No.
日付
タイトル
執筆者
26
2002/01/29
TV出演の感想
大原部長
25
2002/01/29
アナリストが失敗するとき その2
大原部長
24
2002/01/28
政策提言:NPO活用の雇用対策を
炎のファンドマネージャー
23
2002/01/28
注目される2002年のIPO第一号銘柄の動向
炎のファンドマネージャー
22
2002/01/28
銀行のリストラ道半ば
炎のファンドマネージャー
21
2002/01/28
あなたは種まき派?それとも豆まき派?
炎のファンドマネージャー
20
2002/01/25
米国連邦公開市場委員会
生涯遊人
19
2002/01/25
今年の抱負
両津勘吉
18
2002/01/22
アナリストが失敗するとき その2
大原部長
17
2002/01/21
執筆後記より
炎のファンドマネージャー
16
2002/01/21
カオリの株式投資初挑戦記 その2
炎のファンドマネージャー
15
2002/01/21
カブユー便り
炎のファンドマネージャー
14
2002/01/21
100人の村と株式市場
炎のファンドマネージャー
13
2002/01/18
アメリカは復活したか
生涯遊人
12
2002/01/18
今年の抱負
駄洒落商会会長
11
2002/01/17
アナリストが失敗するとき
大原部長
10
2002/01/17
企業研究 日本電産(6594)
大原部長
9
2002/01/15
カオリの株式投資初挑戦記 その1
炎のファンドマネージャー
8
2002/01/15
物の時代から心の時代に
炎のファンドマネージャー
7
2002/01/15
年賀状あれこれ
炎のファンドマネージャー
6
2002/01/11
アルゼンチン化
生涯遊人
5
2002/01/08
がんばれ ぴょん吉!
大原部長
4
2002/01/08
完全な投資とはどういうものでしょうか?
大原部長
3
2002/01/07
低位2銘柄
炎のファンドマネージャー
2
2002/01/07
化学セクターのキャッシュリッチ企業
炎のファンドマネージャー
1
2002/01/07
今年当面の相場展望
炎のファンドマネージャー

前月のコラムへ

26
2002/01/29 TV出演の感想
大原部長

 

 【鼻毛を切らされた大原 ブルームバーグTV出演の感想】

 ZAiのフォトグラファーがいらっしゃって、写真撮影がありました。
 ZAiでは尾川さんの企画で、漫画チックに、顔だけ写真で、首から下は漫画です。なぜか漫画で警察官の服装を着させられるようです。読者の銘柄をチェックするという企画で、20銘柄程度、コメントを載せたのですが。

フォトグラファー「ちょっと寝癖がついていますから、なおしましょう!」

大原「いいじゃないですか。このぐらい。大丈夫、大丈夫ですよ」

フォトグラファー「そういうの好きだなー!でも、一応、社会的には寝癖は認められておりませんので。。。」

大原「そうですかねえ。じゃあ、水をつけてきます」

***大原トイレへいき頭に水をつけてもどってくる***

フォトグラファー「あの、とても申し上げにくいのですが」

大原「え?? 言ってください」

フォト「大原さん、鼻毛が目立つんですけど。写っちゃうんですよ」

大原「いいじゃないですか。鼻毛が写ったって」

フォト「いやー。だめですね。きってくださいよ」

大原 オフィスのはさみで鼻毛きりにトライ

同僚女性アナリスト「大原さん、鼻きらないでね。わたしのはさみ貸してあげようか?」

大原「いいですよ。この大きなオフィスのはさみで十分です」

ファトグラファー「いいですね。それでは、わたしをきれいな女性だと思って、にっこりわらってください」

大原→にやーーー

フォト「本当にしまりのない顔ですね」

大原その後ブルームバーグTVへ

大原「ちょっと早めに来てしまいました(本番1時間前)」

担当者 「メイク室へ行きましょう」

大原 「え? メイクって化粧するんですか?」

担当者「そうです。顔がてかりますから」

***大原メイク室へ***

メイクはほんの20秒で終了

***打ち合わせ****

タイムウオッチを測りながら、時間どおりに収めるために余計なことをしゃべらないと約束と練習をする

本番 生放送10秒前

司会者「大丈夫ですか?」

大原「あの〜。全然緊張しないんですけど」

生放送スタート

大原 (心の中で) 「いま、すっごーい くだらないジョークや駄洒落言ったらどうなるかな。。司会の方は怒るだろうか」

司会者「よろしくお願いします」

大原「よろしくお願いしまーす」

深く頭を下げすぎて、胸につけたマイクが机にあたってゴツンと。(アシスタントの人から、頭下げすぎですよと注意される)

