株式ニュース バックナンバー 2000年12月分

2000/12/29(金

【ドレッシング買い期待外れで85年以来の安値水準で20世紀最後の年を終える】

 取引終了時にかけてのウインドウドレッシング買いで、14000円台乗せを期待した先回り買いの失望売りが引け間際に出て、日経平均は続落。大納会の終値としては、1985年以来の安値水準で20世紀最後の取引を終えた。
 NTTグループ3社が揃って年初来安値を更新しソフトBKも続落。一方、松下がしっかり。本田は続伸。重工、石川島、東京ガスなどが賑わい昭和電工も一時戻り高値を更新。セガの反発も目についた。
(日経平均終値・13785.69▲161.27 出来高2億4163万株)

 

【新春の相場展望】
【14000円台乗せ叶わず、底入れ時期が1月から2月に先延ばしの可能性高まる】

 2000年大納会の日経平均は13785円69銭であり、バブル崩壊後の年末ベースでの安値を更新した。機関投資家による「ドレッシング買いが入ろう」といった思惑も空振りに終わり、ほぼ安値圏で取引を終え、市場関係者が意識していた14000円の大台乗せが叶わなかった。
 当欄でも、年末相場では取引終了時にかけドレッシング買いを期待し「14000円台乗せ局面ではロングプット」と指示を出しておいたが、今日の仕込みはできずじまい。冷静に考えて見れば、年末年始の連休を控え海外市場の変動リスクを考慮すれば、不用意に買いは入れられない筈。土田東証理事長の「鬼に笑われても良いから来年に期待」と行きましょう。
 ただ構造改革や規制緩和が遅々として進まず、年明けの株式相場は悲観と懐疑の狭間で迷走することになろう。12月25日の今年5番目の上げを「チャート上はまずい上げ」と表現したが、1月底入れが2月底入れに先延ばしの可能性が随分と高まったことに注意。
それでは皆様良いお年を。

 

2000/12/28(木

【年末控えで極端に様子見気分強まり日経平均は出来高薄の中を小幅続落】

 NASDAQ高を好感して寄り付きこそしっかりで始まったが、年末控えで極端に様子見気分が強まり、日経平均は出来高薄の中を小幅続落。
 ソニー、富士写などの国際優良銘柄や熊谷組、石川島、帝人、三菱電などがしっかり。個別にアイワがS高となったのが目についたがNTT3社やトヨタ、京セラ、ソフトBKなど弱含む銘柄もあって全く迫力のない年末相場となってきた。

 市場参加者の主体はインターネット取引の個人で、証券自己や内外の機関投資家は全くの手控え状態。いよいよ明日は20世紀最後の取引となるが、超閑散相場の中で有終の美が飾れるのか、じっくり見守りたいところである。

(日経平均終値・13946.96▲34.53 出来高4億1307万株)

 

2000/12/26(火

【海外市場休場で様子見気分強まる中、日経平均は3日続伸し14000円台回復】

 海外市場がクリスマス休暇中のため休場で手掛り材料難の中、様子見気分が強まり、出来高は年初来最低の水準となったが、売り一巡後ハイテク銘柄を中心に買戻しが入り、日経平均は3日続伸。
 ソフトBKが反発しNEC、富士通が切返し銀行、その他金融、損保株が高い。建設の一角や商社株はしっかり。半面、電線、自動車、鉄鋼株などが値を下げ、石油、電力はほぼ全面安。

 商いが前日に続き超閑散の中、終始方向感が掴めない展開となったが、投信買いと見られる買いが入り、終値ベースでは5日ぶりに14000円台を回復した。

(日経平均終値・14007.85△76.24 出来高3億4505万株)

 

2000/12/25(月

【米国株高を好感し主力ハイテク株中心に自律反発狙いの買い入り全面高に】

 前週末の米国株高が好感され、主力のハイテク株を中心に自律反発狙いの買いが継続してほぼ全面高となり、日経平均は500円を上回る上げとなった。
 ソニー、富士通などが一段高となり京セラ、松下通も上伸。NTT、ドコモがジリ高歩調を辿り、電線、自動車、証券、銀行株が買われ電力・ガス株も続伸。鉄鋼、造船、薬品の一角も高い。半面、日本テレコム、TBSが反落。個別にBSが続落し東海銀行が約10ヶ月ぶりに年初来安値を更新。

