株式ニュース バックナンバー 2000年8月分

2000/08/31(木

【月内最終売買日で見送り商状、日経平均は3日続落】

 NASDAQ高から、朝方こそハイテク株中心にしっかりで始まったものの、その後は手掛り材料難から模様眺めの展開となり、広範な銘柄が利益確定売りに値を下げ、日経平均は3日続落。
 NTT、ドコモが値を下げ、日立、東芝などのハイテク株の一角も軟調。電力・ガス、ゼネコン株が甘く個別にBSが年初来安値を更新。良品計画、Fマートなど個人消費関連株が総じて安くなった。半面、ソニーが3日ぶりに反発。富士通も堅調を持続。古河電、板硝子の光ファイバー関連がしっかりで川鉄が小高く日石三菱、帝人、王子紙の素材関連株の一角が値を上げた。個別に東芝機械が年初来高値を更新した。

 本日は月内最終売買日ということに加え、MSCI構成銘柄の入れ替えが実施されることから、無理にリスクを取って仕掛けようという向きは少なく、市場は9月相場入りする明日以降の相場を待つ格好で様子見の状況となっている。

(日経平均前場・16881.13▲20.54出来高2億6773万株)

2000/08/29(火

【急ピッチの上げで警戒感台頭、日経平均4日ぶりに反落】

 急ピッチの上げに対する警戒感から利食い売りが先行し、日経平均は4日ぶりに反落。
 NEC、東芝、日立など電機ハイテク株が甘くTDK、松下通など値嵩株も反落。ソフトBKも5日ぶりに反落。自動車、鉄鋼の一角が軟調。薬品、銀行の一角も売られた。半面、京セラが4日続伸。富士通、キヤノンがしっかりで朝安のソニーが切返した。NTT3社はそろって堅調。ファナックが値を飛ばし、個別にスタンレー、フジクラなどが年初来高値を更新。電線株が買われ硝子株が賑わった。

 NYダウ、NASDAQとも堅調に推移したことから、本日も続伸との見方が多かったが、大方の予想に反し日経平均は反落。過去3日間で700円余りも上げ過熱を懸念する声も出ており、ここでの反落は当然の調整と見る向きが多い。
 むしろ17000円大台を保っている動きもあり、市場に下値不安心理が広がっていないことから、テクニカル的には押し目買いゾーンに入っている現状をチャンスと捉える向きが多い。

(日経平均終値・17084.29△96.83 出来高2億7537万株)

2000/08/28(月

【ハイテク、情報通信関連銘柄への買い気旺盛で日経平均大幅続伸】

 値嵩株に対する買い気旺盛で日経平均は大幅続伸し、17000円台を回復。
 ソニー、東芝など電機ハイテク株や古河電などの電線株、リコーなどの精密株がしっかりでソフトBK、ドコモ、NTTは堅調。証券、損保株も軒並み高となった。半面、銀行、その他金融株は軒並み安となり不動産、化学、薬品、建設、紙パルプの一角も安い。

 急ピッチな上げに対する警戒感から、個人、自己などの利益確定売りに押される場面もあったが、値嵩ハイテク株が一段高となると一気に17000円の壁を突破。このところ買い越し基調となりつつある外国人投資家が、情報通信やハイテク株に買いを入れてきたことから需給懸念も払拭され、後場に入っても騰勢止まず、半導体関連銘柄の業績上方修正を支援材料に17000円台後半を試すのではないかという強気の声も聞かれ始めた。

(日経平均終値・17181.12△269.79 出来高5億5570万株)