司会者「それではありがとうございました」

大原「ありがとうございました」

頭をちょっと下げたら、なぜかまたマイクがあたってゴツン。。。

大原(あたまの中で: ニュースキャスターって面白そうだなああ。やってみたいなあ。ああ楽しかった。もう一度やりたいなあ)

自分はやっぱり目立ちたがり屋だということを改めて感じた一日でした。(大原)

 

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25
2002/01/29 アナリストが失敗するとき その3
大原部長

 

 【〜アナリスト〜高すぎるPERを正当化してしまう悲しい習性】

 夜、自宅のPCで居酒屋億近にアナリストの失敗例について書き込んでいたとき、セルサイドからメールが入ってきました。
 読んでいると、高すぎる(ようにそのときは思えた)PERを根拠に安いといっているメールを見つけてしまいました。
 本人には悪いのですが、よい例なので、紹介します。


−−−−証券会社からの情報−−−−−−−

○○総研の○○○○です三洋電機の会社説明会に付いてのコメントをお送りします。
10−12月の売上高は会社計画を下回った模様。
会社計画並みの600億円に下方修正。
同様、2002年度も従来の830億円から750億円に下方修正する。
2002年度の予想PERは38倍と、ヒストリカルな家電セクター平均並みのPERとなるが、
1)2002年度の家電セクター平均が60倍を超えているなかでは、低位置にあること、
2)構造改革に対する実行力と言う点で、高く評価できるため、株式レーティング「買い」は継続する。
〜以上 ある著名なセルサイドのアナリストさんのコメント〜


 さて、せっかく貴重な情報を頂いたのに、けちをつけて、本人にはとても申し訳ない(○○さん、ごめんなさい!!許してね)。
 このアナリストは一緒に三洋さんに会いに行くほど、よく知っていますし、とてもとても優秀な方ですから、本人を攻撃しているわけではないので、あしからず。

 大手証券のトップアナリストという、こんな優秀な方でさえ、こういう考え方をするという意味で、みなさんの勉強になるということです。

 この文面、どこにわたしが引っかかったかというと、ここです。「2002年度の予想PERは38倍と、ヒストリカルな家電セクター平均並みのPERとなるが、1)2002年度の家電セクター平均が60倍を超えているなかでは低位置にある」

●来期の家電セクターのPER60倍を基準にしているが、産業平均で60倍をあたりまえのものとして受け入れている点
●来期予想PERが38倍が「低位置」だとしている点。
●三洋を家電としている点。

 三洋は分類としては家電ですが、利益の多くは携帯向けの2次電池です。
 家電セクターのPERの「平均」ですが、ばらつきの程度はどうなっているのでしょうか。

 失敗する多くのケースは、あたりまえとして受け入れていた高いPERが崩れるときです。

【頭の体操】

 10%増益だと思ったら逆に10%減益だったというケースを考えます。
 これなら、20%の利益の見通し外れということで、株価は20%の下落で済むはずです。
 ところが、そうは問屋が卸さない。

 そのとき、株価は直前までPERでいくらで評価されいたのか、それが問題です。仮に、40倍で評価されていれば、それが低下するリスクがあります。
 40倍だったが30倍まで低下する可能性だってある。20倍まで落ち込むことだってあります。

 こういう評価の下方への修正を「バリエーションの切り下げ」といいます。20%利益を間違え、PERが40倍から30倍まで下がったら、株価はどうなるでしょうか。
→0.9/1.1×30/40で、結果として株価は40%も下がってしまいます。
→ところが、悲しいのは、40%下がった後であっても、投資家が企業業績への確信を失っているので、下がっても、まだ。「割安」に見えない。普通の株の評価としては、30倍でも安くはないからです。それって悲しいですよね。こんなにさがっているのに、株価は適正価格だとか言われたら。。。。

 教訓です。高いPERをあたりまえのものとして受け入れるのは、大変危険な思想だということを知る必要があります。

***高いPERをあたりまえのものとして受け入れた結果  株価が急落した最近2年間の有名な銘柄たち***

 まだ、ほんの最近の出来事なんですね。

1)インターネットバブル:インターネットが生活を根本から変えるという前提
●ソフトバンク:時価総額20兆円が1/20以下に
●光通信:時価総額9000億円が1/234に
●ドコモ:ピークの1/3その他、大勢