 この日は短期急落後の相場とあって、値頃感からの自律反発狙いの買いが継続。25日の海外がクリスマス休暇で休場となることから、売りが極端に手控えられる中、薄商いの中上げ幅だけが目立ち、真空地帯を駆け上がったに過ぎないとの冷静な見方が支配的。今後の方向感を見定めるには、米国市場の底打ちを確認するしかないと見られるが、残り少ない立会い日数の中で大納会に向けての「とう尾の一振」を期待する声も出てきた。

(日経平均終値・13931.61△504.53 出来高4億4493万株)

 

2000/12/22(金

【米国株の下止まりを好感し日経平均は7日ぶりに反発するも上値の重い展開続く】

 米国株式市場の下げ止まりを好感して、情報通信関連や中低位銘柄の一角に押し目買いが入り、日経平均は小幅ながら7日ぶりに反発。
 Jエナジーが人気を集め古河電、NTT、ドコモがしっかり。ソフトBKが強含み、下げ続けてきた放送株が軒並み高。鉄鋼、電力、ガス株が物色された。半面、富士通、ソニーなどの主力ハイテク株や自動車の一角が引続き軟調。

 反発したとは言え、前日のNASDAQがわずか7ポイント高にとどまり、急落後の自律反発力の弱さが上値を重くした格好で、主力ハイテク株の中には買い戻し一巡後、改めて売りが優勢となり、年初来安値を更新する銘柄もあった。

 上値の重さは米国市場に起因するだけでなく、日本の企業業績の失速を先取りしたものとの見方も出始めた。米経済の失速が予想以上にピッチが速く、外需の伸び悩みが予想される中では、ミクロの企業業績の好調が株式市場を下支えしていた構図を変えてしまうとの懸念から、当面の下値模索を予想する向きが大勢を占めている。

(日経平均終値・13427.08△3.87出来高5億6691万株)

 

【来週の相場展望】
【日経平均13000円台割れの恐れ、年内調整相場継続の公算大きい】

 先週はNASDAQ指数が2577ポイント、日経平均が14392円の極めて重要な節を維持できるかどうかに視点を当てておいたが、NASDAQ指数、日経平均共々転換足上の重要な節を割り込んでしまったことで、日米の株式共急落に見舞われてしまった。特に日経平均は、心理的な抵抗ラインと見られていた14000円をあっさり切り、30年移動平均線(98年10月時の底入れの時は30年線が下値支持線として作用した)の水準である13744円もいとも簡単に下回ってしまい、下値が見えない状況に陥ってしまった。下値論議は98年10月9日の安値12787円に集中し、13000円台割れがコンセンサスに。

 下振れリスクとしては、12/25の11月スーパー売上高、百貨店売上高、12/27の11月住宅着工件数、11月鉱工業生産指数等の発表で低迷が確認され、嫌気売りが嵩んでしまった時。特に27日の11月鉱工業生産速報発表には注意が必要と思われる。事前予想は+0.2%と10月の+1.5%から減速の見込みであり、鉱工業生産発表を受け景気減速懸念が更に強まってしまい、日経平均が13000円の大台を維持できない恐れがある。

 12月の最終週は、国内外の機関投資家が売買を控える傾向にあり、個人投資家中心の短期的視点の売買では、個別株の変動に限られ全体相場の押し上げには繋がらず、上値は限定的とならざるを得ない。上振れがあるとすれば、株価下落の弊害の認識が政府当局に強まり、予想外の政策が打ち出された時であるが、政府の閣僚からは「株価下落は米国市場の影響で国内要因ではない。」との声が聞こえ、全くのノー天気であり株価対策も期待しにくいことから、従いまして年内相場は引続き調整局面と考えた方が良さそう。

 