2000/08/25(金

【米株高を好感、ハイテク、情報関連への物色気運高まり日経平均続伸】

 米国株高からハイテク、情報通信関連中心に物色気運が高まり、日経平均は続伸。前場こそ持合い解消の売りなどから16700円台で頭を抑えられたが、後場は値嵩のIT関連株への買い決め増が好感され、こうした銘柄を中心に一段高の展開となった。
 銀行や薬品の一角、山パンなど個別に安いものもあったが、ソニー、NEC、ソフトバンクなど情報通信関連銘柄を中心に大きく値を上げる銘柄が続出した。
 前日に、外国人投資家が5週ぶりに買い越しに転じたと発表されたことが買い安心感につながり、国内機関投資家も強気姿勢に転じてきたとの見方が台頭したほか、夏休み休暇が一段落し、売買代金が9353億円に達するなど取引も増加。次の目標として7月4日に付けた直近高値17661円を掲げる声が上がるなど、来週に期待を繋ぐ週末となった。(日経平均終値・16911.33△240.51 出来高6億1486万株)


【来週の相場展望】
【上げ急ピッチで25日線近辺までの押し目待ちで再出動】

 今週の相場については日経平均のレンジを上限16527円、下限15814円と打ち出しておいたが、安値は15945円と想定通り16000円台割れ局面があったが、上値に関しては半値戻しの水準16527円をアッサリ取り払い、16926円まで上昇し17000円台乗せが指呼の間となった。
 22日のFOMCでの利上げ据え置きを受けて、NY株式は堅調さを持続。NYダウは再び戻り高値を奪回し、NASDAQ総合指数は7/25以来の4000ポイント大台乗せを果たした。
 東京株式は米国株式の堅調な展開を受けた他、半導体関連を中心とした業績の上方修正を手懸りに物色意欲が高まり、日経平均に寄与度の高い値嵩ハイテク株を中心に、日経平均は週間ベースで630円強の上げを演じた。週後半には売買高も6億株台、又、売買代金も6/5以来の9000億円台に乗せ、マーケットエネルギーの増大は好感されるが、戻り売りをこなして株価が水準を切上げて行くには更なるボリュームアップが必要である。
 GDPの予測に有効な6月第三次産業活動指数が+1.3%と、予想の+0.8%を大きく上回り6期連続してのプラスとなり、9月中旬に発表される4―6月期GDPは+0.9%(年率3.8%)達成が可能。企業業績と景気の回復期待から、売り手はかなり消極的(弱気後退)になろうが、上昇ピッチが急であり17000円台は利益確定売りや持合い解消売りが出やすい水準でもあり、ここから一筋縄では行かぬ相場と判断する。
 TOPIXは中期波動線である75日線(8/25現在1541ポイント)を抜いていない事と、25日線共々下降線を辿っていることから、来週は利食いを優先させ25日線(本日現在TOPIXの1485ポイント)近辺までの押し目を待ち再出動と行きましょう。

2000/08/24(木

【NASDAQ高を好感、市場エネルギー拡大で日経平均は大幅反騰】

 前日のNASDAQが1ヶ月ぶりに4000ポイント大台を回復したことから、半導体関連株を中心に買いが入り、日経平均は大幅反騰。
 NEC、富士通をはじめドコモ、ソニーが続伸。アドバンテスト、京セラ、東エレなどのハイテク株が上げ、銀行、自動車、薬品の一角が高い。石油株やゼネコン、住宅、損保も買いを集めた。半面、東芝が4日ぶりに反落。先駆した電線株、板硝子、ガイシなどが下落。個別に雪印、BS、光通信が売られる。

 本日前場の売買代金が4176億円と増加傾向にあるなど、市場エネルギーの拡大が好感されているほか、国内景気の回復期待が企業収益の相次ぐ増額修正となって表面化。証券自己や個人などの短期マネーだけでなく、内外機関投資家も参戦し始めているとの観測から、市場全体のムードも徐々に好転してきた。

 こうした中で円高ピッチが速まっていることへの警戒感が台頭。今後の持合い解消売りや、決算対策のための益出し売りを懸念する声もあり、ここからが正念場との見方も残っている。

(日経平均前場・16767.76△331.11 出来高3億2592万株)

2000/08/22(火

【個別好業績銘柄中心に買われ反発、銀行株人気化で買い安心感】

 米FOMCを控えて動き難い中、個別好業績銘柄を中心に買われ、平均株価は小幅反発。
 電機株の一角が買われ、都銀株が全面高。硝子、食品の一角が堅調。半面、証券株が軒並み安となり鉄鋼株も安い。一連のIT関連銘柄も売られ精密の一角も甘い。