2)光通信バブルインフラ投資が永続的に急拡大するというありえない前提
●古河電工:ピークから1/5以下
●精工技研:ピークから1/20その他、大勢

3)バイオバブル遺伝子治療やバイオ新薬で遺伝や生命をコントロールできるというすごい話
●宝酒造:ピークから1/3など

***高いPERをあたりまえにしてしまった稚拙な収益モデル 「敗軍の将兵を語る」***

 携帯の加入者が増え続けて、ドコモのiモード加入者が爆発的に伸びていた1999年、わたしは、この調子でいくと、日本で1000から2000万世帯が、このiモードによって、いろいろな小額の買い物(着メロなど)をするようになるといって、収益モデルに組み込みました。
 しかし、小額の買い物では、バリーエションが説明できなくなるまで、株価は上昇してしまった。
 利食いの後、急騰するというもったいないケースがわたしたちの運用で相次ぎました。そうなると、「バリエーションで高いと思ってもすぐには売ってはならない」という経験則みたいなものが身についていきます。しかし、そのとき、本来通りに「売り」の判断をしなければならなかった。

 インターネットを通して、いずれは高額の買い物もするようになる可能性を指摘する一方で、海外進出による地域拡大策を評価、以下の営業利益を10分もかからずに算出したものです。
 ネットだけで生活するDOT.COM男、そして、日本一のプロバイダーとしてのドコモを評価したわけです。

 たとえば3000万世帯×平均年間10万円のインターネット取り引きの利ざや=新規の利益3兆円 時価総額の増加予想は、30兆円あってもいい(非常に稚拙だが、バブルではこういう考えでいけいけどんどんでやらないと大勝できなかった)。
 いけいけどんどんの相場になっていき、10分間PL、即席PLがわたしの机上に沢山できました。その時間はどんどん短縮していき、最後には3分間PLが登場。頭脳は、考えることを停止しました。

 1ヶ月程度は儲かりました。しかし、その後は、未公開株にまで手を出し、敗戦処理が始まっていきます。
 パフォーマンスが徐々に悪化、それまで7四半期連続でアウトパフォームしていた自慢の連続記録が途絶えました。とても、ショックを受けたことを鮮明に覚えています。3分間PLということをやってしまったことへ天罰が下ったわけです。
その後、反省しましたよ。とても。その反省にたって、バブルに対して厳しい態度をとるようになりました。

***アナリストが失敗を避けた例 クレイ フィッシュ***

「億の近道 2000年4月17日号」では、わたしがクレイフィッシュ(4747)を「売り」としました。
 株価はそのとき1300万円だったのが、執筆中に連続ストップ安をつけ、2000年4/20には661万円の安値をつけました。その後、株価は反転し、6月に800万円台を回復していきます。その後も急落を繰り返します。7月に300万円、9月に200万円、10月には100万円を割り込みました。現在(2002年1月)の株価は58万円です。

 ですから、そのとき、「売り」とした判断は正しかったのです。ずっと保有していれば、株価は1/10以下になっていました。

2000年4月17日号クレイフィッシュのコメントを読む

(大原)

 

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24
2002/01/28 政策提言:NPO活用の雇用対策を
炎のファンドマネージャー

 

 失業率の上昇で経済不安が巻き起こり、小泉政権にとっても難しい舵取りに迫られている昨今である。構造改革や不良債権処理ばかりが話題となって、生活者レベルの細かい対応が抜けていることは、余りマスコミなどでも問題とはならないが、皆なでもっとアイデアを出し合ってみたらどうでしょうか。

 私も多少はこの問題について考えてみたいと思います。

 ワークシェアリングによって仕事の分担をしながら、多くの方々に雇用の場を提供するといった対応が一つの対応策と考えられておりますが、これにもう少し工夫を凝らしてみてはどうかと以下のことを提言したいと思います。

 今、全国で多くのNPO(非営利組織団体)の設立が見られますが、これらは営利を求める株式会社や有限会社ではないのですが、社会にとって有益な課題に利益を追求することなく取り組もうとしています。

 そこには主催者の熱い思いが込められており、社会性や地球に優しい行動規範が求められています。失業者は若年層を含めて何をやりたいのか見出せないままの方や、社会の変化に技能がついていけない善意の方々が数多くいるのだと思えば、一時的にしろNPOがそうした善意の失業者を救う受け皿となるのでないかと考えます。

 一方のNPOも、設立したのは良いけれど人材不足、やる気のある善意の人材が課題と思われます。そこでこうしたNPOに一時的にそうした人材を登録しておき、自分のやりたいことが見出されるまで、そこで活動をするシステムを構築するというのはどうでしょうか?