2000/12/21(木

【米国株安を受け先行き不安から日経平均は続急落、13500円割れに】

 前日の米国株がNYダウ、NASDAQ共に急落したことから、買い手掛り難の中で東京株式市場は、ハイテク株や中低位株など幅広い銘柄に売物が継続し、日経平均は前日につけた年初来安値(13914.43円)をあっさり更新。99年1月13日以来の13500円割れとなった。
 富士写、本田技、日立などの国際優良株や薬品、電力株など一部に高いものもあるがNTT3社をはじめソニー、NEC、富士通などハイテク銘柄が軒並み急落。証券、銀行株も全面安となった。

 7日続落で22.6%もの下げを演じ、下止まりの兆しが見えないNASDAQ市場の先行き不安から、欧州やアジア各国の株式が急落するなど、世界同時株安の様相を呈する中、東京市場も引け際にかけ先物主導で下げ幅を拡大。一時前日比731円安まで急落し、国内経済に先行きに対しても懸念が広がるなど、悲観的な見方が蔓延。

 先物主導の下げは、日経平均株価リンク債に絡む売りが主因と見られるが、個人の追証の投げやEB債の処分売りも重なり、売りが売りを呼ぶ展開となったものと見られる。底の見えない株価の下げで、市場では今夜のNASDAQの反転を固唾を飲んで見守るしかないと、あきらめムードが漂っていた。

(日経平均終値・13423.21▲491.22 出来高7億1067万株)

 

2000/12/19(火

【ハイテク株中心に企業業績の先行き不安から売り物が出て4日続落】

 NYダウが上昇したにも関わらず企業業績の先行き不透明感が高まり、幅広い銘柄に売り物が出て、日経平均は4日続落。11月22日以来ほぽ1ヶ月ぶりに年初来安値を更新した。
 NTTがジリ安歩調を辿りアドバンテスト、松下通が一段安。ソニー、NECや電線、薬品の一角が軟化。鉄鋼、非鉄、化学などの素材関連株が安く造船、エネルギーの一角も売り物がち。半面、東電が堅調を持続しキリン、加ト吉などデフェンシブ銘柄が堅調。安田火が個別に物色された。

 19日のFOMCを控え、買い手不在の中を先物主導で下げているが、歯止めの掛からない米ハイテク株安が投資意欲の極端な減退に繋がっている。本日は半導体関連のディスコの下方修正発表で、ハイテク企業の収益鈍化に対する不安が現実のものとなり、投資マインドを更に冷え込ませた格好だ。

 ミクロ経済にアゲインストの風が強まる中で、市場は規制緩和の促進などマクロ面からの支援材料を欲しているが、採算の見込みもない整備新幹線の建設計画が決まるなど、旧態依然の政策に対する不信感は根強く、今後一段の政治変革を促進させる相場展開に突入の予感を感じざるを得ない。

(日経平均終値・14132.37▲351.53 出来高5億6321万株)

 

2000/12/18(月

【米国株の先行き不透明感から主力ハイテク銘柄中心に売り先行の展開】

 前週末の米国株式市場がダウ、NASDAQともに企業業績の下振れ懸念により大幅安となり先行き不透明となったことを受け、ハイテク銘柄を中心に売りが先行し、日経平均は3日続落。
 NEC、富士通などのハイテク株が下げ電線、硝子、石油、鉄鋼のほか証券、建設が軟調。半面、運輸、電力、ガスのほか自動車の一角が高い。

 ハイテク銘柄だけでなくこのところ人気化した中低位銘柄も、一巡感から物色面で手掛り難となり、安値圏でもみ合う展開となったが、売られ過ぎとの見方から一時切返す場面もあったが、警戒感が強く、結局は前週末に比べ小幅安となった。
 注目のFOMCでのバイアス変更は織込み済みとの見方が多く、外国人投資家のクリスマス休暇入りで出来高も細ってきていることから、下値模索も致し方ないとの声が一般的である。

(日経平均終値・14483.90▲68.39 出来高4億8095万株)

 