 朝高は前日の下げの反動や米株高から、しっかりの始まり。ただ、値嵩ハイテク銘柄の戻りが鈍くなると、戻り待ちの売りが先行。16000円を挟み、一進一退を強いられた。底流には企業の株式持合いや益出しのための売り圧力が強く、動き難いことに変わりはない。市場参加者は自己、個人に限定。
 しかし好業績銘柄が物色され、銀行株への物色気運の高まりから市場には安心感が出ている。

(日経平均前場・16102.25△61.07 出来高2億4655万株)

2000/08/21(月)

【相変わらずの薄商いで日経平均反落、投資家の復帰期待裏切られる】

 休暇明けから投資家が市場に復帰するという期待は裏切られ、手掛り材料難もあって市場は相変わらずの薄商い。全般様子見気分の強い展開となり、日経平均は反落。
 ドコモが3ヶ月ぶりに年初来安値を更新したほかTDK、アドバンテスト、東エレが大幅安となりソニー、NTTが反落。自動車、薬品、不動産の主力銘柄が安く流通の一角も甘い。個別にBS、フジタが安値追い。半面、日立、東芝、NECが反発しDDI、日本テレコムなど通信の一角が値を上げた。ソフトBKが急伸し銀行株が軒並み高。個別に日本精工、住友鉱山が上伸し関電工、ケミコンが年初来高値を更新した。

 半導体セクターの収益好調が伝えられてはいるが、エネルギーが減退し相場全体に波及してこない。値嵩ハイテク銘柄を中心に信用取引の整理売りが継続している上、9月中間決算対策の売りや持合い解消売りが後を絶たず、株価の上値は重くなってしまっている。
(日経平均前場・16140.16▲140.33 出来高1億9938万株)

 

2000/08/18(金)

【下値不安薄れ引けにかけ日経平均買われる、下落した通信株に反発の動き】

 週末という事もあって見送りムードが強く、小幅なレンジでのもみ合いが続いたが、引け際にかけて先物の買い戻しにツレ高し、日経平均は反発。
 NTT3社のほか、KDD、DDIなど通信株が引けにかけ上伸。富士通、ソニーがしっかりで、個別にJエナジーが物色人気を集めた。半面、日立、松下などのハイテク株が総じて軟調。
 MSCIの銘柄入れ替えの発表に伴い、新採用のフジTVが大幅高となり、フジタなど除外銘柄が総じて軟調な展開となるなど特殊要因はあったが、全体相場の地合に大きな影響を与えることは無く、下値では押し目を拾う向きもあり弱気の見方は払拭されつつある。
 その背景となっているのは、3市場での外国人投資家の売越し額が7月最終週の4000億円から8月第2週には600億円と減少し、株数ベースでは買い越しに転じつつある点だ。

 主力銘柄に外国人投資家の実需買いが散見され始めたことから、お盆休み明けで市場に投資家が復帰する来週以降の市場動向に注目が集まっている。

(日経平均大引け16280.49△119.46 出来高4億7528万株)

【来週の株式展望】
【持合い解消売り圧力強まるか、上値16527円、下値15814円のレンジ】

 日銀のゼロ金利解除を受けての今週の相場は、商いや売買代金は低調ながらも日経平均は比較的堅調に推移した。ゼロ金利解除は株式相場に織り込み済みと受け止められた他、米国株式の落ち着き、外国人投資家の売りが収まった事などが背景となっている。

 来週の株式相場についてであるが、機関投資家等今週は夏季休暇入りで持合い解消売りは手控えられたが、市場へ復帰してくる来週から再び持合い解消売り圧力が強まることが予想され、指数の上値は制圧されたものになりましょう。
 日経平均の上値は、17661円(7/4高値)から15394円(7/31安値)までの下げ幅の半値戻しである16527円に引続き焦点を当てる事にします。下値は15814円(7/23終値)。ザラバでは15600円台の突っ込みも考えられます。

