、米国株が急落した経緯があるだけにグリーン・スパーン議長がより強い悲観的な見方を示せば米国株は再び波乱に見舞われてしまい、日本株への影響は避けられないだろう。


【物色の方向】

 こうした流れの中で、基本的には方向感の定まらない展開が続くだろう。ダイエー株が5割減資によって反落。ひとまず先週週初めに12月のボトムに対しての2点底形成が形成された格好の銀行株へも再び影響してきた。上記持合解消売りが続く懸念から下値波乱となっているが、ここで下値をじっくり固めていければ1月高値へのチャレンジも視野に入ることになる。

 ソニー、キャノンなどの国際優良株は、四半期決算発表で内容の良さが確認できれば先週の調整場面から再び抜け出し、多少は動意づく場面もあろう。それでも、ここでは3月末までに時間があり、一気の人気化は考え難いので慎重な投資姿勢が続くだろう。

 IPO銘柄はやや一服感が出ているが、新規銘柄は29日のD3パブリッシャーまでないことから、小動きの展開が続くと見ておきたい。本格的な動きは今月下旬からとなると考えておきたい。

 今週から来週にかけてはこうした地合の中で、材料含みのやや仕手性のある銘柄やブロードバンド関連銘柄など方向性が見えてきた銘柄群などが物色される展開が続こう。

 ナスダックジャパンでは電子カルテ関連のイメージワン(2667)、新たなコンビニ業態を模索するCVSベイエリア(2687)、好業績見通しを発表したモーニングスター(4765)、出来高増加のデジタルアドバータイジング(4772)などの動向に注目したい。

 JASDAQでは好業績の東建コーポレーション(1766)がしっかりとなっており、高値挑戦があるのか注目しておこう。またトレンドが崩れていないアスクル(2678)も週初のもたつき場面は狙い目と思われる。(炎)

 

2002/01/15(火)


 【先週の株式相場】

 小泉首相が金融危機の恐れが有る時は「銀行への公的資金の流入も辞さない」との強い方針を示したことから、金融システムに対する不安感が和らぎ、週初7日に日経平均株価は10,979.92円の高値を示現したが、一方で、米国株式市場が下期のV字型回復を期待する見方に懸念が広がり、調整局面に突入したことから、東京市場も米国株式に歩調を合わせるように下げに転じ、日経平均株価は4日続落。週末11日には10,500円を割り込み、TOPIXも1,000ポイントの大台を割り込んだ。

 主力取引銀行の債権放棄を含めた経営支援策検討が伝えられ、経営再建が進展するとの見方からダイエーが買われたが、逆に銀行サイドの負担が増加するとの懸念が強まり、銀行株は売り物に押された。

 昨年秋以来、日経平均を下支えしているのはハイテク優良株。大半の銘柄が下げトレンドを演じる中で、円安傾向、米国株の上昇傾向を背景にソニーやキヤノン、ホンダ、トヨタなどの銘柄が比較的強い動きを見せた点が、指数の下げを和らげているとも言える。
 また、市場では持ち合い解消売りの出やすい1部銘柄を避けて、昨年後半に新規上場した銘柄に物色の方向を定めている状態で、とりわけ、JASDAQ、NASDAQジャパン、マザーズなどの新規上場銘柄は、需給の良さから一方的に物色されており、業績と比べてやや過熱気味に推移。また、大幅な株式分割を発表した銘柄や、分割落ち後の銘柄にもこうした物色の高まりが見られた。

 先週末の日経店頭平均は1194ポイントで終え、先々週末に比べて49ポイントの上げを演じ、終値ベースでは11月6日の高値1192ポイントをクリアし、ザラ場高値1197ポイントにもあと一歩と迫った。
(日経平均週末株価10,441円59銭 前週比▲429円90銭 週末出来高8億3694万株)


【今週の株式展望】

 同時多発テロ後の景気浮揚に向けての政策によって、堅調な展開が続いてきたNYダウ(9,987ドル)が調整局面入りしたと思われることから、今週は特に米国株式の動向に注意が怠れまい。米国株式は本格化する第4・四半期の企業業績に注目を要することになりましょう。半導体大手のインテル、パソコン大手のコンパック、IBM、ソフトウエア大手のマイクロソフトの他、ヤフーなど主力ハイテク、情報通信関連企業の決算発表が相次ぐが、昨年10月以降米国株式は企業回復のシナリオを期待して上昇してきただけに、今後は企業側が示す見通しが株式市場の波乱要因になってしまう恐れがある。

 週末のNYダウは1万ドルを割り込んだが、更に9,766ドルを切ってしまうようだと陰陽の転換足は陰転を提示してしまうことから、事更注意が必要となる。
 NASDAQ指数(2022ポイント)は、株価の位置としては依然高値ボックス圏の動きにあり、今後は2,068ポイント以上の上値が重く圧し掛かることになりましょう。

 国内要因としては、不良債権処理問題と公的資金注入に対しての政府や銀行の対応が注目されることになろう。不良債権処理に伴う企業の大型破綻の懸念から、市場では「2月危機」、「3月危機」が言われているが、相場がこれら信用不安を織り込んだとみるのは時期尚早であり、まだまだ予断が許されない。

 昨年10月以来、日経平均株価は10,000円〜11,000円の狭いレンジのボックス圏での動きを余儀なくされており、いつレンジを抜け出し方向感を打ち出せるかに焦点が当てられることに。10,500円近辺に短・中期波動の移動平均線が収斂しているが、長期波動線である200日移動平均線(1/11現在11,764円)とのカイ離が大きいことから判断すれば、まだまだ日柄整理が必要のようだ。

 特殊チャート分析からはじいた日経平均株価の株価レンジは10,164円〜10,892円であり、変化日は1月21日と計測される。なお、週末は前場段階で日経平均こそ12月の安値を維持しているが、TOPIXが12月18日の安値983ポイントを下回り、再び下値模索の動きに入りつつある。

(以上 提供:アイリス・ジャパン・インベストメント


【相場の物色方向】

 円安傾向、米国株の上昇傾向を背景に、これまで全体相場を下支えしてきたソニーなど電機・精密ハイテク株や、ホンダなど自動車株への人気も今週は米国市場の調整によって多少波乱含みの展開が予想されるが、冷静にこれらコア銘柄の上昇傾向の中での押し目を待って買う作戦が奏効しよう。

 一方で銀行株は、2番底形成の動きに入ってきたので前回の安値を意識した展開となろう。15日から新たにスタートするUFJ銀行などの突込み買いの投資スタンスが望まれる。

 因みに主な輸出ハイテク株の下値目途としてはソニー(6758)の6000円割れ、NEC(6701)の1300円割れ、キャノン(7751)の4300円前後、リコー(7752)の2200円割れなどとなる。また、銀行株についてはみずほHD(8305)の12月安値21.3万円、三菱東京FG(8306)75.4万円、UFJ(8307)22.5万円、三井住友(8318)47.9万円が意識されることになろう。

 一方、市場で物色人気を高めてきたJASDAQ、NASDAQジャパン、マザーズなどの新規上場銘柄は、テク二カル上の動きからはやや過熱気味であるので、今週は多少一服場面が想定される。需給の良さを背景に一方的に物色されてきたことが反省される局面もあっても良いだろう。今週更に物色気運を高めるならば、一旦は手を空かしておきたいところである。

 但し、次のIPOは1月29日のD3パブリッシャーまでないため、基本的には需給関係がよく、1部市場の動きが鈍い間はIPO銘柄への物色人気が続くことも想定される。ここに来て、やや過熱感が出てきた点には十分注意をするとしても、少なくとも今後3ヶ月間における物色対象としてIPO銘柄は有望であることに違いはない。利益水準と中期的な業績展望を十分に見極め、過大な時価総額にまで株価を押し上げてしまわないような慎重な投資態度が続くなら、息の長い物色人気が続くことになろう。(炎)

 

2001/12/10(月)


 【先週の株式相場】

 まず、先週の株式相場から振り返ってみよう。週初3日は前週末の米エンロン社の経営破綻を受け、日経平均株価は326円安と急落に見舞われたが、その後は米国株高や円安進行から押し目買いや買い戻しが優勢となり、12/5には日経平均株価は261円高の10,713円と上昇、日々線が25日線、75日線、一目均衡表の基準線などチャート上の重要なフシを上抜いたことから、更に株価の上げに弾みが加わり、12/6にはザラバで11/26以来の11,000円台乗せを果たした。
 ただ円安、米国株高を背景としてハイテク株に資金が流入する一方で、米エンロンの破綻、ムーディーズによる日本政府の円建て債権の格付け引き下げ、青木建設の民事再生法申請など、信用リスクの高まりから銀行株や財務不安のある超低位の株価が売られるといった物色の流れに二極化現象が見られたのが先週の相場の大きな特徴であった。
(日経平均週末株価10,796円89銭前週末比△99円45銭。週末出来高9億2856万株)

こうした流れを踏まえて今週の相場についてはどうだろうか?


【今週の株式展望】

 先週は日経平均で見ると11,000円以上の頭が重いことが確認されてしまった。11月以降のリバウンド相場で日経平均が11,000円台に乗せたのが11月下旬と今週と2回あったが、2度共レジスタンスライン(上値抵抗線)を抜けることが叶わなかった。下ヒゲを含めて日々線が11,158円以上に完全に顔を出すようでないとボックス圏からの離れとなりませんが、難しそうだ。それはTOPIXの動きが極めて悪いからと言える。今週週末のNT倍率が10.32倍と11/15以来10倍台に乗せており、日経平均が割高で推移している。TOPIXが出遅れているのは時価総額の大きい銀行株が相場の足を引っ張っているからであるが、みずほ、三菱東京、UFJ、三井住友といった大手都銀株は本日も軒並みに安値を更新。

 先週末現在における各銀行株の位置を特殊チャートであるT・S波動週間VOLで見ると、軒並み20ポイント台まで下げて来てはいるが、20ポイント台割れの売られ過ぎゾーンに届いていないことから、もうしばらく一進ニ退型の相場展開を余儀なくされるものと判断せざるを得なかったので当然の動き。主力の大手都銀行株に底打ちの兆しが見られない以上はTOPIXの上値は限定的となり、連れて日経平均の頭も制圧されてしまうことに。

 TOPIXの各移動平均線は200日線>75日線>25日線>日々線と逆の位置にあり、一目均衡表も基準線と転換線のデットクロスが迫っており、典型的な弱気のシグナルがもう間近。
 TOPIXとは対称的に日経平均は、25日線と75日線が逆の位置にある以外はチャートはほぼ順調であり、株価も堅調さを持続させているが、早期の景気回復を手掛かりにした米国株高を背景としているだけに予断は許されない。日経平均を下支えしているのは米国景気に対する回復期待と円安進行であり、先週週末発表された7−9月期のGDPに見られるように、国内のファンダメンタルズが伴ってのものでないだけに注意が必要ではないだろうか。

 肝心の米国株であるが、NASDAQ総合指数のT・S波動週間VOLが来週80ポイント台の警戒ゾーンに達する見込みであり、ソロソロ注意が必要。NASDAQ指数のT・S波動からの変化日は12/12であり、特にFOMCでの利下げを受けた後の相場に注意が必要と考える。(以上 提供:アイリス・ジャパン・インベストメント


【炎の着目点】

 水面下では来年のテーマを模索する動きが続く、今週はIPO銘柄のラッシュ、需給の良さから人気化する銘柄も以上のようにテク二カル上の動きは冴えないものの、小泉内閣の構造改革や不良債権処理の進展が個別企業の淘汰として具体的に示され、佳境に入りつつあることも事実である。ここから短期的に見ると、信用売り残の増加による好取り組み銘柄への買い戻しの動きと、仕手系材料株への年末特有の短期集中人気がかろうじて相場を下支えする格好であるが、ハイテク株の一角や勝ち組と称される企業体質の強固な銘柄と建設、流通など企業基盤の脆弱な銘柄とに明暗分かれる二極化相場が継続することが想定される。本格的な企業淘汰が予感される中では、収益性や財務内容の良好な企業が比較的底堅い動きを見せるとの見方が一般的と言える。

 そうした意味では、指数は停滞しても銘柄の選別の仕方によって投資成果は上げられると見られる。仕手系株については資金の逃げ足は速く、高値掴みで四苦八苦するようなことがないようにと祈るばかりだ。また、来年に向けてのテーマ探しも水面下では進んでいるだろう。

 テクノロジーセクターの中ではNEC(6701)、ノリタケ(5331)、昭和電工(4004)などが関連するナノテク、三洋電(6764)、東北パイオニア(6827)が関連する有機EL、IT関連では日立(6501)が関連するデータの蓄積・保存ニーズに応えるストレージへの成長期待が高まっており注目される。

 更に来年は中国がWTO加盟によって一段とクローズアップされることになろうから、関連企業の動向が注目される。
 その中でもダイキン(6367)は、上海ダイキンで業務用エアコン、西安でコンプレッサを製造中。中国国内でのブランド力は電機のソニー並みに達しており、松下グループと提携して住宅用エアコンの製造も開始したほか、フッ素化学の本格的な工場を建設中とされ、人気化の動きを見せている。

