株式ニュース バックナンバー 1999年10月分
1999/10/29(金)
 米国の第3四半期の実質GDPの速報値は4.8%の成長と力強い拡大を示したが、雇用コスト指数の方は0.8%と鈍化したことで「順調な成長の中、物価は安定しておりインフレ懸念が大幅に後退している。」との見方から米国株式は大幅な続伸となった。米国のインフレ懸念=株式安=ドル安が日本株式に及ばず影響が心配され、日経平均は1万7500円を挟んで膠着状態だっただけに、米国のインフレ懸念が後退したことは大きく、日本株もマイナス材料が払拭され一気に買い気が回ったことから、日経平均は大幅な上昇を演じることになった。
 ただ、朝方は先物の急伸による裁定買いが入り、日経平均は一時528円高の1万7942円まで買われたものの、その後は頭打ちとなり引続き1万8000円の壁は厚いことが思い知らされた格好となっている。
 後場は日経平均はわずか100円56銭の狭いレンジ内の動きに止まってしまっており、1万8000円台チャレンジは今晩のNY株式次第に。(日経平均大引け・17942.08△528.08 出来高6億2708万株)

【来週の株式展望】
 28日発表の米国の第3四半期GDPと雇用コスト指数が低インフレ、高成長を示す内容だったことから、米の利上げは「年内はあと1回に止まろう。」との見方が広がり、米株式の急落懸念が薄れたことでNY株式との連動性が高いハイテク、情報通信関連株に買いが集中したが、日経平均の1万8000円台乗せはまだである。米国のインフレ懸念の後退は株価の押し上げ要因になったが、相場の本格上昇入りには確実な景気回復基調入りの確認が前提であり、まだ理想買いの域を脱し切れない状況下にあっては、一時的に1万8000円台に乗せたとしても基本は戻り売りで対処すべきである。
 投信の大量設定に伴う好需給も、物色の方向が情報通信関連株に集中し過ぎており、指数の上昇も限定されることになろう。本格化しつつある9月の中間決算発表は、個別の選別物色の材料になっても全体の底上げに繋がらないと判断している。
 NY株式は早ければ今晩(29日)にもT・S波動は警戒ゾーンに達する見込みであり、注意が必要。警戒ゾーン入り確認で来週前半はショート(空売り)及びプットロングを断行することに致しましょう。