 日経平均、TOPIX共々STC指数は90ポイント台の警戒ゾーン入りを果たし、NYダウのT・S波動日足VOLが80ポイント台に乗せた事から、一寸した調整があって然るべきです。
 フィナボッチの61.8%の理論を当てはめると15782円とハジキ出され、16000円割れの可能性を残しており、来週は買いは極力手控えた方が賢明の様です。

 22日の米FOMCでの利上げは見送られる見通し。「利上げなしもインフレ警戒型のバイアス継続」がコンセンサスであり、「年内の利上げもない」の声も出ている一方で、「景気は減速方向だがインフレ懸念が払拭されない」と再利上げを警戒する指摘もあり、来週のFOMC後の米株式が調整を踏まえる可能性は強い。

2000/08/17(木)

【日経平均5日ぶりに反落、半導体関連株などへの物色意欲は旺盛】

 半導体関連株や個別材料株への物色気運は旺盛だが、全般には利益確定売りが先行し、日経平均は5日ぶりに反落。
 ソニー、京セラ、TDKが反落しドコモ、ソフトBKが続落。KDD、DDI、日本テレコムが年初来安値を更新した他、精密、自動車、銀行、証券、鉄鋼の一角が冴えない。半面、東芝、富士通、NECが続伸。BSが急反発。朝安の古河電工が切返して新値追いとなったほかセ硝子、NOK、ケミコンが年初来高値を更新。ゼネコンや不動産の一角も上伸した。

 平均株価は前日までの4日間で380円の値上がりを演じた後だけに、利益確定売りが先行。テクニカル上も25日移動平均線へ接近し、戻り売り圧力が高まっており、ここでの調整は当然のことと冷静に見る向きが多い。
 もっとも、米国での半導体関連銘柄の人気が日本にも波及。東芝、富士通などが買い人気を集めており、市場参加者が限定されている割りには商いも活発化。
 外資系証券の売買注文が、5営業日連続して買い越しとなっていることも買い安心感を誘っており、相場の物色方向にやや偏りが見られるとしても、相場の深押し懸念は後退しているとの見方が一般的である。

(日経平均前場・16176.06△179.97 出来高2億2477万株)

2000/08/15(火)

【市場参加者不在で商い閑散ながら半導体関連株などしっかりの展開】

 米国株高を映し、前場の日経平均は小幅ながら3日続伸。お盆休みで市場参加者が少なく商いが薄く、買い一巡後は伸び悩み。日経平均こそ小幅続伸となったが、TOPIXはマイナスで推移するなど跛行色が強い。
 ソニー、NEC、富士通が堅調。松下も高い。NASDAQでの半導体関連銘柄人気を反映しアドバンテスト、東エレなどの半導体関連が確り。電線株が全面高となり海運、証券、その他金融株が買われる。半面、NTT3社が揃って軟調。朝高の京セラが値を消し、トヨタなど自動車株が安い。電力株が一斉安となりBSは年初来安値を更新。

 お盆の最中で前場の出来高が2億5000万株割れと、市場エネルギーは極端に細 り、全くの開店休業状態。注目の寄り付きの外資系証券売買動向は、2日連続の買い越しとなり安心感は広がっているが、一方で円安進行から外国人投資家の売りを懸念する向きも多い。

(日経平均前場・16155.22△1.31 出来高2 億2209万株)

2000/08/14(月)

【米株高を受け小幅続伸、ゼロ金利解除は織り込み済みとの見方がなされる】

 お盆休み入りで市場参加者が少なくなった東京株式市場だが、前週末の米国株高を受け下値不安が薄らぎ、しっかりの動きとなった。ゼロ金利の解除がどう影響するか注目されたが、利上げは織り込み済みとの見方から日経平均は小幅ながら続伸。
 京セラなど値嵩ハイテク株や古河電、板硝子など光通信関連株が堅調に推移。証券、薬品の主力銘柄やCTC、ソフトBK、光通信などの値嵩IT関連株が出直りの動きを示し、個別に丸善が買われた。半面、関西電、伊藤忠、丸紅が安くドコモ、DDI、トヨタ、本田が軟調。個別にアサヒが1000円割れを演じた。