 このほかでは基本的に財務内容の良い銘柄への物色気運が期待できることから、食品セクターのダイドードリンコ(2590・時価2260円)、建設セクターでは日本基礎技術(1914・時価423円)、ライト工業(1926・時価405円)など、今期減益見通しでも財務面の良さから下値が限定的な銘柄については買いのチャンスが到来しつつある。

 また、今週から登場するIPO銘柄にも目が離せない。本日はITセキュリティに関連するソフトウェアの輸入・販売を手掛けるフォーバルクリエイティブ(2724・公募価格24万円・NJ)が56.4万円の買い気配で値をつけずに終わったほか、適性テスト販売、及び適性テストデータに基づいたコンサルティング企業の日本SHL(4327・公募価格45万円・NJ)が初値67万円に対して終値は60万円となった。

 今週はこれから明日がデジタル画像フォーマット「VFZ」、セキュリティ配信管理機能「PADS」のR&D、販売を手掛けるセラーテムテクノロジー(4330・NJ)、明後日が計測用記録紙の国際チャート(3956・J)、ハウスウェディングのパイオニアであるテイクアンドギヴ・ニーズ(4331・NJ)、分譲マンションの開発・分譲を行うダイナシティ(8901・J)と続く。更に13日にはハリウッド映画及びその他映像のテレビ放映権の販売、日本語版制作を手掛けるムービーテレビジョン(4328・J)、国内大手企業向け総務関係サービス製品の販売を手がけるワークスアプリケーションズ(4329・J)とIPOラッシュである。

 また、14日上場のパル(2726・J)も関西地盤の衣料小売店であるが300円ショップも展開し注目を集める公算高いほか、同じ日に日商岩井系のIT、ライフサイエンス関連のベンチャーキャピタルであるITX(2725・NJ)が上場。これは時価総額が当初から2000億円以上と大きいため、需給面で多少重い感じがするが、機関投資家には比較的人気を呼ぶ可能性も考えられる。主力投資先のインターネット活用の格安電話会社であるフュ−ジョンの動向次第では予想外の人気化も想定される。(炎)

 

2001/11/26(月)


 密室で決まったにせよ、ようやく小泉内閣から具体的な構造改革の一端が示され、実行に移される運びとなった。道路公団の民営化の方向が決まり、第二次補正予算も国債償還に充当される筈のNTT株売却資金を使って4兆円規模で行われる運びとなった。構造改革と景気回復は二律背反であり、両方を満足させることはできないことは誰の目にも明らか。この不可能な命題にどう向かい合っていくのか、国民の1人としては数値で表される景気よりも先行きの希望を叶えてくれる構造改革に、一縷の望みを託したいところだが、その望みは国民一様ではないのも事実。生きていることにすら望みをなくし、明るい未来を捨ててしまうような自暴自棄の国民(投資家)が増えないように「億の近道」では今後も頑張っていきたいと考えている。

 発表される業績が悪い、出てくる経済指標はいずれを取っても悪い。先行きに希望が持てない指標の発表が相次いでもめげることはない。株式市場はそうした指標だけで動いている訳ではないことを認識頂きたい。

 市場に参加している皆さんの気持ちや心理が、株価に反映されていることは皆様もよく認識されているでしょうが、そうした認識が株式市場での投資家行動に表れ、今や信用の売り残が増加し、一方で信用の買い残が減少してきております。

 先安感や先行きへの自信のなさが投資家に信用の売り行動に走らせ、買いを手控えさせてきたことが判ります。日経新聞でこのことが伝えられ、これを好材料の一つと考えられた方は、素晴らしい投資経験の持ち主だと思います。

 現状の株式投資は、業績などのファンダメンタルズでは評価しにくくなってきました。アナリストは、できるだけ業績の先行きに自信が持てる企業をリコメンドしようと懸命ですが、この段階では業績面ではまだまだ評価し得ないところです。

 ところが、仮の(信用)需給面では多少話しが異なって参ります。
 先行きが不安だからヘッジの意味も込めて売りを出す。その結果が信用売りの積み上がりとなってきます。しかも買い残も減少しますから、空売りなどを掛けていると不安にかられます。

 下げトレンドならば安心ですが、多少でも上げトレンドを描き出すと不安で一寸でも上げ出すと買い戻しに入ってしまうのです。

 さて、年末を控えた現状の相場はまさにそうした状況で強弱感が対立。
 10500円から10800円で小浮動続ける日経平均の先行きはどうなるのか、早速に相場展望を試みてみましょう。


【先週の相場を振り返って】

 先週の日経平均株価は小幅ボックス圏での動きに終始。下限は25日移動平均線や一目均衡表の基準線の水準である10,500円絡み、上限は転換足のフシや一目均衡表の「雲」の上限である10,890円絡みに制圧された。
 日経平均の高値は11/19の10,849円、安値は11/21の10,490円であった。
 19日の株価上昇はアフガニスタン攻撃の早期終結期待や、米国景気の回復が早まるとの見通しが強まってのもの。叉、1ドル=123円台の円安進行で主力の輸出関連株に値上がりするものが増加し、平均株価の押し上げに貢献した。米国株が当面堅調に推移するのではといった観測から、海外年金やヘッジファンドの買い戻しが活発化した。
 21日の一時的な10,500円の台割れは、S&Pが日本国債の再格下げを強く示唆したことから、証券会社の自己売買部門が一斉に手仕舞いに動いたことから地合が急変し、それまで高かった平均株価は急速に値を消し10,500円を割り込む結果となった。ただ、銀行株が下げ止まったことから全体下値抵抗力を強め、この日、日経平均は85円高とプラスで取引を終了した。
 22日は大成火災海上保険の更正特例法申請といった事実上の経営破綻(債務超過398億円)が伝えられ、朝方は売り先行となり日経平均は10,529円は10,500円スレスレまで下落したが、その後は下げ渋りから小幅高に転じた。
(日経平均週末株価10,696.82円82銭前週末比△35円74銭出来高,6億7549万株)

【今週の株式展望】

 東京株式は持ち合い解消売りと買い戻しが交互に繰り返され上げれば押し、下げれば戻すといったボックス圏での動きを余儀なくされたが、今週も余程のことが起こらない限りは先週と同様な相場展開を予想する。引き続き上値は10,900円に制圧され、下値は10,500円に支えられることになろう。

 週末の米国株は堅調であったことから、今週も先週と同様、海外年金を中心とした買いが入る他、ハイテク株や銀行株などを中心に買い戻しも活発化しよう。 9/12の米国同時多発テロ事件を受けて、日経平均が1万円を割り込んだ水準で225先物12月限に相当量のヘッジ売りが舞い込んでしまっていることと、裁定業者の裁定取引のポジションが3分の1に激減したことなどを根拠に、12/14のSQ値は11,500円前後を予測する声も聞かれる。

 確かに信用売り残は90年以降の最高水準に達していることと、信用倍率も1倍台割れと売り方が安閑としていられない状況が続き、一寸押せば買い戻しが入り易い地合いにある。問題は売り方が動揺(踏み上げに発展)するような相場が訪れるのか否かということである。抵抗帯と見られている一目均衡表の上限の「雲」を突破するするようなら、12月インを待たずしてミニ踏み上げ相場が到来することになりましょう。

 110コールの建て玉が1万枚超えと、強気のシグナルにも要注目。一方、下振れリスクは一目均衡表の基準線や、25日移動平均線が収斂する10,500円を割り込んだ時である。先週号で触れてあるが、10,500円を割り込み75日線、25日線共々下向きとなると、今度は10,500円台が上値抵抗帯となってしまいます。この場合は1万円の攻防戦に焦点が当てられることになります。(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 

2001/11/19(月)


 【先週の株式相場】

 先週の日本株は、週前半こそ銀行株の急激な下落などを映して一時日経平均は10000円割れを演じるなど、全体に下落傾向を強めたが、週の後半においては米国株高を反映して、ハイテク優良株を中心に上昇傾向を強めた。日経平均、TOPIX共、週後半にかけて一段と値を上げ、日経平均は一時10800円台にまで上昇したが、週末ということもあって引けにかけては伸び悩んで終えた。
 アフガニスタンでの反タリバン勢力の勢力拡大で、米国の軍事作戦が奏効してきた点などを評価して米国株が堅調に推移し、NYダウが10000ドルの大台を伺いつつある点が、ハイテク株への買い意欲を高めた要因と考えられるほか、半導体需給への先行きの見通しが明るくなってきている点が、半導体関連株の株価を刺激している。ハイテク優良株買いの主体は外国人投資家と考えられる。持ち合い解消売りの出易い業種である銀行、損保、鉄鋼、造船、電力、ガスなどのセクターでは、急速に値を下げる銘柄も見られ、二極化の進展が見られるようになった。
(日経平均週末株価10,649円09銭前週末比△433円38銭。出来高9億9650万株)

【今週の株式展望】

 先週は想定通り日経平均が1万円前後からの一旦の反発場面を迎えたが、こうした地合の好転を受けて、今週も引続き底堅い展開を想定。相場の頭を抑えると睨んだ25日移動平均線(10493円)はわずかながら上昇を継続しており、このライン上に日経平均は抜け出してきた点から、目先の下値目途はこの25日線近辺になると考えられる。 ここに来て人気化してきたハイテク優良株が、引続き相場のリード役にはなろうが、これはあくまでもNY市場の動向に左右される点は留意しておきたい。

 今週は週末の3連休控えでもあり、来週にかけての月末接近のタイミングとも合わせ、ハイテク銘柄にも上げたところでは利益確定売りが出る可能性も高く、一気の上げとはならないと考えられる。時価総額の大きな銀行株の動きが冴えないことから、TOPIXは日経平均に比べて戻りが鈍く、今週はTOPIXが下落傾向にある25日移動平均線(1062円)を抜くことができるかに大きな関心が寄せられる。

 二極化相場の流れの中での銘柄の物色方向がポイントとなる。ハイテク銘柄の代表であるソニー(6758)、京セラ(6971)、ローム(6963)、村田(6981)、ファナック(6954)、TDK(6762)、NEC(6701)などのコア銘柄が、ボトムから40%〜60%の上昇率となり、今後も目先の利益確定売りを消化しながらどこまで戻していけるかに注目が集まっている。東京エレク(8035)やアドバンテスト(6857)など半導体関連株は、ボトムから既に70%の上昇を見せており、押しが大きかった銘柄ほど戻り率が高くなっている現状が読み取れる。

 それぞれに大底は打ったとしても、業績の本格的な底打ちが確認できていない中での反転上昇相場であるだけに、腰の入った本格上昇に繋がるとは考え難いことも事実である。二律背反の中で、株式相場の物色サイクルが描かれている点から、長らく下落歩調を辿ってきたハイテク株は、今しばらくの間は陽の動きが期待でき、優位にあることは否定できないが、余り過度に買われたような株価水準での飛びつき買いには注意すべきであろう。

 一方で陰のグループに属していると考えられる銀行セクターにも、目先の底打ち期待が高まることも想定される。年末相場は陰陽二極化されたセクター同士の綱引きの格好で形成されることになろう。(炎)

 

2001/11/12(月)


 米国株が上がっているにも関わらず、先週の日本株は値下がりを演じた。日経平均、TOPIX共、週後半調整色を強め、週末の株価は共に安値水準での引けとなった。
 米国の株価が堅調だった背景は、1)FRBが0.5%の利下げに踏み切ったことを好感した、2)10月決算を越したミューチュアルファドが新年度入りしたことで株式の組入れ比率を高めたこと、にある。

 日本株下落の背景は、10月相場で大きな買い主体であった公的年金の動きが止まり、買い手不在となった事や、生保各社の保有株売却、あさひ銀、大和銀など銀行株の急落などが影響してのものである。とりわけ、生保各社が比較的まとまった売りを出した事が、投資家心理を急激に冷やす結果となったと考えられる。
(日経平均週末株価10,215円71銭前週末比▲168円07銭。 出来高7億2969万株)

 今週の相場も、先週に引き続いて調整局面を想定。先週前半の相場は米国に連動した東京株式であったが、週の後半は米国株が落ち着きを取り戻したにも拘わらず、冴えない展開を強いられてしまった。
 これは銀行の不良債権処理など、日本独自の問題が絡んでのものと考えられる。不良債権処理に政府が本気で取り組む姿勢を示せないでいる事に失望し、銀行株が急落したが、銀行株の下げが続く間は腰の据わった買いが入ることはあるまい。銀行株の下落は「不良債権処理額の増強や株式含み損の償却に踏み切る」といったことが嫌気されてのもの。時価総額の大きい銀行株が、市場の信頼を回復することが株価の本格反騰に繋がるが、その時期はまだ先のことである。主要銀行の9月中間決算発表は11月第3週以降に本格化し、26日にピークを迎えるが、それまで相場全般の反発は期待し難い状況が続くものと考える。

 生保各社は、保有株の残高を圧縮する方針を打ち出し、株式売却に動き出したばかりであり、今後この種の売りに注意が怠れない。生保の株式売却により当面株価の頭が押さえられてしまうことになろう。

 チャート的にも日経平均は、26日移動平均線や一目均衡表の基準線を下回った状態が続いており、引き続き下値模索の展開が想定される。TOPIXに到っては26日移動平均線や、一目均衡表の基準線は勿論のこと、抵抗帯であった「雲」の下限のフシも割り込んでしまい、9/13と9/21に付けた安値984ポイントに対する二番底模索の様相を濃くしてしまっている。