2000/12/15(金

【米国株の続落を嫌気し日経平均は大幅続落、値嵩ハイテク株など軒並み安】

 米国株安を映して主力のハイテク株中心に売り物がちとなった上、金融当局が後場に入って大手信組の関西興銀を破綻処理するとの報道が伝わり、見送り気分に拍車が掛かり、日経平均は大幅続落。
 富士通、東芝、NEC、ソニーなどの電機ハイテク株が軒並み安となりドコモ、NTTなどの情報通信関連株やアドテスト、東エレなど半導体製造装置関連株が売られる展開に。大手鉄鋼、銀行、証券も甘い。半面、非鉄、合繊の一角が小高く洋インキ、シャープが個別物色に上伸。

 大統領選の決着で反発期待があった米国株式市場が下止まらず、おまけに信組の破綻処理報道があり、再び信用不安の懸念が再燃。日経平均の下げ幅拡大となってしまった。日米共に景気の先行き不安がある中での信組破綻のニュースだけに、投資マインドの悪化に繋がってしまった。

(日経平均終値・14552.29▲374.90 出来高5億8569万株)

 

【来週の相場展望】
【19日のFOMCに注目、日米共重要な節をキープできるかがポイント】

 米金融政策の緩和期待の高まりから、NASDAQ指数は週初3週間ぶりに3000Pの大台を回復したが、その後は景気の減速に加え、主力ハイテク企業の収益見通し悪化が相次いだことから、NASDAQ指数は14日まで3日続落し、2700ポイント台の前半まで下落した。
 米大統領選は、共和党のブッシュ候補の勝利で決着したが、相場には織り込み済みとして反応薄となった。懸案であった米大統領選に決着が付き、相場は景気の先行きを一層重視する局面に入って来ているが、減速感を強める米国経済と、踊り場にある日本経済とも景気の先行きが不透明なことから、投資マインドの高まりは早急には見込み難い。

 来週の市場関係者の注目は、19日のFOMCに集まることになろうが、FED(米金融当局)は金融政策の運営方針を「インフレ警戒型」から「中立」に変更する見込み。世界経済の鍵を握る米国経済がソフトランディングできるかどうかは、金融政策にかかっているだけにバイアスの変更がないようだと失望売りからNASDAQ指数は年初来安値を更新する恐れがある。最悪でもNASDAQ指数が2577ポイント、日経平均は14392円の、極めて重要な節を維持できるかどうか、いずれにしても19日のFOMC次第と言っても過言ではなかろう。

 

2000/12/14(木

【米国株の堅調を受け値嵩ハイテク、中低位銘柄が活況、日経平均続伸】

 手掛り材料難から広範な銘柄に利益確定売りが先行し、日経平均が4日ぶりに反落。
 ソニー、NECなどハイテク株が下落しドコモ、KDDIの通信株や電線株も値を下げた。鉄鋼、紙パルプが安く先行した重工、Jエナジー、日商岩井が甘くコマツは続落。半面、NTTが小高くトヨタ、本田も高く7―11が堅調を持続。ANA、石原産、洋インキは個別に買われた。トミーは連日のS高。

 国内景気の鈍化懸念や前日の米国株安を受け、企業収益の悪化懸念が再燃。米大統領選は決着したが織り込み済みの上、既に新鮮味が無くなった話題として株式市場は反応薄。前日の税制改正大綱でPC減税が打ち切りとなるなど、IT革命を標榜している割りには、不可思議な政策との不信感も台頭。上値の重い展開を強いられている株式市場にとって、1万5000円台定着には米国の金融政策が変更されるなど、強力な支援材料が必要となっている。

(日経平均終値・14927.19▲241.49 出来高5億7096万株)

 