1999/10/28(木)
 前日のNYダウが92ドル高と確りだったことが好感され朝方は先物主導で値を上げ日経平均は一時1万7500円台(高値は143円高の1万7525円)を回復した。しかし、1万7500円台の売り物は厚く前引けでは1万7500円台を維持できず。円相場が1ドル=104円台前半で高止まりしていることで円高圧力に対する警戒心が強く「円高の進行が企業決算に与える影響を見極めたい」との声が聞かれた。
 今晩、米国で9月の雇用コスト指数、第3四半期GDPという重要な経済指標の発表を控えているため全般に様子見姿勢は強い。(日経平均前場・17451.75△69.39 出来高2億6682万株)
1999/10/26(火)
 米国株式の下落を嫌気した売りが出たが押し目買いから反発。前場の日経平均は小幅な続伸で取引を終えた。月末に投信の大量設定を控えている為、積極的に売り込む向きは少なく押し目買いが優勢となっている。ただ、物色対象は投信の組入れが予想されている情報通信など時価総額の高い銘柄に集中し、二極分化が激しくなっている点に注意が怠れない。
 NT倍率の低下傾向が著しく、225平均株価の銘柄の動きは鈍い。大半の投資家は「9月中間決算と2000年3月期の業績予想を見極めたい」として上値を追う姿勢を見せていない。(日経平均前場・17675.48△26.69 出来高2億8411万株)
1999/10/25(月)
 日経平均は3日ぶりの反発。先週末のNY株式が堅調だったことと、為替相場が落着きを見せていることが好感され、情報通信関連株中心に物色意欲が高まっている。先週末のNY株式高から下値不安は後退しつつあるが、ただ積極的に上値を買い上がる材料も乏しく上値の重さは否めない。引続き上値としては1万7820円を意識しておきましょう。NYダウの上げは米国のインフレ懸念の後退や持続的な景気拡大とは直接関係は無く、金融制度改革法案に関する金融株高に引っ張られた為と冷めた見方が多い。これを裏付けるかの様に米国の長期金利は高止まり状態が続いており、先行きの不安感は完全に払拭されていないことに要注意。(日経平均大引け・17581.32△142.52 出来高3億1178万株)
1999/10/22(金)
 昨日GLOBEXのS&P500先物が値下りしたことで、前日のNY株式の急落が懸念されたが、下げ幅がそれほどでも無かったことから昨日売り込んでいた証券会社の自己部門の買い戻しや押し目買いなどが入り反発して始まったが、週末を控えていることで後場は様子見気分が強まり日経平均は大引けにかけ軟化し、結局マイナスで取引きを終えた。NY株式の急落は無かったが長期金利は6.3%台で高止まりしていることから、経済指標などを横目で睨みながらの神経質な展開が続くと見られており、米国株式への警戒感も依然として強く積極的な買いは入らなかった。
 富士通、日立、東芝の輸出ハイテク株が軟調で本田が弱含んだ。(日経平均大引け・17438.80▲9.47 出来高5億6466万株)
【来週の株式展望】
 来週は日経平均は1万7500円を挟んで上下200―300円の保合い圏での展開を予想しておいていいでしょう。上限としては1万7820円、下限としては1万7140円が各々の支持線として作用することになり、押し目買い吹き値売りの逆張り相場。1週間程度相場は持つが、11月相場インからは下振れに留意することに致しましょう。
 来週は投信の大量設定が月末にかけて相次ぐことから、押し目を拾う動きが出て下振れ懸念は小さそうだが、為替、米国株式など外部環境不透明なことから上値も限定的とならざるを得ません。物色意欲を強めている投信は月末まで8本、計5000億円の設定を控えており相場の下支え役を為すことになりましょう。ただ、大手投信は積極的なリストラを行い経営体質を改善して業績に反映され始めた企業に注目しており、物色意欲は厳選の方針。
 富士通、ソニー、松下など主力のハイテク株の決算発表があり個別企業の業績動向に注目。
1999/10/21(木)
 前日のNYダウが187.43ドル高と大幅続伸。為替相場も1ドル=106円台で落着いている事など外部環境の好転が好感され買い安心感が広まり日経平均は堅調なスタートを切ったがしかし、前場中頃から値を消す展開に。市場では「GLOBEXのS&P500先物(24時間取引)の下げが先行き不透明感を台頭させ全般に利食いを急がせた」との声が上がっていた。当面はNY株式の動きに一喜一憂する展開が予想されてしまっている。
 ソニー、富士通、日立が利食い売りで軟化し、日産自は大幅続落。三菱重工が売られ石川島は年初来安値を更新した。住友化、三菱化、東ソー、宇部興産の素材関連株は年初来高値を更新している。(日経平均前場・17480.36▲54.35 出来高3億1609万株)
1999/10/19(火)
 前日のNYダウが一時1万ドルを割り込んだが、終値ベースで96.57ドル高と反発したことで日本株式は買いが先行し、堅調な始まりとなったが買い一巡後は見送り機運が強まり、前引けの日経平均は57円高の小幅高に止まった。NYダウは再度1万ドルの大台を割り込む等下げ止まりが確認されておらず、引続き日本株式にとっては懸念材料に変わりはないとの見方が大半。NYダウが終値で1万ドルを割らなかったことだけでは買い手掛り材料とはならぬ様で、見送りムードが強まってしまうとNASDAQ指数の続落などマイナス材料が指摘される始末。
 更に市場筋が懸念しているのは、店頭株や東証2部株。昨日共に急落したにも関わらず本日は目立った押し目買いも入っておらず、小型株市場の冷え込みが個人投資家の撤退に繋がってしまう事に懸念が台頭して来ている。(日経平均前場・17333.24△57.91 出来高2億3964万株)
1999/10/18(月)
 先週末のNYダウが一時1万ドルを割り込んだことで嫌気売りが先行し、日経平均は9月30日以来の1万7500円台割れとなった。米国株安を映して円高が1ドル=105円台まで再進行したことで、ソニーなど輸出関連株の値下りが急となっている。
 日本の景気回復期待を背景に影響は限定的との声も聞かれるが、NY株式がこのまま弱気相場に入るかどうか見守りたいとの指摘もあり、19日発表の9月米消費者物価指数の内容やその後の株式相場動向を見極めようとの気分が強まってしまっている。(日経平均前場・17313.56▲288.01 出来高2億8320万株)
1999/10/15(金)
 NY株式が先行き不透明感を強めてしまったことや週末で買い手控えられる中、グリーンスパンFRB議長の株高警戒発言を受けてGLOBEXのS&P500先物が急落したことで大証225先物主導で値を下げ現物市場も下げ足を速める結果となった。今晩のNY株式に不安を抱く連中が多く、「NYダウが1万ドルを割り込んでしまうのではないか」といった観測も出ていた。1万7500円接近局面では年金資金の先物買いが入り下げ渋ったが基本的には見送りムードが強い。
 米国株式に対する警戒感が強まる中、週末を控えたディーラーはポジション調整の為の売りを断続的に出したが1万7500円から更に売り込むことはなく今日は心理的な抵抗線である1万7500円をキープをしたが米国株次第という状況に変りがなく今晩のNY株式の動きに注目が集まっている。(日経平均大引け・17601.57▲178.69 出来高7億6947万株)