 寄り前の外資系証券の売買注文が、6/13以来の大幅買い越しを記録。夏季休暇入りしている筈の外国人投資家の投資スタンスを見極めるのは時期尚早かも知れないが、多少は市場に安心感を与えている。しかしながら、この段階で買い上がるだけの材料は見当たらず、9月中間決算を前に戻り局面での持合い解消売りを懸念する声も聞かれ、株式市場の方向感が定まりきれていない点を指摘する向きもある。

(日経平均前場・16177.57△60.07 出来高2億0672万株)

2000/08/11(金)

【個別銘柄への物色意欲旺盛で日経平均は16000円台回復】

 日銀の金融政策決定会合の結論を控えて、基本的には様子見も「ゼロ金利解除は相場に織り込み済み」として個別銘柄への物色意欲は強く、日経平均は再び16000円を回復した。NASDAQ指数安や夏季休暇入りで市場参加者は少なかったが、相場が底堅かったことで引けにかけては株式先物にショートカバーが入り、指数の押し上げに繋がった。寄り前の外資系証券経由の注文が、18営業日ぶりに買い越しとなったことも需給好転の兆しと評価された。
 ただ、「ゼロ金利解除を受けた後の海外投資家の動向が気になる」と先行きの懸念を指摘する声が一部から出ていた。

(日経平均大引け16117.50△141.85 出来高5億6524万株)

【来週の株式展望】
<ゼロ金利政策の見直し決定、相場立ち直りの鍵は大型補正予算>

 日銀は本日の金融政策決定会合で、現行のゼロ金利政策を見直し、短期金融市場の無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0.25%に引き上げることを賛成多数で決定した。尚、公定歩合は0.5%に据え置いた。
 企業部門の回復傾向が消費拡大の鍵を握る雇用、所得を下支えすることが確認されたとして「デフレ懸念の払拭が展望できた」との判断が多数を占めた。更にそごうの経営破綻がマーケットに与える影響も限定的との意見が優勢を占めた。決定会合で政府代表は解除先送りを求めて議決延期を請求したが、政策委はこれを否決した。
 ゼロ金利維持を求める政界などの圧力を跳ね返しての利上げ決定で、新日銀法が打ち出した「日銀の独立性」を強くアピールする形となった。日銀が金融政策を引き上げ方向で見直すのは、1990年8月30日に公定歩合を0.75%引き上げて年6.0%として以来、10年ぶりのこと。ゼロ金利の解除は、利鞘の縮小や一部の貸出先企業の経営悪化が予想されることから、銀行の収益を圧迫する要因となる。
 市場はゼロ金利の解除を織込んでいる為、現時点で金利が急上昇することはなく、影響は限定的と見られる。ただ、今後の金利動向次第で、不良債権の重荷を背負う銀行は厳しい経営を強いられることになりそう。
 日銀がゼロ金利を解除したことで、政府の経済政策シナリオに誤算が生じ、「景気回復に軸足を置く」との方針を表明していた森内閣にとってはゼロ金利の下支えを失ったのは大きな痛手となる。経済情勢が厳しく企業倒産、金融システム不安に対する懸念が依然として残っている上、そごうの経営破綻の影響の見極めも難しい状況下にあっては、日銀の独立性が保たれても日本全体の政策決定への信認が揺らいでしまうことは大きなマイナスではある。
 今後、鍵を握るのは与党内に台頭している大型補正予算を求める声の高まり。大型補正予算に弾みがつけば、株式市場の立ち直りの契機となろう。

 

2000/08/10(木)

【金融政策決定会合での結論待ち、16000円を挟んだ揉み合いの展開】

 日銀の金融政策決定会合を週末に控え薄商いの中、戻り売りに押され日経平均は小反落するも、TOPIXは小幅続伸。
 NTT、DDIの情報通信関連株が売られ薬品、化学、銀行、損保の一角が甘い。半面、富士通、NECの値嵩ハイテク株が値を上げセメント、電線の一角が買われた。