 今週はとも角、月末に掛けてはTOPIXの1,000ポイントの大台割れも視野に入るものと思われる。
 日経平均は抵抗帯である「雲」の下限が10,032円、10/10と10/11の窓の下限が10,030円、フィボナッチの黄金分割比61.8%の理論値が10,020円と、チャート上の重要なフシが目白押しであることから、10,000円ソコソコの水準からは一旦の反発が考えられるが、上値は来週16日以降下降に転じてしまう25日移動平均線(11/9現在10,493円)に制圧される事になると考えられる。(提供:アイリスジャパンインベストメント)


【今週のJASDAQ市場展望】

 10月26日の1194ポイントを天井に、日経店頭平均は全体市場に歩調をあわせて若干の調整局面入りとなっているが、個別には引続きしっかりした動きを見せる銘柄も見出せる状態である。

 先週6日にジャスダック市場に上場した日本システム技術(4323)の初値は2150円と、公募価格950円の約2.3倍に達した。
 依然として「IPO」銘柄の高人気は続いているが、公開スケジュールは一服となる。

 今週の上場予定は、14日の菱和ライフクリエイト(8896・ジャスダック・不動産の販売・賃貸管理事業を手掛ける企業)、16日のタカラレーベン(8897・ジャスダック・分譲マンション等の企画・販売及び不動産賃貸事業)と不動産関連企業の上場が相次ぐ。こうした観点からは、市場人気はこれまでに比べ沈静化すると考えられる。

 先週目についた銘柄は、北陸の大型ディスカウントスーパーであるみった(7646)である。私はこの銘柄を、私の有料メールマガジンにて10月の月次売上高の好調さがひときわ目に付いた点を紹介しておいたが、1400円台が商いを伴いながら一気に1900円台乗せとなるなど、動きの良さが光った。今週は15日に同社首脳との面談を予定しており、楽しみである。

 このほか、明光ネットワーク(4668)など低PERの出遅れ銘柄が週末にかけ堅調であったが、ここまで短期上昇を見せた一連のIPO銘柄には、利益確定売りが広がった。
 今週も引続き短期上昇のIPO銘柄には、遅ればせの利益確定売りが出やすいだろうが、基本的に割安感のある銘柄は押し目突込み買いスタンスで奏効しよう。

 チャートの形は多少悪くはなったが、精米メーカーを標榜する木徳神糧(2700)は今期の決算発表を控えて注目すべき段階にあるほか、センチュリー21上場を来週に控えて、業績面も好調な東建コーポ(1766)などは類似企業として注目できるだろうから、押し目があればすかさず買いの対象となろう。消費関連では雅子様の出産を控えて手芸の藤久(9966)に水準訂正の余地があろう。ここでの調整局面では、やや中期スタンスで取り組むことが後から振り返って見ると良い結果を生むものと見られる。(炎)

 

2001/11/05(月)


 =IPO銘柄がフィーバー!!=

 先週の株式相場は全体的には調整場面を迎えたが、その反動か、逆にIPO銘柄には物色人気が高まってきた。需給の良さから7、8月以降に上場した割安銘柄が軒並み物色され、さしずめIPOバブルとでも言うべき現象が生じている。億近読者にも、この恩恵に預かられた方も多いのではないかと思うが、そうでないなら、改めてこの現象に目を向けて下さい。この現象は単に行き場のないお金がIPO銘柄に向かっているというだけの解釈では理解できません。この人気は、きっと次の展開を予見させてくれるものになると考えるのは私だけだろうか。

・秋深し 隣のIM(P)O(いも)は うまかった (読み人知らず)

・あきらめの 茅場に吹きし 神の風 (芭蕉)

・新興の 企業眺めて 感動す (芭蕉)

・寒空に 頼りになるは 新規物  (芭蕉)

 最近のIPO銘柄の上昇例を上げると、億の近道でも紹介したことのある、日清医療食品(4315)が2700円から5150円まで商いを伴いながら上昇。また、レイ、グリーンクロス、クイック、ミドリ薬品、ストロベリーコーポなど、10月のIPO銘柄は公募価格に対して軒並み倍以上に上昇。上場初値からも上昇著しい。

 しかしながら、こうした出来事は過去にもあった。JASDAQをはじめとした小型株は上にも下にも行き過ぎはつきもの。中には、成長期待の高いCRMに特化したシステムコンサルタント会社であるイーシステム(4322)のように、公募価格の6倍で初値をつけるなど、異常な人気の高まりが見られますので、どこかでまた高値掴みの相談をしてくる方も出てくることになるでしょう。

 さて、こうした展開を横目に、今週の相場展開はどうなるでしょうか。先週を振り返って、いつものように今週の相場を占っておきましょう。今回は特にJASDAQ相場の展望も占ってみたいと思います。


【先週の株式相場】

 先週の東京株式市場は、想定通りの調整場面を迎えたが、その中で引続き小型株、とりわけ日清医療食品(4315)など直近上場のIPO銘柄が好需給を背景に軒並み買い進まれたことで、JASDAQ市場だけでなく、NASDAQジャパン、マザーズ市場などの新興市場銘柄に物色気運が高まった。銀行・証券株などが売られた1部市場とは対照的に、日経店頭平均は1190ポイント台に乗せるなど、上昇傾向を続けた。
 1部市場銘柄はほとんど動きがなかったが、TDK、京セラなどハイテク銘柄の一角が多少しっかりした展開を見せたに留まった。 日経平均は、下値目途とした25日線移動平均線に接近。週末には多少小戻す展開で終えた。
(日経平均11月2日終値10,383円78銭前週末比▲411円38銭)

【今週の相場展望】

 積極的な買い手不在の中、下値を模索する展開を想定。日本の景気指標の悪化度合いや、アフガニスタンの戦況を睨みながらの神経質な地合いが継続しよう。チャート悪化で下押し圧力にさらされながら推移すると思われる。
 投資家マインドを一段と冷やしてしまう悪材料でも出てしまうと、1万円の大台を維持することは難しいでしょう。先週の相場を下支えしてきた公的資金の買いが、新規資金の配分の終了と共に途切れ、週末にかけては軟調に推移。今週も「公的年金の買いが期待できない」上に、企業と大手銀行との間で株式の持合い解消売りが活発化し、相場全般を圧迫してしまうとの見方が多い。

 11/5には9月の景気動向指数が発表されるほか、8日には9月の機械受注統計が発表される。
 このところ「生産、雇用面で予想外の悪い数字がでているため、両統計ともに悪化は折り込み済み」と見られている。現実的にどの程度悪化しているのかどうかに注目が集まることになろう。9日に経済財政諮問委員会が開かれるが、経済政策運営を巡っては、このところ政府間で意見の対立が目立っており、9日の会議にしても取りわけ株価を刺激するような目新しい材料が出ることはないだろう。

 注目は11/6に開催される米国のFOMCと、8日に開かれる欧州中央銀行(ECB)理事会である。米・欧共に利下げに踏み切るこが確実視されている。米FRBは政策金利であるFFレートを現行の2.50%から0.25〜0.5%引き下げようが、利下げは市場ではほぼ織り込んだと見られており、特段株価を押し上げる材料とはならないだろう。

 先日発表された10日の米雇用統計では、5.4%の失業率が示されたが、失業者の増加は「景気の底を反映するもので、景気も次第に上向くことになろう」といった楽観的な見方が強まり、景気敏感株が買われた事から、週末のNYダウは59.64ドル高と堅調に推移した。

 このように、一旦の調整場面を経た今週の株式相場は強弱感が分かれ、企業業績の発表を控え、全般模様眺めの展開が予想される。9月中間決算発表の発表がここから本格化することから、主力銘柄には様子見姿勢が強まろうが、予想以上の好決算を発表した銘柄で割安感の出た銘柄には、素直に反応する展開も想定される。

 物色の基本は好業績、割安銘柄だが、ここ1年以上にわたって売り込まれてきた東京エレク(8035)、アドバンテスト(6857)などの半導体関連銘柄をはじめ、村田(6981)、ローム(6963)、日本電波工(6779)などの携帯電話関連の電子部品株にも、そろそろ受注の回復期待が高まりつつある。

 先週見られたJASDAQのIPO銘柄フィーバーはやや行き過ぎの感があるので、高値掴みには注意。これらは1部市場の停滞と逆相関で買われることになるため、1部市場に活気が戻れば一旦お休みとなることも想定したい。
 それでもこのところのIPO銘柄の勢いは良く、循環的な物色が続く公算もある。JASDAQやNASDAQジャパンにおいても、多少ハイテク寄りの銘柄が物色人気を集めやすい環境にあるので、プラスチック金型の大手である不二精機(6400)や、半導体検査用プローブカード大手である日本電子材料(6855)などの動きに注目。先週からはブロッコリー(2706)、タスコ(2709)、日本ライトン(2703)など比較的PERの低い、なお出遅れ感の強い銘柄への物色人気が再び高まっていた。木徳神糧(2700)も今期の決算見通しの発表を前に、再び動意づいてきた。また、低PER銘柄の代表である東建コーポ(1766)は、100株単位への移行で売買が活発化し、上昇傾向が鮮明になってきた。一連のIPO銘柄の過熱感が出れば、こうした出遅れ銘柄へ物色がスイッチすることも予想され、日経店頭平均は引続き底堅い展開が期待される。(炎)

 

2001/10/29(月)


  =ポスト戻り相場を占う局面入り=

 9月21日のボトムである9382円から、20%近い上昇を演じてきた日経平均であるが、この辺りからはそろそろ強弱感が分かれる局面に入ってきそうな状況になってきた。このまま一本調子の上げが続くのか、また続くならいつぐらいまで続くのかなどなど、皆様の関心は高いだろう。

 既に大方の皆さんが、何らかの形で戻り相場でキャピタルゲインを手にされたのかどうかは判りませんが、もし手にしてもまだまだ有頂天になってはいけません。
 銘柄によっては相当に高値掴みをしたままであったり、人によっては空売りをかけて担がれてしまったりと悩みも千差万別でしょう。

 日本経済の行方にとって、ここからの構造改革の進展がより重要です。海外では相変わらずの炭疽菌騒動が続き、テロ組織壊滅に向けたアフガンへの報復攻撃もラマダンまで日数が迫っており、まだまだ混沌としております。
 日本での狂牛病問題は、検査証の貼付で消費者への信頼感が戻って消費の回復に繋がるのか要注目でありますが、ひとまず峠は越えたと言っても良いでしょう。

 グローバル企業にとっては、ここでの円安が業績面に多少プラスに働いているでしょうし、様々なアイデアを駆使すればこの窮状も克服できる筈です。企業業績の発表が今後相次ぎますが、業績悪を株価がどこまで織り込んでいるのかを慎重に見極めながら、今週以降も相場をできるだけ細かくウォッチしていきたいと考えております。

 様々な思いで銘柄選定に皆様自身でも努力されていることと思いますが、どうか油断せずに着実な運用を心掛けて頂きたいと願っております。
 上記タイトルは私が勝手につけたものだが、今後の相場展開は果たしてどうなりますか・・・。

 さて、本日もテク二カルアナリストが描く今週の相場展望からスタートしたいと思います。ご参照下さい。


【今週の相場展望】

 先週の東京株式相場は、米株式が炭疽菌の被害拡大にも拘わらず今後の景気回復期待などを背景にして堅調に推移したことから、概ね堅調な展開で推移。日本では9月中間決算発表がスタート。業績悪化は株価に織り込み済みとの見方が広がり、買い戻し中心に買い物を集め、日経平均は一時およそ2ケ月ぶりに11,000円台を回復し、日米株価とも米同時多発テロ後の戻り高値を更新するに至った。ただ日本株式は、11,000円を付けた後「達成感」から週末株価は伸び悩んだ。
(日経平均週末株価10,795円16銭前週比△256円38銭。出来高8億706万株)

【今週の株式展望】

 今週は一旦の調整を想定。なぜなら日経平均の10,900円〜11,100円の株価水準は3分の1戻り(11,106円)、一目均衡表の雲の上限(10/26現在10,946円)、75日移動平均線(同10,958円)など、チャート上の重要なフシが目白押しであり、11,000円台を一時的に回復したことからも一旦調整があって然るべきと考えられる。
 日経平均の下値の目途であるが、基本的には「二番底」形成局面と捉えることが出来るので25日移動平均線が上昇に転じたことから、今度は25日移動平均線(同10,252円)が下値の目安ということになります。

 一目均衡表の基準線が上向きに転じたことにも注目。基準線の上向き転換は実に5月中旬以来のことであり、これで日々線が雲の上限のフシを突破すれば中期的な買いシグナルが点滅することになるので、この場合は強気で押し目買いを貫抜く必要があります。

 株価シナリオとしては11,000円→10,300円→11,500円が描けることになる。ただこれでも二段上げ上昇三波動であり、もう一段上げの可能性を残すことから、年末までに8/2の戻り高値である12,407円を取りに行くことも頭の中に入れておきましょう。

 主力ハイテク企業の9月中間決算発表は一巡したが、全般としては中間決算発表がここから本格化することから、様子見姿勢が強まることになろう。業績の先行きに強弱感が対立しており、神経質な展開が余儀なくされることになろう。