 失業すると半年間の失業保険に頼る生活が始まるのですが、この間にNPOに所属していても保険金が貰える制度を作ることで、NPO、失業者双方が社会貢献できると期待されます。今の日本にはありとあらゆるNPO組織が東京だけでなく多くの地方都市にもあると言われております。この際、そうしたNPOをネットワークし、失業者が自分が希望するNPOを見つけて、率先して所属できるような仕組みができないかと思っております。

 もちろんタイムシェアリングで労働時間が短縮された方も、NPOに所属して活動する道が開かれます。人はお金だけを目的に生きている訳ではありません。人それぞれでしょうが、中にはお金ではなく自分の生きている証を社会貢献に求めている方も多いのではないでしょうか。介護ビジネスなど本来はNPOが担うべきなのです。コムスンなど一部の企業が取り組んでいますが、本来はNPOがやるべきことなのでなかなかうまくいかないのも納得がいきます。

 実は株式市場に上場している企業も、現在多くが税金を払っていない赤字企業がたくさんあります。また多くの中小企業も赤字を理由に税金を払いたくても払えない状況なのです。
 これらは実際にはNPO的状況と言っても良いでしょう。上場していると言っても赤字企業は存在意義が失われているのではないでしょうか。株主等への責任から赤字企業は様々な言い訳をして、リストラと言うような勝手な名目で多くの従業員を解雇しています。
 従業員も雇用されているという意識だけで社会貢献、社会参加の意識が薄くなっています。

 そもそも上場会社のどの程度が、社会にとって本当に必要とされているのでしょうか。社会にとって必要意義が失われるようになった企業は即刻退場するか、事業戦略を見直していかなければなりません。

 先日、たまたま億の近道の編集長(昨年NPOを設立)と、特許流通のNPOの代表が私を交えて幕張で面談する機会がありました。NPO同士のネットワークはまだまだ珍しいケースだと思われます。 NPOが果たす役割はお金だけを目標とする経済構造、社会構造を変える可能性をもたらすことです。今外務相問題で揺れているNGOは、それが更に国際的な活動となります。

 市民1人1人が参加する社会性の高い活動がNPO、NGOと言えます。

 それらは社会性を意識する企業からの寄付金で賄われることが多いようですが、銀行から借りたお金を返すこともなく赤字垂れ流しの企業に比べれば、財政的な事情は厳しいとしても求められる役割は大きいと思われます。

 小泉内閣が推進する構造改革がうまく進展するかどうかは、多くの国民の溢れるアイデアで支えられるものです。雇用問題の解決方法として私のアイデアが多少でもお役に立つならば、私にとってはこの上ない喜びである。(炎)

 

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23
2002/01/28 注目される2002年のIPO第一号銘柄の動向
炎のファンドマネージャー

 

 相場低迷の中で昨年は多くのIPO銘柄が大活躍を示し、皆さんも大いにハッピーではなかったでしょうか。下手に誰もが知っている1部の有名銘柄や仕手性の高い銘柄に手を出すより、IPO(新規上場)銘柄に関心を寄せ、割安感のある銘柄にターゲットを絞っていれば、多少は成果が上がったのではないでしょうか。

 特に昨年後半のテロ事件後の動きは、まさにIPO銘柄の活躍が目立っていました。発行済み株式数の多い小型銘柄だけではなく、電通や野村総研などの諸事情も重なって、結構良い動きをしたようです。

 さて、今年はどうなるでしょうか。既に1月29日のディースリーパブリッシャー(4311・J)や1月30日のぴあ(4337・東証2部)なども人気を集めているようです。久しぶりの上場ですので余り過熱しないことを祈りますが、これは抑えようがありません。

 IPO銘柄に関心のある方は、今後の上場スケジュールと企業内容をよく吟味することです。企業の中身がわかりにくいものが多いのかも知れませんが、ぜひとも皆さんで吟味だけはしてみて下さい。そして高すぎると思えばあきらめ、安いと思ったら2回、3回と時間分散して買うなど、しっかりとしたやり方で取り組むことが必要です。