 朝方こそNASDAQの小反発を受け続伸して始まったが、その後は16000円を挟んでのもみ合いの展開。市場筋では積極的な買い手は見当たらないが、1万5700円近辺まで下がると投信中心に国内機関投資家の買い物が入る、との見方からしばらくは狭い範囲でのもみ合いと見ている。政府と日銀の対立からゼロ金利政策解除の結論が見出せず、方向性が見出せるまでは本格的な反騰相場にはなり得ないと見られるが、徐々にIT関連銘柄など底固めの動きになりつつある点は評価される。

(日経平均前場・16020.80▲13.80 出来高2億3959万株)
 

2000/08/08(火)

 【市場参加者が限定され日経平均は買い一巡後早くも反落、上値重い状況】

 買い手不在の中で、戻り売りや先物安を受けた裁定解消売りに押され、日経平均は反落。
 朝高のソニー、京セラが値を消し、自動車、電線、銀行、商社、薬品、化学の一角が安い。ヨーカ堂は年初来安値を更新。半面、富士通、NECが堅調を持続したほかNTTが値を保ちソフトバンクは続伸。証券株が高く、日石三菱は年初来高値を更新した。

 昨日の大幅高の後を受けた後の東京市場では、7日の米国株高を背景に下値不安感が薄らぎ、日経平均は続伸して始まったが、買い一巡後は手掛り材料難から積極的に上値を追う向きは少なく、急速に伸び悩んだ。個人、外国人とも夏季休暇に入り始めており、主力銘柄の売買は閑散状態。市場参加者が少なく、出来高が前場で2億3000万株と、低調で相場の力強さに欠けている。本格反騰局面入りには市場エネルギーの拡大が絶対条件となろう。

(日経平均前場・15905.90▲96.81 出来高2億3272万株)

2000/08/07(月)

 【米雇用統計で景気減速の裏付けを示唆、海外株高を受け3日ぶりに反発】

 お盆休みを前に市場参加者は例年通り減少傾向にあるが、前週末の7月雇用統計が景気減速の兆候を裏付ける内容となったことから、米国市場が落ち着きを取り戻したことを背景に値嵩ハイテク株中心に買い戻しの動きが広がり、日経平均は3日ぶりに反発。
  ソニー、TDKなど値嵩ハイテク株をはじめ、重電、電線、証券、ゼネコン、自動車の一角が高い。銀行、薬品、不動産も反発。ケミコン、コナミが年初来高値を更新した。半面、上場2日目のJSATが一時S安となり、BSが急落。NEC、富士通、日石三菱、JT、ドコモなどが安い。

 市場参加者が減少する中で、市場には徐々に底堅さが出始めてきたとの声も聞かれ始めている。ただ、速水日銀総裁が7日の参院予算委でゼロ金利政策解除に意欲を示したことから、依然として警戒感も残っている状態である。

(日経平均前場・15823.89△156.53 出来高1億9314万株)

2000/08/04(金)

 NASDAQ指数は反発したが、東京株式は昨日の軟調な地合を映し、続落してスタート。
 日経平均は前場一時257円安の15557円まで下落したが、後場寄り後押し目買いから一時プラスに転じた。ただ、今晩発表される7月の米雇用統計を見極めたいことと、週末であることから引けにかけてはポジション調整売りに押され、日経平均は再びマイナスに。
 為替相場が円高で推移したことから、インデックスに寄与度の高い値嵩ハイテク株が値下がりしたため、日経平均は年初来安値を更新したが、内需関連株中心に押し目買いが散見され値上がり銘柄数が801と値下がり銘柄数479を大幅に上回ったことが救い。

(日経 平均大引け15667.36▲147.08 出来高6億324万株)

【来週の株式展望】
 先週週末号では、「需給の好転は期待しにくく、8月相場は調整が尾を引くことになろう」と記たためておいたが、日経平均は指摘した15500円台割れから自立反発体制に入ったものの長くは続かず、再び下値模索の展開を余儀なくされ、本日は日経平均・TOPIX共に終値ベースでの年初来安値を更新してしまいました。
 週間ベースでの日経平均は、97年5月以来の5週間連続安を記録。今回の相場の下落は7月12日のそごうの民事再生法申請が大きなきっかけ。景気への悪影響や金融不安懸念が台頭してしまい、受給悪を引き起こした。