 アフガン情勢など軍事行動や、炭疽菌事件などテロ再発による米国株式の動向には警戒が必要。米国市場は極端な悲観は後退したが、景気や企業業績がまだまだ不透明であることと、株価も短期的な過熱感が見られることにも注意が必要です。

 例年、この時期は3月期末を睨んだ持合い解消売りも出易いことから、今後売りをこなしていけるだけの「市場エネルギーの回復」が見られるのかどうかが鍵を握ることは言うまでもないことでしょう。

(情報提供:アイリス・ジャパン・インベストメント  テク二カルアナリスト:伊藤)

 

2001/10/22(月)


 全体相場は既に底入れから1ヶ月が経過。ここからどうなるのか皆さんの関心は高まっているに違いない。
 今週も皆様にはアイリス・ジャパン・インベストメントのご好意で、相場見通しをボランティアで提供させて頂きます。
 これまでの経緯からそろそろどうなのかなあ・・・。と心に過ぎる不安が払拭できますか、はたまた下げを示唆しているのか、全体相場の動向を理解するために参考になさって下さい。


【先週の株式相場を振り返って】

 日経平均株価に寄与度の高い値嵩のハイテク株に買い戻しが継続したことから、日経平均は週央10,790円の戻り高値を付けたが、短期的なテクニカル指標が過熱感を示したことで利食い売り圧力が強まり、週後半はスピード調整を入れた。

 米国株価も9/11のテロ発生直前の株価水準まで戻りを入れた後、方向感に欠ける展開となっている。

(日経平均週末株価10,538円79銭前週末比△93円56銭。出来高6億5468万株)


【今週の株式相場と個別銘柄への売買作戦】

 買い戻しを中心としたリバウンド相場も一巡した感があり、押し目待ちの投資戦略に頭を切り替えるべきでしょう。通信株を中心に先駆して上げていた銘柄に頭打ち傾向が見られることから、相場全般はもみ合いから一旦押し目を形成。日経平均は転換足のフシである10,792円〜10,912円に制圧され、TOPIXは1,090ポイント〜1,102ポイントに頭が押さえつけられることになりましょう。

 これらのフシ目接近局面では手をスカシ、モノによっては空売りも可である。 既にNTTグループ3社は特殊チャートであるT・S波動日足VOLが80%の警戒ゾーンに達した後、予測通り調整局面に入っている。

 今週はソフトバンクの動向に注目。転換足のフシ目は3,430円であるが日足VOLが3,080円以上で80%台乗せの警戒ゾーンに達することから、先週付けたザラでの戻り高値である3,120円抜けから売り場を探すことにしましょう。

 ソニーは5,480円接近局面は空売り賛成。この他、村田製作、ファナック、なども来週の上げ局面で売りを考えたいクチである。
 それから空売りはできないが、ヤフーも来週は戻り高値を形成することになりましょう。従って持っている方は一旦ハズシである。

 なお、全体相場は週後半から月末に掛け調整色を強め、日経平均の1万円ソコソコまでの下げが考えられる。日経平均の1万円の水準は25日移動平均線(10/19現在10,046円)、一目均衡表の基準線(同10,086円)、9/21からの上げ幅の半値押しの水準(同10,086円)といったチャート上の重要なフシ目が横たわっており、次の調整局面ではこれらのフシ目をアッサリ下回ってしまうのかどうかが大きなポイントとなります。

 これらの重要なフシ目をキープし二番底を形成なら、日経平均株価は年内の8/2の戻り高値12,402円へのチャレンジも頭に入れておこう。

 引き続き炭疽菌や狂牛病、叉米軍によるアフガニスタンへの地上作戦開始など、不透明要因は多いが、米国で本格化している企業決算の発表で予想を上回るものも出始めるなど、景気、企業業績に対する過剰な不安は後退しつつあり、これからのダメ押し的な下げは基本的には強気で対処することにしましょう。
(情報提供:アイリス・ジャパン・インベストメント


以上です。参考になりましたか?(炎)

 

2001/10/15(月)


 テロ、アフガン攻撃、狂牛病といった言葉が新聞の活字として踊ってきたが、今度はそれに炭疽菌が加わった。疽(そ)の字がまともに出ないのでひらがな表記しているテレビもあるぐらい、なじみのない言葉ではあったが、来年の入試に出る言葉になるのかも知れない。

 さて、先週の株式相場は堅調に推移し、日経平均は約1ケ月ぶりに10,600円台を回復。米国株式市場の上昇を受けて買い安心感が広がり、週後半の2日間で日経平均は600円以上の大幅な値上がりを演じ、米同時多発テロ事件後の株価水準を回復。これで皆さんもほっと一安心であったかも知れません。

 でも中には、安値水準で下手に空売りなどかけて困っている方もお見えになっているのかも知れませんね。私の友人からも、空売りした銘柄が担がれて困っているとの悲しい知らせが届き、慰めにしかならないアドバイスをしておいた。そういう時は逆、逆になるから怖い。
 まともに割安感が出てきた銘柄をコツコツと買っていた方には、チャンスが到来しているとも思える昨今だ。

 なお、週前半の9日、10日と1万円大台の攻防戦が続いたが、11日は前日の米国株式の大幅高を支援材料に日経平均も382円高と急伸し、5月下旬以来株価の頭を押さえていた25日移動平均線を一気に上抜いた。週末12日は10月限オプションの特別清算指数(SQ)の算出日であったが、寄り前の外資系証券の売買注文が久々に買い越すなど売買高を伴い、日経平均は週末に掛け2日続けての上げを演じた。

 但し、ほっとしたのもつかの間。今週の株式相場は米国によるアフガニスタン空爆の継続期間など先行きに対し不透明感が強く、不測の事態などによる下ブレ懸念を抱えながらの展開を余儀なくされることになろう。

 今週以降も国内機関投資家の押し目買いが継続し、海外株式市場の落ち着きを受けた外国人投資家が買い姿勢に転じる可能性もあるが、米テロ事件が投資家に与えた影響は大きく、軍事行動に対する報復テロ再発には神経質にならざるを得ない。このためこの水準から更に買い上がるのは難しい状況となる。

 アフガニスタンで地上戦が開始され、戦争状態が長期化するなら世界経済への影響は避けられない。更に、銀行の不良債権処理が遅々として進まず、金融システム不安の高まりも懸念される。

 今週から本格化する米企業の2001年第3・四半期(7−9月)の決算発表も注目される。業績悪化が続くようだと国内企業への不安感が強まってしまうことになろう。米空爆に対する報復や地上戦突入による戦争状態の長期化など、軍事行動の行方は依然不透明であり、一気に買い上がることは出来まい。

 9月中間期の決算発表では企業収益の悪化で2002年度以降の企業業績について不安感が一層強まってしまう恐れがある。

 今週はここハイテク株の買い戻し中心に上げピッチが速かったことから、利益確定売りに伴う調整は止むを得ないことでしょう。銀行の買い越し額も急減しており、ポートフォリオのリバランスによる買い戻しも一巡したと見られ、ここからはむしろ持ち合い解消売りが増加することに注意が必要となりましょう。

 有力テク二カルアナリストによるチャート分析では、日経平均の日々線が25日移動平均線を抜き、かつ25日線が下降から横バイになりつつある事から25日線(10/12現在9,982円)が当面の下値目途になるとしている。

 参考までに一目均衡表、強気シグナルの発信順について紹介しておきましょう。

1.転換線が上向く
2.転換線と基準線がゴールデンクロスする 
3.遅行線が日々線を突破(=25日線が上向く) 
4.基準線が上向く 
5.日々線が「雲」を突破。

 以上の手順を踏んで中長期的の強気相場へと発展するが、現在は2.まで達成である。来週の相場において日経平均が10,632円以上を維持していれば、4.まで達成する。特に一目均衡表では基準線が上向くことが強気のシグナルとして重要であり、上向き確認なら完全に買い方主導の相場展開ということになります。今年の3月26日に基準線が上向きに転じた時は、その後5月7日まで上昇相場が継続することになりました。(情報提供:アイリス・ジャパン・インベストメント)

 テク二カルアナリストのご意見も参考にして頂くとして、日経平均は3月15日の安値11433円に続き、9月21日の安値9382円と決算月である3月、9月の半ばにそれぞれ安値をつけております。

 前回はそのボトムのあと5月7日高値まで27%上昇。今回もそれを当てはめれば12000円接近もありうるでしょう。一気に上昇せず適度の押し目を形成して徐々に上がっていくなら、年末には結構明るい展開も想定できるかと私自身も考えております。テク二カル指標では週後半にも短期的に過熱ゾーン入りする公算もありますので、一気に上げる局面では手をすかしておきたいと思います。(炎)

 

 

2001/10/01(月)


 【上半期&先週の株式相場を振り返って】

 3月末に12999円だった日経平均は小泉首相の構造改革への期待感から、5月7日に年初来高値である14,529円41銭まで上昇。その後は、ITバブル崩壊による主力ハイテク企業や情報通信関連企業の業績下方修正が相次ぎ、水準を切り下げた。

 更に9月11日に米国で同時多発テロが発生すると、世界的な景気後退懸念が広がり、株価は一気に1万円を割り込むことになった。注目された2001年9月中間期末の28日の東京株式市場は、前日の米国株高を好感して続伸も、景気や企業業績の先行き不安を背景に上昇力が弱まった。

 日経平均株価の終値9,774円68銭は9月末の株価としては1983年以来実に18年ぶりの安値水準となる9,000円台の株価である。3月期末の12,999円70銭を24.8%下回る水準であり、保有株式の含み損が拡大し、銀行など企業の財務体質に悪影響を及ぼすことは必至である。TOPIXは1023.42ポイントであり、3月株価を19.9%下回った。

 ただ唯一の救いは、98年安値974ポイントを下回っていない点だけ。半期ベースでみた期末の株価が前回の期末の株価を下回るのはこれで3期連続となる。

(日経平均週末株価9,774円68銭前週比△219円69銭 出来高7億1968万株)


【今週から来週にかけての株式展望】

 いよいよ名実共に10月相場インで2001年度下期入り相場となることから、再び持ち合い解消売りが勢いを取り戻す可能性が強い。期末通直後の4月上旬から大口の保ち合い解消売りが出た経緯があり、9月中間期末で売りを手控えていた銀行や事業法人が持ち株の処分を再開し、需給関係を悪化させてしまうと見られている。

 政策面では「当面の最優先課題はテロ関連法案の審議」となり、不良債権の抜本的な処理など市場の期待する経済対策は足踏みを続けたままになりそうである。この場合実体経済の悪化に関心が向かわざるを得ず、買い手不在に陥る懸念が強い。

 中間期末を通過したため、「年度末にあたる来年3月までリップサービスさえないのではないか」と市場関係者は株価の下落に実効のある対策を打ち出せない政府・与党に、苛立だしさを隠せないでいる。景気や企業業績に好転の兆しは見られず、ファンダメンタルズの改善なしに株価の本格反騰はあり得る筈もなく、今しばらくは戻り売り優勢の展開が続くものと考えざるを得ない。

 ただ、目先は諸々のチャート指標が底値を提示しているものが多いことから、今週も基本的にはリバウンド相場が続くものと考えたい。

 注目すべきは日経平均よりもTOPIXである。TOPIXは日経平均に先駆けて9/12の990ポイントで目先の底を打ち、昨日28日には転換足が5月中旬以来4ケ月半ぶりに陽転を提示したことは注目に値しよう。と言っても、一法則の陽転提示であることからまだ信頼は置けないが、日経平均や225先物が終値ベースで1万円の大台を回復するようなら、公的年金の運用資金の下期配分による買い需要の高まりなどが予想されている折りでもあり、TOPIXの1,100ポイント近辺までのリバウンドを頭に入れておく必要があろう。

 日経平均が再び安値を更新するのは一旦戻りを入れてから。25日線は何とかクリア出来たとしても75日線をクリアすることは至難の業であり、まだまだ日柄、値幅共整理が続くものと見ておきたい。

 

 

2001/09/17(月)


 米国での同時多発テロの発生でどうなる株式市場
 今週予想される報復の動きが市場の混乱要因となるか・・・
 ついにマイカルが倒産!!市場はこれをむしろ好感したが今週はどうなるのか・・・。
 
世界中が固唾を飲んで見守るNY株式市場の再開後の動きは?