2000/12/12(火

【米国株の堅調を受け値嵩ハイテク、中低位銘柄が活況、日経平均続伸】

 米国株式の堅調展開を受けて、値嵩ハイテク株をはじめ中低位株が活況を呈し、日経平均は続伸。
 京セラ、NEC、NTTなどのハイテク、情報通信関連株が堅調で日本テレコムはS高買い気配に。都銀、自動車がしっかりで大手ゼネコンや不動産が値を上げた。電力株が上伸しJエナジーが反発。ニチロ、日揮、トーキンが年初来高値を更新。半面、ソフトBKが連日の年初来安値を更新。ソニー、重工、東ガスが安く、薬品、商社の一角も値を消した。

 NASDAQの3000ポイント台回復が、心理的に好影響しただけで新規の買い材料が無い中、日経平均は後場先物主導で上げ幅を拡大。引続き中低位の好業績株や、材料含み株が活況を呈したほか、値嵩ハイテク株も堅調を持続するなど、循環物色の動きが鮮明になってきたと市場関係者は一様に明るい表情。もっとも、持合い解消売りや利益確定売りが断続的に出ていることから、15000円台を固められるかがポイントとなるが、目先は13日発表の日銀短観の内容が気になるところだ。

(日経平均終値・15114.64△98.94 出来高6億6069万株)

 

2000/12/11(月

【米国株高を素直に好感、主力ハイテク銘柄中心に押し目買いが入る】

 前週末の米国株式市場の反発を素直に好感し、主力ハイテク銘柄を中心に幅広い銘柄に押し目買いが入り、日経平均は3日ぶりに反発。終値では約1ヶ月ぶりに15000円の大台を回復した。
 NEC、富士通、ソニーの主力ハイテク銘柄が軒並み反発。東エレク、キヤノンなど半導体関連株が堅調。NTTなど通信関連や電線株が値を上げた他、鉄鋼、造船などの大型株が買われアラ石がS高まで急伸。半面、ドコモが反落。7―11、松下通が軟調でJエナジーが利食い売りに押された。

 SQやMSCIなどの算定方法の変更など、前週後半に相場の頭を抑えた見送り要因を無難に消化し、米株高を素直に好感するムードが高まったが、大台回復を果たしたとは言え、今週半ばの日銀短観、来週初めの米FOMCを控えていることから、機関投資家の買戻しの勢いが限定される上、足下の景気回復の勢いが弱まっていることも足かせとなり、大台回復後のシナリオが読み難いことから、手放しで喜ぶ市場関係者は少ない状態である。

(日経平均終値・15015.70△319.19 出来高6億1990万株)

 

2000/12/08(金

【NASDAQの続落を嫌気し日経平均は小幅続落、値嵩ハイテク株全般に下げ】

 日経平均は小幅続落。モトローラ、インテル等の下方修正を受け、企業業績の悪化懸念からNASDAQ指数が続落したことが嫌気され、米株式との連動性が強い値嵩ハイテク株が全般値下りすることとなった。又、今日は株価指数先物、オプション(2月限)のSQ算出日にあたり、ハイテク株にはSQ算出に伴う売りが増加した。SQ算出は、日経平均225型で1銘柄当たり差引き10〜40万株の売り越しになった模様。尚、SQ値は14618円22銭。

 個別ではソニー、NEC、アドバンテスト、松下通が続落しトヨタ、ソフトBKは年初来安値を更新した。半面、Jエナジーが急伸し、三菱重、石川島が堅調さを持続した。

(日経平均終値・14696.51▲23.85 出来高12億5305万株)

 

【来週の株式展望】
【25日移動平均線が再び下向き、次の上昇波動は18日以降に】

 今週の相場は、前半はNASDAQ指数の最大の上げ幅を受け、日経平均が約3週間ぶりに15000円の大台を回復する場面があったが、週後半はSQ算出、米雇用統計、MSCIの指数算出見直し等を控えている事などで見送り色を強め、軟調に推移した。
 12/5のNASDAQ指数の274ポイント高の過去最大の上げは、グリーンスパンFRB議長の「経済成長は利上げによりかなり減速」「株安等資産価格の下落が極端な景気減速を招く可能性がある」といった発言を受け、12/19のFOMCで金融政策運営姿勢がこれまでの「インフレ警戒型」から「中立」に変更されるとの観測が高まってのもの。今晩発表の11月の米雇用統計、来週13日の小売売上高発表を見据えて、19日のFOMCでのバイアス変更がコンセンサスに。
 11月の米雇用統計は、11/25までの1週間の新規失業保険申請件数が98年7月以来2年半ぶりの高水準となったことから、失業率は4.0〜4.1%に上昇予想。これにより、FOMCでの政策変更が確実視されよう。
 最大の懸念材料が米国景気の失速であっただけに、バイアスの変更の後退は株式市場にとってのプラス材料に。