 私の有料コンテンツでも、こうしたIPO企業についての詳細なレポートを配信しておりますので、一度ご覧頂ければ幸いです。

 今週は因みに上記2銘柄ほか、ビーマップ(4316・NJ・コンテンツインフラ及びそれを活用したコンテンツの企画・開発・運営から構成されるモバイルシステムインテグレーション事業)、とプレカット製品を中心とする住宅資材製造販売事業会社であるハイビック(7845・J・)が上場してきます。ビーマップには時流性と幹事争いの含みから多少の人気化場面が想定されるが、基本的には上記2銘柄に的を絞っておきたいと思います。

 D3パブリッシャーは80〜100万円でのスタートならば上々。120万円以上での高寄りではその後の波乱につながるでしょう。
 時価総額の目安は今期経常利益の10倍の40億円であるが、行き過ぎを想定して50億円程度も想定しておこう。

 ぴあについては公募価格が2000円に決まっており、初値は4000円の声もありますが、余り無理してはいけません。
 平成13年3月に実施された上場前の第三者割り当て増資では、一株3100円という価格になっており、今回の公募価格はこの価格を大きく下回るものとなりました。恐らくこの前回払込価格よりは上でスタートするでしょう。もちろん、上場初値が3000円を下回ってスタートするようなら、その後の運用成果は高まるでしょう。
 因みに、その3100円で払い込んだ方々には各1000株づつではあるが、劇団四季の浅利慶太氏や田辺音楽出版の田邊昭知氏、ホリプロの堀威夫氏、CCCの増田宗昭氏などの著名人が並んでいる。このほか、ご本人かどうかはわからないが、残間里江子、波頭亮、出井伸之、樋口廣太郎、三枝成彰といった著名人の名前もずらりと並び、流石にチケットぴあだけあってこれまでの有力者とのネットワークは結構あることがわかる。
 彼らの保有は形だけの公算があるが、同社は社員にもストックオプションを付与しており、その行使価格も3100円。彼らは上場後通常半年は売れないので、少なくとも7月末までは持つことになるだろう。株主優待制度の充実を図っており、長期保有の株主ほどメリットがある仕組みを構築している。今後中期で成長する中で株式分割などで、株数を増やすなどして投資家の期待に応えるのではないだろうか。

 いずれにしても再開する2002年IPO冬の陣に注目しておきたい。(炎)

 

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22
2002/01/28 銀行のリストラ道半ば
炎のファンドマネージャー

 

 仕事の関係で大手信託銀行を訪れて驚いた。大きな建物に有り余る空間。国民の税金でなんとか凌いでいる状態の銀行には、ふさわしくない体育館のような建物の中で働くスタッフと、そこに居合わせた顧客が機械的に話している様は無駄の塊りのような印象。重要文化財としての建物を守ろうという姿勢ならばある程度理解もするが、初めて訪れた身からすれば理不尽なことこの上なかった。お金の振込に来ただけの客と単純労働の銀行窓口のスタッフの応対が、新たな金融システムの中で時代遅れとなっていると感じたのは私だけだろうか?

 日本経済の停滞が銀行の能力の無さから引き起こされているとしたら、憤りすら覚える。かつてのエリート銀行員の姿は一体どこに消えたのか。経済発展が続き、何も創意工夫なしで発展できた時代とは違い、今は何事にも創意工夫が必要な時代である。国民の大事なお金を預かっていて、それをリスクマネーとして転嫁できないまま、国債を買うしか能のない銀行。いつまで銀行の中だけに国民の大事なお金をしまいこんでいるのか。新たな経済発展に向けてのチャレンジなど今の銀行には微塵もない。

 一方でネット銀行が水面下で動きを取りはじめており、今後インターネット社会の中で活躍を示そうとしている。

 先週末にソニー銀行の方と会食する機会があったが、能力ある人材の募集に努めて、新たな成長を目指す姿を感じることができた。世の中にない経験の浅いビジネスを展開することには苦労もあろうが、既存の銀行も新たな発想でぜひ取り組んで貰いたいものだ。ネット証券は既に松井証券をはじめとして先進的に活躍し、投資家からの支持を受けてある程度の成功を収めているが、決済銀行としてネット銀行の活躍も、ブロードバンド時代の流れの中で音楽やゲームといった著作物などの知的財産とも言うべきコンテンツの流通や、個性豊な地方の生産物が取引きされるようになって、ますます期待されるだろう。