 週明けの東京株式市場は再び大きな下落でスタート。今晩再開されるNY、NASDAQの動きが気になるところ。NYがスタート後下げても多少でも戻って終われば好感も想定されるが果たして・・・。FRBの量的緩和や金利引下げ、企業の自社株買い実施など対応する米国株式市場は国民が支えている構図があるが、この構図が果たして機能するのかとにかく注意深く見守るしかない。現地ではクレジットカードが使えないとの話もあって週明けの株式市場では換金売りが発生する公算が伝えられている点も気になるところ。まずは有力テク二カルアナリストが語る先週末時点での相場展望から。

【先週の株式相場を振り返って】

 11日に米国で発生した同時多発テロ事件を受け世界同時不況の懸念が台頭し、日経平均は1983年12月以来の安値水準となる9,619円10銭まで急落を余儀なくされた。週末14日には大手スーパー、マイカルが会社更生法の適用を申請する方針を固めたことを受け、金融機関の不良債権処理が進むといった見方が強まり、週末の日経平均株価は1万円の大台を回復して取引を終えた。

(日経平均週末株価10,008円89銭前週末比507円36銭 出来高11億3614万株)


◆今週の株式展望(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 17日に取引が再開される、米国株式の株価動向に焦点が当てられることになるが、週明けの米国株式は売りが先行することになりそう。同時テロ事件後に取引を停止していた米国株式は、1割程度の株価下落を予想する投資家が多く、この程度の下げに留まるなら先行して下げに入っていた関係から、「日本株はそれほど影響を与えるものではなく、平均株価は9,000円台を維持する」といった見方が広がっている。

 市場の関心は18、19日の両日に開かれる日銀金融政策決定会合に寄せられているが、「日銀が追加的な金融政策を打ち出したとしても財政とのセットでなければ景気に与えるインパクトは小さい」との見方が大半であり、日銀の政策決定会合は株式市場にとってはポジテブには働かないことでしょう。

 週末日経平均株価は1万円の大台を回復したが、薄氷を踏む思いのかろうじての1万円台回復であり、尚、予断が許されない。
 225先物は10,140円、TOPIXは1,051.92ポイントに各々窓が空いており、週前半の戻り目途を窓埋めに置いておいたら如何か。日経平均の下ブレリスク管理値は9,480円、又、TOPIXのリスク管理値が959ポイントであり、これらの重要なフシ割れには注意が必要となります。

 T・S波動からの変化日は18日です。この日の突っ込みで一旦底が入るかどうかというところです。

 

 

2001/09/10(月)


 さて、今日も先週の相場を振り返り今週を展望することから始めましょう。

 先週も景気低迷や海外株安を受け、4日に日経平均が10325円という安値をつけるなど、株式相場は引続き弱含み。月曜の大幅安の後は陰陽陰陽の底練りの様相を呈し、一時はファナックなどのハイテクの一角やソフトバンクやCTCなどのIT関連銘柄が人気を集めるなど、久しぶりに明るい展開も見られたが、週末は前日の米国株安や4−6月期のGDPのマイナス成長を売り材料に日経平均、TOPIXとも続落。結局先週末に比べて200円近い下げで終えた。

(日経平均終値・10516.79前週末比較▲196.72 出来高7億4787万株)


◆今週の株式展望(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 今週の東京株式についても引続き軟調な展開が予想される。米国では主要企業による7−9月期業績見通しが伝えられ始めており、企業収益の悪化や企業業績の先行きが不透明なことが嫌気され、米国株価が調整を強いられてしまう中、東京株式への影響が避けられず、日経平均株価は1万円の大台を割り込んでしまうことも想定しておきたい。

 4−6月期GDPの発表を受けて補正予算の規模が具体化されようが、年間国債発行30兆円以内の枠組みでは補正予算の規模は2兆円〜3兆円に限定せざるを得ず、これでは実体経済への効果も限定的。仮に国債発行の枠組みを撤廃し、5兆円規模の補正を組めばサプライズの材料となり、見直し買いに株価は上昇しようが、買い一巡後は「小泉改革」の実行が遅れ、失望売りを招き、その結果株価の下落に繋がってしまうことになろう。こう考えると、補正予算云々は株価にとっては不透明要因となってしまう。

 今週はむしろ経済政策に関心が集まると考えられる。一歩踏み込んだ具体化策が打ち出されれば物色気運が高まろうが、そうでないと本格反騰は期待薄。むしろ失望売りを誘うハメに。

 11日の経済対策では「改革工程表」が示され、1ヶ月以内には「工程表」から具体的に実現を目指す項目が発表される予定。続く14日は9月のSQ算出日であり、週後半に重要日程が重なっており、特に後半の動きに焦点を当てることに致しましょう。

 

2001/09/03(月)


 株式市場の火を消すな!!
 米国でのITバブル崩壊という大地震による津波が太平洋を渡って日本に到来。
 株式市場は未曾有の混乱、政府内の緊張感はいまだに国民に伝わらず!!
 株式相場の下落は最後の投げを見るまでは続く…。

 未来を夢見て多くの投資家が集まる世界としての株式市場が、米国のITバブル崩壊の余波を受け大混乱に陥り、相変わらず下値模索の動きが続いている。株式相場は理外の理で、皆さんが考えもしない水準にまで低落傾向を見せてきた。一連の日本のハイテク企業が想定できないような大幅なリストラを余儀なくされていることが判って、もはや日本の景気は更に悪化するとの印象を持った方が、なけなしのお金で買った株を売りに出しているのか、もうどうにも下げ止まらない。個人のみならず機関投資家も売りたい気分に駆られているのであろうか。

 政府は雇用対策に力を入れる方針のようだが、もっと早く受け皿作りのスキームを作っておくべきだった。世情不安に陥ってからでは遅い気がする。
 すべてが後手後手に回るお役所仕事。災害が起きてからでないと動かないのが役所。

 雑居ビルの火事が起きて、死者の数が予想以上になって始めて対応する役所。新宿での大惨事を見て、地方の役所でも巡回が始まった。
 政府の仕事もこれに近いものがある。難しい仕事ではあろうが、政治家の仕事も未来を予想することが重要。

 株式市場の動向を占うアナリストにも共通したところがあるが、彼らは大半が予算の分捕り合戦に終始する。
 昔の政治家のように、私財を投げ売ってでも政治に命を賭けるような、気概のある政治家はいなくなったのか。
 国民のために何をなすべきか、根本的な議論は一部マスコミに登場する評論家まがいの先生に任せているような感が強い。彼らの生活は様々な恩典に守られているから呑気に構えておられるのか?

 政策当局者の緊張感はいまだに国民に伝わらず、今日の株式相場も大幅に下落。あきらめムードの中で株価は消えていく。
 火事は消しても株式市場の火は消してほしくない。炎がめらめらと燃え盛るような熱い相場が再び訪れるのは一体いつになるのか?

 銀行から株式市場をメインにした社会構造の一大転換が図られるチャンスであったのに、何をもたもたしているのか!?

 現状が間接金融から直接金融への転換点であることは明らか。市場崩壊の前に一般個人投資家がしっかり物を考えて、市場に参画してくるムードを醸成するチャンスとの認識で、積極的な市場振興のメッセージを送るべきであろう。

 それにしても、お金を持った方々がなかなか入ってこない。郵貯に流れてしまった臆病な資金が、セキを切ったように入ってくるような実効性のある政策はないのか?証券税制の対応の遅れは市場の混乱を収める契機になるだろうが、それにしてもタイミングが遅すぎる!!

 などなど思いめぐらし、暗いムードで始まった9月、秋相場の前途多難で大方の市場参加者は様子見の状態。買い手控えムードの中をすかすかと下値を切り下げている現状は、さながら恐慌前夜のようだ。

 さて、そうは言ってもまずは冷静に先週の相場を簡単に振り返って、今週の相場をテクニカル面から展望しておこう。

 先週の株式相場は、米国株安に連動する格好で下げ足を早め、日経平均はバブル崩壊後の安値を3日連続して更新。
 日経平均の11,000円の台割れは実に17年ぶり。米国株安の他、「不良債権処理のスピードが遅すぎる」ことや、「改革工程表」がズレ込んでしまったことが嫌気された。
(日経平均終値10713.51円前週末比▲452.80円出来高7億995万株)


◆今週の株式展望(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 投資マインドの冷え込みから、今週は日経平均は10,500円の攻防戦や、1万円の大台割れの懸念も指摘されている。
 機関投資家や事業法人の持ち合い解消売り圧力が強い上に、これまでの買い主体であった海外勢が、売り手に回ってしまうとひとたまりもありません。この場合は買い手不在の中、日経平均は1万円の大台を割り込んでしまうことでしょう。8/28の経済財政諮問会議では、金融庁が主要15行の不良債権が半減するのに7年かかるとの見通しを明らかにした他、国内外の投資家は小泉政権に対する期待が失望感に変わりつつあり、このままだと日経平均の大台割れは造作もないことです。景況感の更なる悪化も株価の足を引っ張ってしまうマイナス材料。

 海外でも景況感は急速に悪化。8/30の欧州中央銀行の利下げにも拘らず米・欧の株式市場は全面安。NYダウは4ケ月半ぶりに1万ドルの大台を割り込んでしまい、日本のハイテク株に影響を及ぼすNASDAQ指数についても「4月に付けた年初来安値を更新するのは確実」との厳しい見方も台頭してきており、株式市場は悲観一色の中、日米の株価とも更なる安値を模索する展開が予想されてしまいます。

 市場の注目点は政策動向であるが、小泉政権は当面の“景気対策”と中長期の“構造改革”の両立という難題が重なってしまっていることから、早急には政策面からの支援は出にくい環境にあると考えなければならない。

 特殊チャートの変化日である9月5日、又、一目均衡表の変化日にあたる9月7日の突っ込み局面で安値形成の可能性があることから、各々の変化日の突っ込みに注目することに致しましょう。

 

2001/08/27(月)


 相変わらずの体たらくが続く株式市場。構造改革の進展を期待しても、その前に経済がメルトダウンしてしまってはたまったものではない。それぞれの業種、業界毎に温度差はあるが、ハイテク企業の先行き不透明感が強まっての株価低迷が鮮明になっては、もはや海の向こうの動きに期待するしかないのか。

 折りしも東洋経済では、「無形資産」経営の衝撃というタイトルで企業評価の新たな試みを行うヒントをくれているが、景気の動向もさることながら未来に向かっての新たな企業評価が、投資家に浸透する時代が到来していると認識すれば、所有している投資家にとっては多少でも楽しみが増すだろう。

 最近出席した企業説明会では、ほとんどの企業が特許に関しての質問に明確に回答を寄せるようになった。
 コンクリート構造物補修の最大手ショーボンド建設(1988)では、私の特許に対しての質問に答えていたし、本日出席したコネクター用部品、リードフレーム大手のスズキ(6785)では、メカトロ技術や量産技術、金型技術に分けて取得済み特許8件の色分けをしていた。今後も企業ブランドや特許、著作権などの無形資産が話題になっていくものと期待したい。

 但し、無形資産の評価と言えば人それぞれの評価が生まれてくる可能性がある。最終的には市場で形成される株価が、評価の源泉になるのかも知れない。
 一橋大学大学院教授の伊藤氏は、ブランド価値モデル測定モデルをつくると宣言しているが、特許価値モデルなどもできたら投資価値の評価にとってかなり前進することになろう。

 米国企業はM&Aに伴う新会計基準採用で、予想外の赤字計上を余儀なくされてしまった。バブリーな買い物をしたつけが、バランスシート上に巨額の損金として表れてきたのだ。
 私の会社では、日本パテントリサーチアソシエイツという特許の流通を支援するNPO団体と提携し、特許に関しての啓蒙活動を連携して行うことにしたが、株式相場で今日の株価、明日の株価と旧態依然のモノサシで追うよりも、基本的な評価の仕組みを変えていくことの方が大切と認識したいのだが、そう一気に変化する訳ではないので、時間をかけてじっくりといこうと思う。特許啓蒙マガジンの作成が次の課題となる。億近ゼミの皆さんの持つ評価の眼力が生かされることを期待する。

 先週末のNASDAQ市場、NYダウはようやく反発してきたが、本格反騰とは誰も思っていない。日本市場の動向もかなりが米国市場の動向次第と言える。それでもハイテク銘柄の動きは、下値模索から底打ちの可能性を秘めている。テクノロジーやブランドという無形資産を評価しなおす時、株価は思わぬ方向に進む可能性があるのだ。

 東エレ(8035)、ファナック(6954)、TDK(6762)、松下通信(6781)、京セラ(6971)など、日本を代表する世界的企業の復活を期待したい。

 さて、今回も先週の株式相場を振り返ることから始めよう。


◆先週の株式相場(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 先週の東京株式はハイテク株売り、低位株買いが顕著となりITバブル相場の逆二極化現象が継続。景気実体の悪化を背景に、主力ハイテク株に年初来安値を更新する銘柄が相次ぎ、逆に「都市再生」関連の不動産、倉庫、建設、鉄鋼などの内需関連の中から年初来高値を更新する銘柄が目立った。 

日経平均に寄与度の高い値嵩ハイテク株の一角が値を崩したことで、日経平均は11075.42円まで下落し、バブル崩壊後の最安値を再び更新した。
 主力ハイテク株には機関投資家の投げ売りが見られたほか、海外投資家(ヘッジファンドか)が仕掛け的な大量の売り注文を出し、強引に株価を押し下げた感が強い。時価総額が最大のNTTドコモが23日に上場来安値を付けたことで、株式市場は「株価の値下がりが新たな売りを招く悪循環に陥ってしまっている。」と悲観的な声が多い。

(日経平均終値・11166.31前週末比較▲279.23 出来高6億9 257万株)

 今週の株式相場はどうだろうか?
 下値模索はいいが、何と40年移動平均線が登場。私は40年前生まれてはいましたが、読者の方々の中には生まれてなかったよ…という人がいるぐらい気が遠くなるような時間を刻んだ移動平均線である。この40年移動平均線が下値目途となるのかどうか…。今日もユニークチャーチストの意見に耳を傾けてみよう。