 そごうの民事再生法申請は、安定化していた筈の金融システムの弱点が表面化してしまい、自立回復に入った日本経済に一抹の不安を投げかけた。そごう問題は債権放棄による救済から一転して法的処理による倒産で、新生銀行が多額の債権を持つ多くの問題企業の倒産リスクが高まってしまった。
  経営悪化企業の倒産は、主力銀行に新たな償却負担が生じてしまう事から、関連の金融機関は不測の事態に備え、貸し倒れ引当金の積み増しの原資捻出のため、持ち合い株式の売却に走った。

  外国人投資家は、日本の金融政策運営に対する不信感を高め、日本株の投資ウエイト引き下げの一因となった。7月第4週は4091億円もの大幅な売り越し。
 今週に入っては解約対応に追われた投信の売りで、需給関係は悪化の一途を辿っている。

 個人投資家の信用取り引きの追証発生に伴う売り、下落と共に、売買高が増大するセリングクライマックスの症状がまだ見られない事から、尚、予断が許されない状況下にあると考えなくてはいけないでしょう。日経平均は16668円の転換足のフシ付近で取り引き終了し首の皮一枚つながったが、TOPIXが1444ポイントを割り込めば再陰転を指示してしまうので、来週はTOPIXの1444ポイントの攻防戦に焦点を当てる事に致しましょう。

2000/08/03(木)

【特段の悪材料ない中、3日ぶりに大幅反落、値嵩ハイテク株に戻り売り】

 NASDAQ安以外に特段の悪材料が見られない中、ハイテク銘柄中心に戻り売りを浴び、日経平均は3日ぶりに大幅反落。
 ソニー、NEC、富士通、ドコモ、京セラなど値嵩ハイテク株が軒並み安く、ソフトバンクも軟調。電線の一角も安くヨーカ堂は連日の年初来安値を更新。半面、銀行株が軒並み高く個別に新日鉄、住友鉱山、伊藤忠、丸善が物色された。

 大幅安となった東京株式市場だが、7月31日のザラバ安値から2日のザラバ高値まで800円以上も上げた後だけに、ここでの一服は当然と見る向きは多い。ただ、8月相場インで高まったかに見えたサマーラリーへの期待空しく、出来高、売買代金とも低迷し、目先の相場を押し上げる材料がないことから、先行きへの不信感が根強いことも事実。
 この日は2月に設定された大型投信の解約売りへの懸念が台頭し、現実に朝方から投信と見られる大口の売りが出たことが相場を一段と弱気に傾かせてしまった。

(日経平均終値・15814.44▲391.75 出来高5億2729万株)

2000/08/01(火)

【米株高から自律反発狙いの買い入り日経平均は5日ぶりに反発】

 前日の米株高を受け下値不安が薄らぎ、業績が安定している銘柄を中心に押し目買いや自律反発狙いの買いが入り、日経平均は5日ぶりに反発。
 主力銀行株が軒並み高となり証券の一角も買い戻された。古河電工が出直り東エレは大幅続伸。京セラ、松下通信など値嵩ハイテク株が総じて高くソフトバンクも確りの動き。半面、ソニーが4日続落し富士通、日立も利食い急ぎの売りに軟化。

 日経平均は米株高を支援材料に反発したが、材料難の中での反発局面で単なるリバウンドの域から脱せず、上値の重さが感じられている。国内機関投資家が買い下がり姿勢に徹しているため、上値では見送りを決め込んでいる上、外資系証券経由の売買注文が依然として売り越し基調なことから、外国人投資家の投資マインドも回復しておらず、反発力の弱さを指摘する声が多い。
 市場では、株安の底流にある政治不信を払拭できない間は、本格反騰は望めないと金融改革の明確な方向性提示を待望している。

(日経平均前場・15958.28△230.79 出来高2億9238万株)

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
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