 更にその銀行では決済だけではなく、金融資産の運用などについても多くの方々からの支持を得ているという。金融ビジネス、中でも銀行ビジネスが新たな発展を迎えることができるのかどうかは、そうした知的財産の流通が鍵を握っていると思われる。不動産担保融資だけの世界から脱皮して、銀行マン1人1人の能力が問われる将来性の分析を背景とした、知的財産をベースとした融資へと発展するならば、銀行の新たな活躍の場が広がることになるだろう。

 銀行が社会に貢献するためには、人々の生活を豊かにする技術やビジネスの発展に必要な資金を提供することである。組織に埋没してしまっている能力とやる気のない銀行マンには、この際思い切って国民のために自ら退職の道を歩むべきではないのか。もちろん頭取も含めてである。不良債権処理だけでなく将来に向けての銀行のあり方をしっかりと示していない経営陣は、即刻退陣すべきだろう。単に人の首を切れば良いというものではない。社会に役立つ真のリストラが銀行の中で粛々と進んでいくことを期待する。(炎)

 

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21
2002/01/28 あなたは種まき派?それとも豆まき派?
炎のファンドマネージャー

 

 2月3日の節分が近づいてきました。日本経済の停滞や株式市場の低迷を見ていると、思わず「鬼は外!」と言いたくなるような有様ですが、こういう局面こそ冷静に眺めて、しっかりと将来に向けての種をまきたいものです。目先の金儲けばかりにうつつをぬかし、豆まきばかりをしていては株式市場が健全に発展することはありません。ここはしっかりと良い品種の種をまき、来たるべき収穫の時期を待つことにしたいものです。

 目先のお金はどうしても値動きにつられて、株価水準の安い株ばかりに流れてしまいがちですが、事業内容や収益性などまったく無視の相場が続くことは健全ではないことは、誰の目にも明らかでしょう。同じお金でも向かう方向によっては経済社会にとって大きくプラスに働いたり、マイナスとなったりすると言うのが私の持論。株式市場に集まってきた選りすぐりの企業が、投資家からどのような評価を受けるのかが重要になってきます。

 エコノミックアニマル的な企業が評価されるのはもう昔の時代。牛肉すり替え事件の雪印が、マスコミからの追求で市場での評価をまたまた悪化させたことは、今後の企業経営のあり方を示唆してくれるものです。

 限りある地球環境に配慮し、社会貢献度を重視した企業経営の道を歩むエレガントな企業を高く評価し、近未来の相場トレンドの好転を前に、今のうちに種をまくことにしましょう。

 皆さんそれぞれがしっかりと企業の活動内容に目を光らせて取り組むことで市場は自ずと健全な道を歩むことになるのではないでしょうか?(炎)

 

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20
2002/01/25 米国連邦公開市場委員会
生涯遊人

 

 先週、米国のFRB(連邦準備銀行)について書いたが、皆様により良く理解していただくために、もう少し詳しく書いてみたいと思います。

 金融政策を決定するのは、7人の米国連邦公開市場委員会理事と、二ユーヨーク連銀総裁、4人の地区連銀総裁の12人の投票によって裁決します。

 それぞれの理事の内訳は、

Alan Greenspan
議長
タカ派
経済分析重視
Roger Ferguson
副議長
中立派
銀行業務に詳しい
Lawrence Meyer  
タカ派
経済予測、財政政策に詳しい
Edward W Kelly  
タカ派
物価安定重視
Edward Gramlich  
ハト派
エコノミストとして有名
Susan Bies  
議長追随
地方銀行出身、経済学博士
Mark W Olson  
議長追随
元銀行協会理事長、銀行界に詳しい
       
William J Mcdonough
ニュヨーク連銀総裁
ハト派
 
Anthony M Santomero
フィラデルフィア連銀総裁
   
Robert D Mcteer
ダラス連銀総裁
中立派
 
Garry H Stern
ミネアポリス連銀総裁
タカ派
 
Jerry L Jordan
クリーブランド連銀総裁
タカ派
 

 ここでいうタカ派、ハト派というのは、物価重視、要するにインフレに対してより重視する対策を取るかどうかということだ。タカ派のほうがよりインフレに対して厳しいということだ。

 米国であれば、連銀ウォッチャーと呼ばれるエコノミストたちが、それぞれの理事のスタンスや発言から、次回の金融会合でどのような政策が話し合われるか予想したり、金利の上げ下げを予想する。また会合の後に発表される議事録の分析などを行なう。
 これが日本だと日銀ウォッチャーと呼ばれる人たちがおり、同じようなことをしている。