◆今週の株式展望(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

【日経平均の下値目途は40年移動平均線の10800円、株式相場は正念場】

 今週の東京株式相場については、日経平均は更なる下値模索を余儀なくされ「株価は1万1000円を割り込んでしまうのでは」といった観測が強まっている。TOPIXは取引時間内の安値である1125ポイントを維持できるかどうかに注目が集まろう。

 個別では直近顕著になっているハイテク株売り、低位株買いの流れが継続するとの見方が大勢を占め、「ITバブルの後始末はまだ終わっていない」との指摘が多いことから、値嵩ハイテク株は下げ過ぎから来る買い戻しで値を戻す程度と考える。

 日経平均の下値目途として俄かに浮上してきたのが40年移動平均線である10800円。バブル崩壊後、過去3回の反騰局面が各々10年線、20年線、30年線の水準から反発しているのがその根拠。日経平均の10800円台の水準は先般特殊チャート月間足からハジキ出しておいた下値目標10835円と同等の水準で、いよいよ株式相場は正念場を迎えることになろう。
 今週は28日に経済財政諮問会議が開かれ、景気回復に向けた「工程表」作りが始まる。米国では29日に4−6月のGDPの発表があるが、いずれもよくて株価の下支え的な材料との見方が多い。

 

2001/08/20(月)

◆先週の株式相場(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

【ハイテク銘柄中心に業績の先行き不透明感強まり日経平均は引続き低迷】

 日銀の量的緩和発表で火曜日の後場に400円幅の上げを演じた株式相場も、物色人気が長続きせず、結局は米NASDAQ安や円高の進展などを背景に、下値模索を余儀なくされ日経平均は3月15日のザラ場安値11433円を一時下回るなど、低迷を続けた。
 ロームの下方修正から電機・ハイテク株が下げの主役となったが、一方で都市再生をテーマに建設・不動産、電力・ガス、倉庫株などが物色気運を高めたため、全面安にはならずに済んでおり、それほど悲壮感がないのも特徴である。
(日経平均終値・11445.54前週末比較▲289.52 出来高7億6515万株)


◆今週の株式展望(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

【お盆明けで持合解消売りに注意、更なる下値模索の展開を想定】

 今週は御盆休み明け、又企業の夏休み明けを受け、持ち合い解消売りが加速してしまう懸念がある。例年、8月下旬から9月中旬決算を睨み企業の株式売却が勢いを増す傾向にあるが、今年は特に時価会計の本格適用を前にしていることから、持ち合い解消売りに一層の警戒が必要ではないか。
 これまでの株価下落で売りを躊躇していた企業も9月中間期末に向け、持ち株の処分を考えざるを得ないことから、8月、9月は慎重さが更に要求されることになろう。
 日経平均は買い手不在の状況の中、バブル崩壊後の最安値を探る展開を予想する。特殊チャートから計測した今週の日経平均の下値目途は11151円であるが、取引時間中は11000円の攻防戦に焦点が集まってしまうことも想定しておきたい。
 先週13日に日経平均の転換足は11559円を切り再陰転を提示してしまったことから、11000〜12000円へとレンジが切り下がってしまった。米NASDAQ総合指数も1949ポイントを下回ることにより転換足が再陰転を提示し、日米の株価とも下値調べを余儀なくされてしまう恐れがあることから、マネーマネジメント(資金のリスク管理)に焦点を置いて臨まなければならない。TOPIXが重要な節である1148〜1159ポイントを終値ベースで割り込むようなら、ショート(売り)の比重を高める必要に迫られることになりましょう。

 

2001/07/30(月)

【今週の株式展望】(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 先週の株式相場は、相変わらず日経平均で11000円台の低水準の動き。但し、下値では公的資金の買いも見られるなど、選挙前の見えない意図的動きもあったが・・・。

 果たして今週の相場はどうであろうか?助言ライセンスをもったアイリス・ジャパン・インベストメントの株式展望を参考までにご紹介することから始めよう。


【先週の相場の動き】

 週初めに主要国首脳会談(ジェノバサミット)への失望から売りが先行したため、日経平均は終値ベースでのバブル崩壊後の最安値である11819円を下回った。取引時間中の安値は11531円であり、3/15の最安値11433円を何とか維持。11500円接近局面では、公的資金の買い支えから売り方の買い戻しが入り込み値を戻したが、日経平均は引続き11000円台の低水準での展開を余儀なくされた。
 NTTドコモなど主力ハイテク株の一角には公的資金の買い支えが見られた他、銀行、生保などの金融機関に対して参院選挙終了まで株式売却を控えるようにといった口先介入も24日以降の株式相場を落ち着かせた要因。
(日経平均週末・11798.08前週末比▲110.31 出来高5億5765万株)

【今週の株式展望】
 <参院選の結果判明後の相場に関心、与党勝利は織り込み済みで薄商い続く公算、日経平均のバブル崩壊後の安値を維持できるかが焦点>

 29日に最大のイベントである参院選挙が行われた。結果としての与党の勝利は株式相場が既に織り込み済みとの見方が多く、相場の反転には繋がらない見通し。参院選を終え、主力ハイテク企業の業績への懸念や景気悪化など、不透明要因がむしろ浮き彫りにされ模様眺め色を強める中、時価会計の導入を控えて銀行や生損保、事業法人などの持ち合い解消売りに頭が抑えられてしまうことになろう。

 日経平均は下値模索、バブル崩壊後の安値11433円を維持できるかどうかに焦点が当てられよう。 先週決算発表の松下通、ソニー、富士通の主要ハイテク企業の業績悪化は予想以上であり、株価はいずれも年初来安値水準まで落ち込んだ。今週は松下、キャノン、東京エレクトロン等の決算が予定されており、様子見気分が強まる懸念がある。

 週半ばからは名実共8月相場イン。夏休みシーズン本格化で薄商いが見込まれる中、持ち合い解消売りが常に出る一方で、買いが増々細ってしまい一寸した相場の下振れを気に懸ける向きが大半。

 特殊チャートであるT・S波動週間VOLは、20ポイント割れの売られ過ぎを継続。日足VOLはニュートラルではあるが、20ポイントに限りなく近づいた。転換足は11469円が節目であり、再陰転は免れそう。


 以上の全体相場に対するコメントを、皆様はどうお考えですか?

 相場展望を語る方も重苦しい市場ムードの中で慎重、大胆な発言を避けたがっている状況です。
 参院選挙の結果は、活動的な国民の圧倒的支持を得ている小泉自民の大勝でしたが、投票率56%では史上3番目の低さ。小泉人気があっての結果の投票率の低さは何だろう。また、小泉人気にあやかった自民党の中身のない立候補者がニンマリとしている姿が見え隠れ。

 それにしても、参院選のあり方まで含めて、小泉さんの登場がこれほど国民の政治に対しての意識を高めようとは思いもよらず、これだけでも価値があったと言えるのではないでしょうか。

 とにかくこれから打ち出される具体的な構造改革や、具体的痛みが明らかになってくれば、株式市場も躍動感を取り戻すに違いありません。
 マスコミ等では日米の景気動向からして、9月危機説を唱える向きがありますが、その前の8月が各企業においては、実は最も暑き戦いの始まる時となるかも知れません。日曜日のサンデープロジェクトなどでは相変わらず不毛の論議を続けていますが、ゼネコン、流通などの業界再編を示唆した発言が見られました。

 私も実は、この8月が日本経済にとって大事な局面となることを感じております。こうした流れの中で皆様の投資視点はいかがでしょうか?(炎)

 

2001/07/23(月)

【今週の株式展望】(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 はじめに・・・。

 夏休みのシーズンインとなり、早速にスタートした3連休を皆様どのように過ごされましたか?
 うだるような暑さが続いている上、相場がいつまでも下向きでは気が滅入ってしまいそうですが、皆様に対して遅ればせながら月曜担当の私、炎から暑中お見舞い申し上げます。

 先週からスタートした億近新バージョンですが、月曜日はいつも相場の展望からスタートさせて頂きます。
 今週の相場展望ですが、一般的に言うとまだまだ底割れ懸念が払拭できない中ですが、長年この世界を眺めてきたアイリス・ジャパン・インベストメントのテク二カルアナリストは、以下のように主力ハイテク銘柄中心に相場が2年9ヶ月ぶりに売られ過ぎゾーンに入ったとの認識をしているようです。

 皆さん、参考になさって下さい。(炎)


【今週の相場展望】(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント)

【日経平均、主力ハイテク株が久々の売られ過ぎゾーン入りで 仕込みの好機到来か?】

 先週は日経平均の下値としては「3/13の終値11819円が意識されることになろう。」との見通しをお伝えしておきましたが、安値は18日の11842円であり、予想通りの展開。先週は主力ハイテク株でTDK(6762)が底入れ陽転を提示し、一足先に底入れたが、今週は6758ソニー、6971京セラ、8035東京エレク、9432NTT、9437NTTドコモ、8305みずほHなどの主力銘柄の20ポイント割れに注目。

 主力銘柄のT・S波動週間VOL20ポイント割れは、98年10月9日以来実に2年9ヶ月ぶりであり、日経平均、TOPIXの各指標と一致して売られ過ぎゾーンに達した場合は、想像を超える上げを演じる傾向にあることから、当面弱気は禁物ということになります。

 超弱気を主張し続けている外資系証券は、先週も東京エレク(今期連結EPS79円予想→33円)、アドバンテスト(同298円→160円)の大幅下方修正見通しを明らかにしたが、特殊チャートT・S波動の分析では両銘柄共買い場探しと答が出ており、今後いかなる結果になるか注意深く見守ることにして下さい。

 今週は日経平均、TOPIX共々T・S波動週間VOLが20ポイント割れの売られ過ぎゾーン入りの見込みであり、突っ込み局面は3/15以来の絶好の買い場を提供することになりましょう。(テクアナ)


 

値嵩ハイテク株の中で、特殊チャートから判断して売られ過ぎゾーン入りの買い場探し銘柄として、上記銘柄のほか松下通(6781・時価4470円)など数銘柄が対象になるそうですが、果たして結果は如何に・・・。(炎)

 

 

2001/07/16(月)

【今週の株式展望】(提供:アイリス・ジャパン・インベストメント

 【全般保合いを予想、今週同様に来週の相場レンジは11800〜12700円を想定】

 今週の株式相場は、20日からのサミットや29日の参議院選挙を目前に控えていることから積極的な買いは手控えられ、全般としては保合いを想定。米ハイテク企業の4−6月期決算発表はこれからが本番。17日インテル、19日にマイクロソフトとサン・マイクロシステムズ等、主要企業の決算発表が相次ぐ。

 機関投資家からは「業績の先行きが不透明でありハイテク株には買いが入れられない」との声が聞かれるだけに、米ハイテク企業の4−6月期決算発表は一巡するまでは模様眺めムードに支配されてしまうだろう。6月に売り姿勢を強めていた(6月は7ヶ月ぶりに売り越し)外国人投資家は、6月第4週は買い越しに転じ、続く7月第1週も買い越した。「売り越し基調から転換した」とは思わないが、5週間ぶりの買い越しは注目に値しよう。

 問題は継続性。来週の日経平均のレンジは今週と同様11800〜12700円を想定。下値としては3/13の終値ベースでの安値11819円が意識されるだろう。一方、上値は12500円を超える水準では機関投資家や事業法人からの持ち合い解消売り圧力が強まるだけに、転換足の節目である12679円抜けは難しいだろう。

 29日の参議院選は「日本経済の改革について民意を問う極めて重要な選挙」となります。改革への具体的な姿勢を、実現の為の政策を、明確に打ち出せるかどうかが鍵となろう。

 

2001/07/02(月)

【今週の株式展望】

 日経平均は13000円を挟んで揉み合う展開が予想される。内外景気は企業業績の先行き不透明感に加えて、ここに来ては構造改革に伴う「痛み」への不安が台頭していることが株価の頭を重くしてしまう恐れがある。構造改革推進による信用リスク不安台頭の指摘も、気懸かり材料。

 来週は今週前半の日米首脳会談や、7月2日の日銀短観発表を受けての株価の動向が注目される。日銀短観は輸出の減少などから、企業の景況感が大幅に悪化し、大企業のDIは3月調査時の予想から更に10ポイント悪化が見込まれている。市場は織り込み済みとの見方もあるが、実際悪い数字を目の当たりにして「嫌気売りが先行する」との指摘もある。ただ、この場合は押し目買いから逆に反発することが予想される。それは日銀短観が悪い結果になればなるほど、金融緩和の観測が強まるからである。

 注目の外国人投資家の動向は、6月第3週まで4週連続しての売り越しを記録したが、直近では政策の筋道が見えたことで銀行株への買い戻しに動いたことや、海外年金好みの銘柄が物色されたり、変化の兆しが見えたことは明るい材料。特に6/22には5/7以来の2000万株を超える買い越しであったことは注目に値しよう。

 テク二カル分析では一目均衡表の雲の下限の節目12995円、T・S波動転換足が陽転を提示する13109円をブレークできるのかどうかが極めて重要であり、各々の節抜けに注目することに致しましょう。(テクアナ)

 

2001/06/22(金)