 日本株式は、10日のMSCIの浮動株比率を考慮した指数算定基準の見直しがリスク要因に。国内ではアクティブ運用のファンドが多く、TOPIXをベンチマークとしているところが大半であり、大きな影響は出難いが、海外勢のパッシブ運用を行うファンドからの売りには注意が必要。

 テクニカル面では、12/4から上向きに転じた日経平均の25日移動平均線が再び下向きに。次の上昇波動は18日以降の見通しであることから、来週も15000円台回復局面では頭が重くなることが予想される。全体として保合い圏の動きであり、日経平均の予想レンジは14400〜15100円。

 

2000/12/07(木

【米国株安、SQ算出控えで様子見気分強まり日経平均は反落】

 米国株安に加え、8日のSQ算出やMSCIの算出方法の変更を控えて様子見気分が広がり、日経平均は反落。
 ソニー、NECが一段安。NTT、ドコモが反落。キリン、トヨタ、ソフトBKが年初来安値を更新。証券株が軒並み安となり先駆したJエナジー、日商岩井がジリ安歩調。アラ石がS安まで売り込まれ電線、薬品、流通の一角も安い。半面、東京ガスが高値追い。鉄鋼、造船が終日堅調を持続。都銀や大手ゼネコンの一角も値を保った。個別に同和鉱、トーキンが年初来高値を更新。

 日経平均は今月に入ってジリ高歩調を続けてはいるが、終値ベースでは一度も15000円台に乗っておらず、改めて売り圧力の強さを見せつけられる展開となっている。市場では、明日のSQやMSCI算出方法の変更の結果を見極めてからでも遅くはないとして様子見気分が広がり、後場は特に極めて小幅のレンジでの変動に終始した。

(日経平均終値・14720.36▲169.01出来高5億9197万株)

2000/12/05(火

【中低位株物色の動きが一服し日経平均は4日ぶりに反落】

 このところ続いた中低位株物色の動きが一服した上、ハイテク銘柄には相変わらず見送りムードが漂い、日経平均は4日ぶりに反落。
 松下が8日続落。ドコモ、NTTが安くソニー、キヤノン、TDKなどのハイテク銘柄が売られた。昨日賑わった日商岩井の他、このところ上昇傾向を強めてきたJエナジーが利食い売りに安く、鉄鋼、銀行、証券、不動産の一角が甘く、BSはS安。半面、NECが3日続伸し東芝、富士電も堅調。NTTデータが小高く松下通、リコーがしっかり。三菱重は年初来高値を更新しヤマダ電はS高をつけた。

 市場は、3営業日続いた中低位株物色の動きが一段落したことで方向感を見失った感があり、気迷いムードの中、ジリ安に推移。8日のSQを控え、テクニカルな売りが出やすいとの思惑が広がっているほか、10日に発表されるMSCIの株価算定方法の変更から、外国投信の日本株売りの懸念も出ていた。

(日経平均終値・14695.05▲259.68 出来高7億2321万株)

2000/12/04(月

【明るい景気指標の発表で下値不安が後退、中低位株やハイテク株に循環物色人気】

 週末のNASDAQが小幅高となった上、朝方発表の実質GDPが3四半期連続のプラス成長となったことを受け下値不安が後退し、中低位株やハイテク株など幅広い銘柄に買いが入り、日経平均は3日続伸。
 日商岩井など商社株が値を上げ化学、紙パルプ、非鉄株も堅調。Jエナジーが年初来高値を更新。重工、東ガスもしっかり。ソニーがジリ高歩調を辿り、アドバンテスト、ファナックも上伸。半面、鉄鋼株が利食いに押され主力銀行株も総じて安い。薬品、不動産の一角が安くアラ石は反落。