 そのため、それぞれの理事の発言は注目され、とくにグリーンスパン議長の議会証言などは、大変注目を集める。

 さて1月11日のグリーンスパン議長の講演で、米国経済に対して悲観的な発言として受け取られ、もう一段の利下げがあるのではないかと予想されたが、24日の議会証言では、「米経済の下押し圧力は消えつつある、生産性の上昇による生活の向上は続くだろう」と述べ、前回の悲観的発言を若干修正する内容であったために、1月29日、30日に開催される米国連邦公開市場委員会では、利下げがないのではないかという見通しが増えた。(生涯)

 

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19
2002/01/25 今年の抱負
両津勘吉

 

 昨年度のテクノロジーカンパニーの株価は、驚異的なパフォーマンスを演じましたが??今年度も懲りずにお伝えしようと考えております。

 セクターを広げようと考え、アポを一生懸命入れておりますが、気付いたら訪問取材だらけになってしまい、”これではレポートを書く時間がない”状態。帰宅できなくなるかもしれないが、ここのオフィスは夜間になると廊下が薄らと暗闇状態で幽霊が出そうなんです。

 余談は兎も角として、大原さんが出版したインベストメントが丸善でベスト9から7位に浮上し、ロングセラーになるのでは?と仲間内で話しておりますが、次回は億の近道シリーズを出版する予定でして、一歩一歩我々のビジョンに向かって進んでおります。

 それに伴ない、リサーチの内容や質も一段と変化させていく方針でして、皆様には引き続き生の情報をお届けさせて頂こうと考えております。(両津)

 

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18
2002/01/22 アナリストが失敗するとき その2
大原部長

 

 【ファーストリティリング 明白な事実を認識しながら行動できなかった数多くの投資家の一人として】

【明白な3つの事実】

●最高益を上げた期の利益率がグローバルに見て平均値の2倍以上あった(24%)が、これは長年にわたって維持できない高さであるということは機関投資家誰もが認めていた。
 GAPがもっとも成功していたときでさえ、営業利益率は15%であり、それさえ、高い利益率として、維持するのが困難であることを感じていた。

●売上成長率が数十パーセントという爆発的な成長を遂げた後は、続く数年間はぼろぼろになるという例を数多く知っているし、そういうものであるという教訓をほとんどの機関投資家が知っている。

●もっとも大きく成功した企業家というものが、どのような行動をとるのかを知っていた。
 まず、同業に対して大きくリードをした後、必ず地域的な拡大戦略をとること。海外展開をとること、そして、新しいビジネス領域に参入すること。その多くが失敗に終わり、バリューを破壊し、全社の利益率を押し下げるという教訓を知っていた。

 

【現状認識もできていたはず】

●いまやブームが去ったあと、どれだけ業績が悪化するのか誰もわからない

●経営者の判断がおかしくなっている 国内展開を完結させる前に、海外へ行き、一方で、食品事業をはじめる。
 現状の課題は皮肉なことに、まだ「ない」海外や国内の大型店をどのように成功させるかではなく、すでに今「ある」ぼろぼろになりつつある国内既存店舗の建て直しである。
 新規出店をどう成功させるかではなく、多すぎる国内店舗をどう建て直すかである。

 

【いつもよくいわれている有名な教訓も知っていたのに】

●ある会社が「完璧」に見えて、誰からも愛されるようになったら、それは売りのサインである。
 これは、いつもよくいわれている株の教訓であり、機関投資家であれば、誰でも知っていることである。

 

【なぜ失敗したのか】

●事実、わたしどもも、18ヶ月前、12ヶ月前、同様な自問をして「売り」の判断をしていたが、売れなかった。その理由は、損したくなかったからという消極的な理由しか、いまとなっては見当たらない。それは「PERで見ると売るには安すぎる」という理由だ。2001年の4月に25000円を上回ったとき、そして、その後、18000円を割り込んだとき、売ろうとしたが、売れなかった。「ここで売るのもPERでみると安すぎる」ということは、実際の市場ではありえない。安すぎるということはありえなく、物事はもっと悪くなる可能性の方が高いこともある。