【来週の株式相場】
【予測通りの13000円台乗せ、底値反転で基準線の節目に留意し、押し目買いで】

 先週の株式相場に続いて、今週の相場も見通しはズバリと相成った。今週の相場について「週前半は一目均降表の雲の下限の節目どころで抵抗に合うが週後半は13000円台突入」と書いておいた。果たせるかな日経平均は19日(火曜日)に一旦12912円を付けるものの伸び切れず反落し、12511円まで下押した。そして週末の今日、想定通り13000円の大台を回復して取引を終えた。

 廻りが弱気だらけで、12000円大台割れの指摘がスンナリ受け入れられるような状況下での13000円台乗せの主張は、価値あるものと思うがどうだろう。まだ油断が出来ない事から、19日につけた安値12511円が二番底であるとは断定できないが、それでも二番底の確率は随分と高いことを主張しておきましょう。

 さて、週末にかけTOPIX、日経225先物に続いて、日経平均も当面の節目と見られていた一目均衡表の雲の下限の節を抜き、雲の中に突入した。「基準線を超えれば買い」の法則から、次は基準線の水準である13428円(6/22現在)抜けに焦点が当てられることになります。基準線突破なら、25日線、75日線が収斂している13200〜300円の節目を一気に取り払うことになり、売り方のリスクが増大してしまう事から、踏み上げ相場に発展する。そうなれば戻りの目途と指摘しておいた13690円までの上昇が期待できることになります。

 来週は色々条件が付くが、基本的には底値反転であり、基準線の節目に留意しながら押し目買いを貫きましょう。(テクアナ)

 

2001/06/18(月)

【今週の株式相場】
【短期テクニカル指標はボトム圏入りを示唆、週後半は13000円台突入へ】

 米国株安や国内の経済指標悪化など、悪材料が重なったことから日経平均は急反落し、一時12600円を割り込んだ。金曜日付けた安値12578円は4/10に付けた安値12579円と同水準であり、言わばチャート上の急所どころであった訳で、12500円台を割り込まなかったチャート上の意義は大きい。大引けは12790円に引き戻し、下ヒゲの陽線を出したことはテクニカル的に見て下値に届いたと判断して良いでしょう。

 STC指数は先週木曜日10ポイント割れの底値ゾーンに達し、転換足は節目を各々キープ(日経平均12610円、TOPIX1259ポイント、225先物12700円)したことから、12578円が二番底の可能性が濃厚であり、今週はリバウンドを期待。

 市場では3月下旬から買い越しを続けていた外国人投資家が、6月第1週(4〜8日)は3353億円の売り越しを記録したこと、金曜日発表された6月の月例経済報告で、景気の現状について「悪化しつつある」と判断が引き下げられたこと等、株式市場を取り巻く環境が悪化していることから、株価は当面低迷、一部では12000円台割れの弱気の見方も出ているが、短期のテク二カル指標にボトム圏入りを示唆しているものが多く、弱気は禁物です。

 今週の株式市場は、前半一目均衡表の雲の下限12995円どころで抵抗に合いましょうが、週後半は13000円台突入と見ております。(テクアナ)

 

2001/06/01(金

【円高進行や全般手掛かり材料難から様子見気分強まり日経平均は小幅続落】

 手掛かり材料難から様子見気分が強まり買い手不在の中、方向感の定まらない動きに終始。日経平均は僅かながら続落。前日の米国株式が落ち着きを取り戻したことから、主力のハイテク株、情報通信株中心に買いが優勢となったが後場に入っては5月の米雇用統計を見定めたいといった事や、GLOBEXのナスダック100先物が軟調に推移したことから買い手控えが強くなり、日経平均は急速に伸び悩んでしまった。円相場が1ドル=118円台後半へと円高が進行したことも見送り要因に。

(日経平均終値・13261.84▲0.30 出来高6億3125万株)

 

【来週の株式展望】
【来週前半は下値を探る展開を予想、4日と6日の突っ込みは買い方針】

 来週前半相場は下値を探る展開が予想される。NASDAQ指数の反発といった支援があれば別だが、週前半の日経平均は13200円を挟んでの展開か。懸念材料は米NASDAQ市場と円高の進行である。

 米NASDAQ安と円高進行は日経平均を一段安に導いてしまう恐れがあり、13000円大台割れも想定される。日経平均の3月16日の安値14556円から5月7日の高値14556円までの上げ幅の半値押しの水準が12994円であり、13000円大台ちょい割れが下値目途といった声が多い

 日経平均のSTC指数は5月30日にK、Dライン共10ポイントを割り込み、売られ過ぎゾーンに達したことから、ここからの突っ込みは買い方に数段分がある。5月7日、極力利食い売りに徹するように指摘しておいた日に、日経平均は14556円の高値をつけ、この日T・S波動日足VOLは80ポイント台乗せの警戒ゾーン入りを果たしたが、来週は当時と逆で20ポイント割れの売られ過ぎゾーンに突入する公算が強く、4日と6日の突っ込みは買い。これが特殊チャートT・S波動の答えである。

 それにしても5月7日号では利食いを奨め、「75日線(当時13287円)までの押し目待ち」と書いておきましたが、75日線までの下げが現実のものとなった。ただ、75日線を割り込んだ状態が続くようだと相場の出直りには時間が掛かってしまうので注意が必要です。

 一方、TOPIXの75日線は1299.52ポイント、半値押しが1283ポイントであり、共に下値目途として意識されることになろう。

 

2001/05/31(木

【米株安や半導体関連企業の業績不安が広がり全面安商状】

 米国株安に加え、半導体関連などハイテク株を中心に業績不安が広がったことから全面安商状となり、日経平均は続落。
 京セラ、アドバンテストなどの値嵩半導体関連株の下げがきつく日立が5日続落するなど電機・ハイテク株が軒並み安。ドコモ、NTTが揃って続落。電線、証券、鉄鋼が冴えず板硝子が年初来安値を割り込んだ。半面、東電など電力株が軒並み上伸。薬品株やJR東日本などJR3社が揃って買われたほか銀行、不動産、食品などディフェンシブストックが堅調。マツキヨ、新潟鉄工が個別に物色された。

(日経平均終値・13262.14▲231.21 出来高7億5073万株)

 

2001/05/29(火

【5日続落の反動で押し目買い入り日経平均は商いは薄いが小反発】

 5日続落した反動から、小口ながら押し目買いが入り商い薄の中、日経平均は小反発。
 ドコモ、NTTが小高く京セラ、ソニー、松下の主力ハイテク株が高く石油、非鉄の一角が賑わった。銀行の一角も反発。証券が強張り、薬品の一角もしっかり。個別に関係会社3社の完全子会社化と今期連結EPS66円を発表した西濃運がS高。半面、トヨタが値を消し大和銀が軟調。減資を発表の長谷工に売りが殺到。日立、東芝も安く板硝子が年初来安値を更新。個別に日金工、洋エンジが利益確定売りに押されオリコが急落。

(日経平均終値・13773.89△36.12 出来高5億9920万株)

 

2001/05/28(月

【手掛かり材料難で模様眺めムード広がり日経平均は5日続落】

 手掛かり材料難で模様眺めムードが広がり、日経平均は小幅ながら5日続落。
 三菱東京、UFJなど銀行株が総じて軟調。証券、鉄鋼、造船株も冴えない。石油、化学株が安く薬品の一角も安い。ソニー、NEC、日立の電機・ハイテク株やNTT、ドコモも売られた。半面、ガス化が値を飛ばした他、日商岩井も小反発。非鉄、自動車、電力株は堅調。タクマなど環境関連の一角がしっかり。

(日経平均終値・13737.77▲28.15 出来高6億1232万株

 

2001/05/25(金

【米国株の反発などで買い先行で始まったが様子見気分強く日経平均は4日続落】

 米国株式相場や為替相場などの外部環境に一応の落ち着きが見られたことから、買い先行で始まったものの、手掛かり材料難から次第に様子見気分が強まり、日経平均は4日続落。
 銀行株が下げ松下通や東エレなど値嵩ハイテク株が一段安。電線、鉄鋼、商社、石油株も下押した。半面、自動車の一角が反発。NTTが堅調で証券株が買われた。タクマ、関東電化がS高となりBSが急伸。王子紙、三井物産などが年初来高値を更新。

(日経平均終値・13765.92▲129.87 出来高6億8051万株)

 

【来週の株式展望】
【日経平均の下値目途は13544〜13694円、週後半からの出直りを期待】

 25日で企業の2001年3月期決算発表が出揃った。今週は全般に不安定な展開を強いられる中、個別の好業績銘柄が人気を集めた。来週以降はリストラ進捗の結果、今期以降業績拡大が期待できるのかどうかに焦点が移されることになろう。この意味合いでは銘柄の選別が一層強くなるものと思われる。

 株式市場にとっての下振れ要因は、円高と米国株の下落である。円高進行は輸出企業の収益を圧迫してしまう。2001年3月期連結決算は全体の7割が増益。主要企業の連結経常利益は90年3月期のピーク時の9割強の水準に達した模様だが、「徹底したリストラ策やコスト削減が効を奏してのもの」といった経費削減効果が主要因であり、売り上げは減少している。国内の売上不振を欧米でカバーする企業が多かったが、米景気の減速鮮明な中、折からの円高進行で先行き予断が許される状況ではないことに留意が必要。

 米国株についても再び下落基調を強めるようだと日本市場への影響は必至であり、高水準に位置しているだけに主力のハイテク株が見送りでは、指数の底上げは難しい。大手銀行株は不良債権額を大幅に増加させたが、不良債権額は当初予想より増加しており、不良債権の3年以内の抜本処理は困難との見方が強まっていることはネガティブ材料である。

 今週、日経平均は下値目標とした一目均衡表の基準線(13788円)に届いたが、STC指数の売られ過ぎゾーン10ポイント割れは29〜30日の予定であり、来週は日経平均の下値目途としては転換足の節目13544〜13694円を考えておきたい。STC指数10ポイント割れ確認から週後半からの出直りを期待。

 

2001/05/24(木

【米株安と円高でハイテク輸出株が売られ日経平均は3日続落】

 前日の米株安、円高を受けハイテク株や輸出関連株が売られ、日経平均は3日続落。
 ドコモ、NTTが安く、ソニー、NEC、京セラなどの主力電機ハイテク株が軟化。円高を嫌気して自動車株が売られ証券株が全面安。ボッシュAJ、住友鉱山が利食い売りに安く薬品の一角も下押した。半面、銀行株が切り返し日商岩井、ニチメンが年初来高値を更新。鉄鋼、紙パルプ株が小高く洋エンジが賑わった。

(日経平均終値・13895.79▲171.91 出来高8億1461万株)

 

2001/05/22(火

【米国株高を好感して始まったが戻り売りに押され日経平均は反落】

 米国株高を好感して続伸して始まったものの、買いが続かず引けにかけ戻り売りに押され、日経平均は反落。
 朝高のソニーが反落。松下通、アドバンテストなど値嵩ハイテク株の一角やドコモ、古河電が軟調。非鉄、自動車、鉄鋼が売られBSは急落。個別に塩野義や荏原が売られた。半面、商社株が総じて高くJエナジー、日石三菱の石油株が揃って年初来高値を更新。化学、証券が堅調で個別に日金工、リケンが物色された。

(日経平均終値・14091.19△85.64 出来高9億0894万株)

 

2001/05/21(月

【米株高を映しソニーなど電機・ハイテク株に買い入り日経平均は急反発】

 米株高を映した買いに、株価指数先物との裁定取引に絡んだ現物買いが加わり、日経平均は急反発。
 ソニーが年初来高値を更新。NEC、富士通、日立などの電機ハイテク株が総じて堅調。東エレなどの半導体関連や京セラ、村田などの電子部品関連株もしっかり。NTTなど通信株が上げJエナジーなどの石油株や繊維の一角が上伸。半面、証券、銀行、造船、化学の一角が冴えない展開。武田も値を消す。

(日経平均終値・14176.83△299.06 出来高7億9308万株)

 

2001/05/18(金

【値嵩ハイテク株への買い戻しは入るも週末で日経平均は小幅反落】

 値嵩ハイテク株への買い戻しに続伸する場面があったが、週末ということに加え、明日のMSCI銘柄入れ替えを控えて利食い売りにダレ、日経平均は小幅反落。
 自動車株が軟調に推移。通信、化学株が軟化し建設、鉄鋼株の一角も安い。個別に日本航空、シントムが売られた。半面、ハイテク、電機株がしっかりで銀行株が堅調。造船、商社株が賑わった。個別の洋ゴム、住友鉱が個別物色された。

(日経平均終値・13877.77▲32.90 出来高8億1844万株)

 

【来週の株式展望】
【手掛かり材料難で日経平均は保合い圏での動きを想定、米株はスピード調整も】

 今週の株式相場は、小泉政権への期待買いが一巡したことから日柄整理に入り、日経平均は14000円を挟んで狭いレンジの揉み合いを繰り返した。

 来週の見通しであるが、株式市場に大きく影響を与えそうな手掛かり材料に乏しいことから、引続き保合い圏での動きが想定される。24〜25日の2日間で3月期決算企業の4割強が決算発表を行うが、日経平均、TOPIXの株価指数に影響を与えるハイテク企業の決算発表が今週で峠を越したことから、決算発表で相場が左右される可能性は低いと考えられる。