【来週の株式展望】先週の当欄では「既に一相場を形成した相場であり1万8000円台の動きは格好の戻り売り局面」と指摘しておきましたが、今週の動きにあっては早速の波乱で日経平均は10月12日の高値1万8228円から本日の安値1万7511円まで717円の下げを演じてしまいました。チャート的には昨年7月16日からの下落相場とかなり類似(2番天井形成)していた為、従いまして今回は殊の外、注意が必要であると説明させて頂いた次第です。
 さて、来週の相場見通しであるが、米国での利上げ懸念が再燃しており投資意欲は引続き冷え込みを示すことになろう。19日に発表される9月の米消費者物価指数が米国の金融政策を占う意味で重要な材料となると見られているが、インフレ不安が高まる内容なら金利上昇を受け米国株の大幅な調整と円高の進行が日本株式の足を大きく引張ってしまう事になり、1万7000円台割れも視野に入ることになってしまいましょう。ただ、1万7000円台割れから一旦リバウンドが考えられますのでロングプット、空売り銘柄については手仕舞いを考慮することに致しましょう。1万7000円台割れがない場合は繋ぎ買いを入れ、へッジを掛ける方針とします。

1999/10/14(木)
 さくら銀行と住友銀行のサプライズの統合報道を受けて金融株に大量の買い物が入ったことでNY株式の下落を跳ね返し日経平均は一時100円高まで値上がりした。ただ、金融株への買いが一巡した後は先行き不透明感を増すNY株式が足を引っ張る形で伸び悩んだ。米国株式については相場を引っ張って来たハイテク株が売られたことでNYダウは1万ドル割れも視野に入ってきたと見る向きも出て市場の懸念も増幅している。
 一方、昨日の金融政策決定会合で日銀が為替相場と景気回復に配慮する姿勢を見せたことなどが株価の下支え要因となっている。日銀の姿勢について市場関係者は「当面急激な円高進行の可能性が遠のいた」と一応の評価を下している。こうしたことから相場の上値も重いが下値も確りした状態と見ているようだ。(日経平均前場・17775.40△20.91)
1999/10/12(火)
 NYダウとS&P500は小動きもNASDAQ総合指数が2915.95を付け終値ベースでの最高値を更新したことで主力のハイテク株や情報通信関連株に買い物が集まった。NEC、沖電気など年初来高値を更新しハイテク銘柄に復調の兆しが見え始め「7月中旬から続いていた調整局面がようやく終りに近づいている」との声もチラホラ。株式売買手数料の自由化の後押しもあり出来高も増加傾向にあることから日経平均は1万8000円台固めの動きと見る向きが多い。ただ、明日13日に日銀の金融政策決定会合を控えており買い一巡後は見送りムードが強まり伸び悩んでいる。
 個別ではNTT、NTTドコモ、DDIが値を上げKDDはS高買い気配。日テレ、フジTVは年初来高値を更新している。(日経平均引値・18090.81△28.63)
1999/10/8(金)
 NYダウが51.29ドル安と値下りしたもののNASADAQ指数とCME先物が確りだったことと為替相場が1ドル=107円台で落着ついている事などが好感されて買いが先行し日経平均は小幅高で始まったがその後は先物主導で値を下げ前引けの日経平均は1万8000円を割り込んだ。3連休を控えており証券会社自己部門がポジション調整の売りを出した事や保合い解消売り、利食い確定売りに頭が抑えられてしまったが6日連騰後でもあり当然のスピード調整と受け止める向きが大半。
 閣議で総合経済対策は10兆円を上回る規模と伝えられ政策面での後押し効果が期待できる事も押し目買いムードを強めている様だ。(日経平均終値・18062.18▲74.37 出来高7億8147万株)

【来週の株式展望】
 週初め4日に発表の日銀短観では景況感の回復が確認され更に12月予想でも回復傾向を示した事で下半期に入り相場の本格反騰の条件が整ったとの強気の観測が台頭して来ているが株価の押し上げ要因としては景気の回復以外に企業のリストラ、補正予算(規模、内容)が挙げられるのでもう一段のリストラの進展があるのかどうか。補正予算については従来型の公共事業重視ではなく情報通信インフラ整備を積極的に行うのかどうかに焦点が当てられることになります。
 チャート的には昨年10月9日の1万2787円から今年の7月16日の1万8623円まで上げ三段波動を描いてしまっており一相場を形成。従って、直近の1万8000円台出現の動きは格好の戻り売り局面。昨年7月15日に下げの入り口と指摘した後、相場が大きく崩れてしまったがチャート的に当時とかなり類似しており、今回は殊の外注意が必要と判断しております。