 下値不安が後退したとは言え、戻り売り圧力も根強く、上値の重さも相変わらずだ。時価会計制度導入を控え、持合い解消売りが頭を抑えている状況で、この水準からの一本調子の上昇には、懐疑的な向きがほとんど。米国株などの先行きは相変わらず不透明で、しばらくの間は15000円を挟んだもみ合い相場が続くとの見方が一般的である。

(日経平均終値・14954.73△119.40 出来高8億2699万株)

2000/12/01(金

【米国市場離れで日経平均は続伸、中低位株人気沸騰で出来高10億株台乗せ】

 前日の米国株が急落した割には、朝方から相場全体は底堅く推移。中低位株物色が継続したほか、朝安の主力ハイテク株が買い直され、ほぼ全面高商状となり日経平均は続伸。
 鉄鋼、造船が活況を呈しJエナジー、日揮、ユニチカが年初来高値を更新。ドコモが続伸したほか、日立、NEC、松下通が一段高。都銀、証券株や建設・不動産などの内需関連株が賑わった。半面、NTTが反落。松下、東芝が安く東エレクが年初来安値を更新。薬品、損保、電力の一角が軟調。

 朝方は米国株安に反して日本市場が底堅く推移したことから、米国離れの動きを評価する声が高まった。市場では米ナスダックは2600ドル台を割れ、下げの最終局面を迎えたとの見方が広がっており、年金資金や前日設定された投信などの買いに加え、外国人投資家の積極姿勢が目立ったことから、投資家の不安心理が後退してきたと一様に明るいムードに包まれてきた。なお、この日の出来高は、7月3日以来の10億株台乗せとなった。

(日経平均終値・14835.33△186.82 出来高10億769万株)

 

【来週の株式展望】
【投資マインド改善で出来高増加、下げ最終局面での転換足陽転に注目】

 どうやら日米株式共、最悪期を脱しつつあるようだ。
 東京株式は、TOPIXはまだだが日経平均は目先の節目と見られていた25日移動平均線(11/30現在14740円11銭)を抜き、出来高も10億株台の大台に乗せた。7/3の10億1700万株に次ぐ今年2番目の高水準であり、投資マインドの改善が見られる。

 日経平均の転換足も、4/12の2万833円高値示現後としては、5月、8月に続き3回目の陽線を提示。下げ三段下げ五波動形成といった下げの最終局面での転換足の陽転は、過去息の長い上昇相場に繋がっているだけに、今回の転換足の陽転は注目すべきものがある。

 勿論、米国株式の動向は無視できない。米国では景気減速が企業業績の伸び悩みに繋がるとの懸念が強まり、下方修正や目標株価の引き下げが相次ぎ、悲観的な見方が広がっているが、NASDAQ市場は史上2番目の27億株台の大商いでセーリングクライマックスの様相を呈している。

 NASDAQ指数は2642ポイントを示現することにより、T・S波動日足VOLは20ポイントを割り込んだ。11/30にはザラバではあるが2544ポイントを下回ることにより、週間VOLも20ポイントを割り込み、売られ過ぎゾーンに達し、大底圏入りを示唆。テクニカル面からは底打ちの条件が整いつつあることに注目したい。

 懸念の持合い解消売り対策としては、銀行の放出予定の持合い株を買い取って投資家に販売するといった「転換国債構想」が浮上。実現可能なのか、また効果の程なのは不透明だが、政府に危機意識が出てきたことは心理的にプラス材料。日銀に対しても年末の資金供給を大目に要請する方向で働きかける方針であり、「ミニ金融相場の復活」の目も出てきたことに注目。

 値嵩ハイテク、情報通信株にもT・S波動数VOLが20ポイント割れの売られ過ぎゾーンに達したものがかなり露見され、自律反発から予想外に指数の押し上げに貢献する可能性があることは無視できるものではないでしょう。

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
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