 来週の決算発表は素材、建設、医薬品、銀行等が中心。決算動向では素材などを中心とした経営改革の行方や、銀行の不良債権処理の進展具合に注目が集まることから、個別企業重視の相場展開を強めると判断できる。

 米国株式は今年5回目の利下げによる株価急伸から、来週はスピード調整局面を迎えることになろう。NYダウは取引時間中ではあるが、11300ドル台に乗せエネルギーラインが80ポイント台の警戒ゾーンに達したことから、目標達成感が台頭しよう。

 NASDAQ指数は既に4月中〜下旬に警戒ゾーン入り。現在は二番天井形成局面であり、基本的には株価調整と受け取れる。

 19日発表のMSCI指数算出基準変更は、同指数に連動して日本株のインデックス運用を行っている総額は約800億ドル(10兆円)と見られているが、実際の組入れ運用が行われるのは半年後以降であり、今回の相場全体に与える影響はそう大きくない。日本株は来週の値固めを経て、月末月初高へと向かうものと判断。来週は日経平均の一目均衡表の基準線13568円や、転換足の節13544円が控えている13500円台にターゲットを当て、押し目買いと打って出たい。

 

2001/05/17(木

【米国株高を好感しハイテク銘柄中心に買われ日経平均は反発】

 米国株高を好感してハイテク銘柄中心に買われ、日経平均は反発。
 トヨタが買い物を集めドコモ、NTTデータもしっかり。決算発表を手掛かりに京セラ、太陽誘電が買われソニー、日立は3日続伸。ソフトBKが堅調でアドバンテスト、東エレも高い。日産自が賑わい銀行の一角が高く証券が全面高。半面、NTTが売られTDK、本田が安い。商社、薬品の一角が値を下げた。

(日経平均終値・13910.67△216.40 出来高7億2337万株)

 

2001/05/15(火

【NASDAQ安を嫌気して始まったが押し目買い気運台頭で日経平均は反発】

 NASDAQ安を嫌気して軟調に始まったものの、通信株などへの押し目買いと先物が主導し、日経平均は反発。
 朝安のドコモが切返したほかNTTなど通信株が軒並み高。東エレ、京セラなど値嵩半導体関連や日立などハイテク電機株がしっかり。精密、自動車株が買われ石油株が揃って年初来高値を更新したほか個別にピジョンが急伸。半面、大手銀行株が軟調で電線株や東電、セコムなどの内需関連株の一角が冴えない。

(日経平均終値・14054.03△181.01 出来高7億0542万株)

 

2001/05/14(月

【材料難から利益確定売りが先行し日経平均は反落、14000円割れに】

 新規材料難から利益確定売りが先行し、主力ハイテク株を中心に値を消す銘柄が増加。先週末反発した日経平均は反落し、4月27日以来2週間ぶりに1万4000円を割込んだ。
 ソニー、松下通が一段安となり東エレ、京セラが反落。証券、銀行株が軒並み安となり鉄鋼、造船、セメントなどの中低位株が売られ大手ゼネコンやNTT、ドコモも下落歩調を辿った。半面、昭和シェルなどの石油株が年初来高値を更新。日金工、冶金工、凸版が個別物色されたほか武田などの薬品株が終日堅調を持続。

(日経平均終値・13873.02▲170.90 出来高6億1562万株)

 

2001/05/11(金

【主力ハイテク株の一角に押し目買い入り日経平均は4日ぶりに小反発】

 半導体関連など主力ハイテク株の一角に押し目買いが入り、日経平均は4日ぶりに小反発。
 ソニー、シャープ、日立などの電機・ハイテク株の一角や野村などの大手証券株が反発。鉄鋼、造船、石油、建設株もしっかり。個別に洋ゴムが賑わいテレコム、武富士、日金工、マツダが年初来高値を更新。ショーワ、キョ−リン薬はS高まで買われた。半面、銀行株が安くNEC、NTT、ドコモが軟調。昨日S高を演じたコロムビアは反落。

(日経平均終値・14043.92△26.13 出来高8億1361万株)

 

【来週の株式展望】
【上昇のワンサイクルが終了、反発局面は戻り売りの対象に】

 日経平均は7日14556円をつけ、年初来高値を更新した。その後は高値警戒感が台頭したことから、利益確定売りや戻り待ちの売りが優勢となったことで調整色を強め、一時14000円台を割込んだが、週末は14000円台を維持。

 3月中旬からの上昇相場に貢献したのは外国人投資家。欧米株式市場の落ち着きから日本株の投資比率を相次いで引き上げたほか、小泉新政権誕生から日本の構造改革を先取りする格好で、日本株の買い姿勢を鮮明にさせた。特に4月の買い越し額は1兆901億円に達し、1兆円台乗せは1999年6月以来約1年10ヶ月ぶりの高水準となった。5月相場インでも大幅買い越しが続き、日経平均が高値をつけた7日には6000万株もの買いを入れ、2390万株も買い越した(主要外資系証券14社ベース)。

 ただ、「銀行保有株式取得機構」創設が秋以降にずれ込むとの報道後は買いペースがダウン。9日は8日ぶりに売り越した。

 日経平均は3月中旬の底入れから上げ三段上昇五波動を形成するなど、ワンサイクルを終了。調整局面は下げ二段下降三波動の3つの訂正波が必要なことから、一寸した日柄と値幅整理を頭に入れておこう。

 15日の米FOMC、19日のMSCI株価指数構成銘柄の入れ替えと、組入比率の発表が注目材料。株式市場への刺激材料となりうるのかどうかだが、後者ではドコモ、KDDIなど新規採用候補銘柄の株価は既に先取り上昇。いずれにしても反発局面は戻り売りの対象に。

 日経平均が15000円の大きな節を払い更に上昇するには、今期下期の企業収益の回復が前提条件であり、見極めには時間の経過が必要ではないか。

 

2001/05/10(木

【材料難で方向感に乏しい展開となり日経平均は3日続落】

 材料難で方向感が乏しく見送りムードが広がり、日経平均は3日続落。
 ドコモ、NTTが安くソニー、日立、京セラなどの電機ハイテク銘柄が軟調。銀行・証券も甘く自動車の一角も小安い展開。半面、薬品株が物色されリコーは年初来高値を更新。鉄鋼、造船が物色され個別に米資本の傘下入りしたコロムビアは一時S高をつけた。

(日経平均終値・14017.79▲67.06 出来高7億8624万株)

 

2001/05/08(火

【急ピッチの上げに対する警戒感から利益確定売り優勢となり日経平均は急反落】

 急ピッチの上昇に対する警戒感に加え、新規材料難から様子見気分が強まり、先駆した電機、ハイテク、通信、銀行株などを中心に利益確定売りが優勢となり、日経平均は急反落。
 NTT、ドコモが一段安となりNEC、京セラ、松下通が反落。銀行・証券株が軒並み安となり鉄鋼、造船株が売られ自動車株が続落。建設の一角も大幅安となり不動産株も値を消した。半面、朝安のソニーが切り返し1万円の大台を回復。TDK、ミツミが上伸。ローソン、ツムラが個別物色され電力株の一角も年初来高値を更新。

(日経平均終値・14289.05▲240.36 出来高8億7060万株)

 

2001/05/07(月

【米株高や小泉新政権への期待感の高まりで連休明けの日経平均は反発の動き】

 連休中に米国株がしっかりしていたことや、小泉新総裁の政策への期待感もあって、連休前に小安く引けていた日経平均は反発し、年初来高値を更新。
 京セラ、TDKなどの値嵩株電機株が軒並み高となりドコモ、NTTも続伸。銀行、証券株が上伸。BS、日本精工が個別物色された。半面、鉄鋼、造船株が総じて安く本田、トヨタなどの自動車株、三共などの薬品株が軟調。日商岩井、長谷工などの低位株が利食い売りに押された。

(日経平均終値・14529.41△107.77 出来高9億8253万株)

 

2001/05/01(火

【ハイテク銘柄を中心に全面高の展開で日経平均は14000円台回復】

 米国経済への先行き懸念が後退し、ハイテク銘柄を中心にほぼ全面高の展開。日経平均は3ヶ月半ぶりに14000円の大台を回復した。
 日立が賑わいソニー、東芝がしっかり。松下通、キャノンなどの値嵩株が高く銀行・証券株が軒並み高。ドコモ、ソフトBK、日本オラクル、オービックなど情報通信関連株も堅調。個別に長谷工、井筒屋、シルバー精工が高い。半面、松下が続落。郵船など海運株が甘く、大手ゼネコン株が軟調。

(日経平均終値・14425.46△491.14 出来高11億9622万株)

 

2001/04/27(金

【外人買い入るが連休控えで模様眺め機運強く日経平均は4日ぶりに反落】

 朝方は外国人投資家の買いが入り強張ったものの、連休控えも手伝い模様眺め機運が強い中、利益確定売りが出て日経平均は4日ぶりに反落。
 富士通が反落しアドテス、東エレなどの半導体製造装置関連や造船、海運などの中低位株が安く薬品、証券株などが軟調。半面、銀行株が続伸。長谷工が賑わい大手ゼネコン株も買われたほか新日鉄などの鉄鋼、丸紅などの商社株がしっかりでソニー、NECも高い。

(日経平均終値・13934.32▲38.71 出来高10億7509万株)

 

【来週の株式展望】
【来週は大型連休の谷間で市場参加者は減るが新政権への期待が相場を下支え】

 来週の東京株式は大型連休の谷間であり、市場参加者が減少することが予想される。小泉新政権の政策運営を見極めようとのムードが強いが、構造改革や景気回復への期待が相場を下支えすることになろう。
 今後の注目材料は明日28日に開催されるG7と、4月7日に予定されている小泉首相の所信表明演説や、4月5日から4月11日の各党代表質問である。

 ワシントンでのG7は、米経済の減速と日本の不良債権問題が主要議題に。
 塩川財務相がどのような政策運営を打ち出すのか注目する向きもいるが、今月上旬に政府が決定した不良債権の最終処理策を各国に説明し、理解を求めるに留まることになろう。小泉首相は構造改革へ向けた基本方針などを説明する程度で、G7からは株価を刺激するような材料は出にくい。

 内外の機関投資家は、経済対策への取り組み方や銀行の不良債権処理の進捗状況に関心を示しており、ここからは具体的政策に焦点が当てられることになる。今後を占う意味で7日に予定されている小泉首相の所信表明や、各党の代表質問への注目度は高い。

 今週取引時間中に14000円台に3回も突っ掛けた日経平均の14000円台乗せがいよいよ実現の運びか。23日に25日線と75日線がゴールデンクロスを提示した関係から下値は切り上がり、13600円台が精々と見られる。上値は14124円突破が鍵。転換足が再陽転を提示するのかどうかの瀬戸際だからだ。節突破なら大型連休明けにも200日線(4/27現在14677.94円)チャレンジも。

 

2001/04/26(木

【米国株高と小泉新内閣への期待感から日経平均は3日続伸】

 米国株式高や小泉新内閣への期待感から幅広い銘柄に買いが入り、日経平均は3日続伸。ただ、一時14000円台を回復したが、引けにかけ伸び悩み。
 日立、東芝などハイテク電機株や東エレなど半導体関連株が買われたほか建設、造船、銀行、海運株が軒並み高。証券、電力株やNTT、ドコモもしっかり。鉄鋼株は住金、神戸鋼が続伸したが川鉄、NKKが値を消すなどまちまち。半面、山之内が大幅続落し年初来安値を更新したほか三共、武田も売られるなど薬品や繊維の一角が軟調。アイワはS安まで売られ日産自は反落。

(日経平均終値・13973.03△145.53 出来高14億4150万株)

 

2001/04/24(火

【NASDAQ安で続落して始まったが、引けにかけ買われる展開】

 NASDAQ安から続落して始まったものの、小泉新総裁誕生で買い戻しや押し目買いが広がり、日経平均は引けにかけ買われ3日ぶりに小反発。
 朝安のアドバンテス、京セラが切り返しTDKが3日ぶりに反発。自動車株が上伸。大手ゼネコン株が軒並み高となり東レ、三井化、フジクラなどが高値追い。不動産、海運、銀行、電力株などがしっかりの動き。半面、次世代携帯電話サービスの開始を延期すると発表したドコモがNTTとともに反落。NEC、ソニー、松下通は続落。鉄鋼、造船、証券、商社などが甘い動き。

(日経平均終値・13743.18△27.58 出来高8億8143万株)

 

2001/04/23(月

【小泉氏優勢を歓迎して強張ったがハイテク株中心の利益確定売り出て小幅安】

 自民党総裁選での小泉氏優勢が伝えられ朝方こそ歓迎ムードが強まり、日経平均は14000円台乗せがあったものの、ハイテク株中心に戻り売りや利益確定売りが拡がり、引けでは小幅続落。
 NEC、富士通が反落。ソニー、TDK、東エレが続落し自動車株がジリ安歩調を辿った。また、銀行株の一角が小甘く商社、不動産の一角が軟調。半面、NKK、川鉄などの鉄鋼株が高く造船、電線株が人気を集めた。昭和電工、商船三井、日通も買い人気を集め、薬品、石油、電力・ガス株が強張り、証券株も堅調。

(日経平均終値・13715.60▲50.07 出来高9億9295万株)

 

 

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