1999/10/7(木)
 米国株式市場が急伸したことと円相場が落ち着いていること等が好感され先物主導で値を上げ日経平均は8月24日以来の1万8000円台回復。5日に発足した第2次小渕改造内閣が景気対策重視の姿勢を鮮明にしていることも支援材料に。市場は「期待を裏切らない規模の補正予算編成が予想され景気の腰折れ懸念は遠のきつつある。」として先高感が広がっている。
 しかし、一方では「大事なことは補正予算の規模ではなく内容。情報通信インフラの整備を行わず従来型の公共事業を重視するようなら失望売りが相次ぐことになろう。」との見方もあることと1万8000円台は持合い解消などの売り物が厚い水準なだけに相場はいよいよ正念場を迎えることになる。(日経平均前場・18163.68△267.26)
1999/10/5(火)
 NY株式の反発や為替が円安に振れたこと等が好感され日経平均は55円61銭高と4日続伸となった。NYダウが約2週間ぶりに1万400ドルを回復したことや為替相場が比較的安定していることを受け日経平均は1万7819円と高寄りして始まり一時1万7985円の高値が入った。ただ、1万8000円を取りに行くには材料不足でこれ以上買い上げられることは無かった。午前10時段階の旧立会い銘柄の板状況も売り1億3904万株に対し買いは9668万株と売りが厚く1万8000円台乗せは一筋縄では行かぬ様だ。
 米FOMCの結果は日本時間6日に判明するが米国株の過熱感は随分と薄れており利上げの可能性は遠のいたことでハイテク株に買い安心感が出て来ているが輸出企業の為替レートの見通しは甘く円高基調が継続する様なら下期の増益シナリオが崩れてしまう恐れがあることに留意しておきたい。(日経平均引値17784.15△20.44)
1999/10/4(月)
 朝方発表の日銀短観は大方の予想通り企業の景況感や先行きの見通しが改善していることが確認された。景気回復は株式市場にとってはプラス材料である反面、為替の円高を招けば輸出企業にとってマイナス材料となりかねない。
 本日も日銀短観発表を受けて為替相場が一時1ドル=104円台に振れると日経平均は急速に伸び悩んでしまっている。その後当局者の「景気は楽観出来ない」との発言を受けて為替が再び105円台に振れると続伸基調に転換する展開となり株式市場が為替の動向に左右される現状を印象付けている。日経平均が再度1万8000円台に挑戦するには輸出ハイテク、情報通信関連銘柄が株価の牽引役となる必要がありその為にも為替の安定は最大の関心事になっている。(日経平均引値・17763.71△51.15)
1999/10/1(金)
 朝方はNYダウが大幅高となったものの、CME225先物が安かったことで寄り直後は先物安が裁定解消売りを誘い現物指数を押し下げた。又、アイソトープ漏れ事故に関して大きな影響はないと見られるが「不透明要因である」とのムードが拡がり様子見姿勢を強めさせた様だ。ただ、その後円相場が落着いていることや来週4日の日銀短観の好結果を先取りする格好で買いが入り切返した。
 市場では「8月の鉱工業生産、住宅着工件数の好調を受けて景気回復期待が高まっている。」との声が聞かれた。本日は10月相場の初日であり需給関係の変化が指摘されていた。
 9月第4週の主要投資家別売買動向ではこれまで売り越していた生損保や信託銀行が買い越しに転じており、個人投資家の売買委託手数料完全自由化後の動向とともに焦点が集まっている。(日経平均大引け・17712.56△107.10 出来高5億4352万株)

【来週の株式展望】
 来週は4日の日銀短観、5日の米FOMCが注目材料。日銀短観で企業の景況感の改善が予想の範囲内なら市場の反応も小さいものになろう。米FOMCでは「利上げなし。」との観測が強まっており、市場は落着いた対応を見せることになりそうで株価を直接左右する要因にならないと見られているが金融面での量的緩和ムードの高まりや円高進行の懸念解消の他、内閣改造による政局の安定、本格化する経済対策などが市場の環境整備を促すことになろうと指摘されている。
 これに対して海外ではNY株式が不安定な状態にある上、ドルが弱含みの傾向にあり市場を冷やしかねない要因となる為、日本株式に対し警戒する動きが高まれば波乱を呼び起こす可能性があろう。大事な事は日本経済が本当に回復基調にあるのかどうかが確認できるかどうかであり、基本的には待ちの姿勢が続くことになろう。


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