●事態が悪化するときは、企業の将来に確信が持てなくなる。そのとき、PERは問題ではなくなる。
 これは非常に初歩的な間違いであって、以前、紹介した「ゴキブリの法則」が当てはまる。
 一度、ゴキブリを一匹見つけると、必ず、何匹もこれからゴキブリを見る羽目に陥るのである。最初のゴキブリは既存店の伸び率の低下、2匹目は、既存店のマイナス、3匹目は海外への展開、4匹目は新規事業、5匹目は大幅減益である。
 とくにわたしの場合は、同僚のアナリストが入れ込んでいたこともあり、同僚に批判的な建設的な意見をずばずばと言えなかった。そればかりか、企業理念や経営思想に共感してしまい「この株で損しても意味がある」とまで言ってしまった。好きな企業と株価は別々なものとして、分けて考えなければならないのだろう。そういうことが、出来なかった。

Lesson 1
*** A Stock is never too cheap to sell ******

Lesson 2
***When things go bad and when there is no visibility and no confidence in the future of the company, things can always get even worse****

Lesson 3
***We need to be suspicious of analysts that are in love with certain companies****

Lesson 4
****When the market and analysts are too optimistic about a stock, it probably is not that good a company and the stock already expects too much (perfection is expected and priced in the market)****

(大原)

 

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2002/01/21 執筆後記より
炎のファンドマネージャー

 

 前回のコラム「年賀状あれこれ」で紹介した企業の名前は以下の通りです。皆さんお判りになりましたか?1月15日の終値と比較すると、10銘柄のうち上昇は6銘柄、変わらずは1銘柄、下落は3銘柄となりました。

  1. ライトオンではない某カジュアル・ジーンズ販売会社
      答え:ジーンズメイト(7448)
      株価875円(前回815円)…60円分のお年玉でした。
  2. 株価が昨年1000円まで売られた後、今年1月8日に5000円まで急騰した神戸を本社としたハイテク企業(私の有料メルマガで育成銘柄として紹介)
      答え:カノープス(6774)
      株価4900円(前回4700円)…200円分のお年玉でした。
  3. 某人材関連ビジネス企業、昨年は業績の下方修正で株価低迷に苦しむが、2分割で流動性増す。
      答え:インテリジェンス(4757)
      株価30.4万円(前回29.5万円)…0.9万円分のお年玉でした。
  4. 某アミューズメント関連企業、最近再び人気復活傾向の写真シール機で知る人ぞ知る企業
      答え:アトラス(7866)
      株価750円(前回735円)…15円分のお年玉でした。
  5. 衛星活用ビジネスの先駆的企業、昨年は私がスタジオ見学会まで開催して力を入れたが株価はむなしく低迷。
      答え:オークネット(9669)
      株価1200円(前回1145円)…55円分のお年玉でした。
  6. もとは魚網などを取り扱う某繊維会社であったが最近はスイス系の銀行の資本で変貌しつつあると自己主張している企業。
      答え:BSL(3113)
      株価47円(前回47円)・・・お年玉はなし。
  7. 某コンピュータソフト、システム開発会社、研究所という社名で受付けの方も白い上っ張りをまとっている。
      答え:構造計画研究所(4748)
      株価720円(前回830円)…110円の損金発生でした。
  8. 某食品会社で最近東証2部に上場。
      答え:なとり(2922)
      株価725円(前回759円)…34円の損金発生でした。
  9. 広島に本社を置く某自販機オペレーター
      答え:アシード(9959)
      株価520円(前回590円)…70円の損金発生でした。
  10. 大阪に本拠を置くアウトソーシング企業
      答え:F&M(4771)
      株価45万円(前回44万円)…1万円分のお年玉でした。
    (炎)

 

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2002/01/21 カオリの株式投資初挑戦記 その2
炎のファンドマネージャー

 

 【前回のあらまし】

 私の娘は中学2年生。浜崎あゆみが大好きなイマドキの中学2年生であるが、今年のお正月はこれまでとは些か話す言葉が違ってきた。ある日見つけた貯金通帳を使って、父である私が娘の株式への関心を高めようと話し掛けたことがこの挑戦記の始まりであった。


 カオリが通っている学習塾は、千葉県を中心に展開している大手の学習塾であった。カオリはその日、学習塾から帰るとまたいつものように楽しそうにその日の先生のことなどを回りに話しかけていた。
私はカオリがいつも楽しそうにしているので、「学校と塾どっちが良いの?」と尋ねてみた。
「それはもちろん塾だよ。」とカオリの返事は素早かった。

 今や学校教育は先生の質的低下、サラリーマン化から生徒にとっては面白くない存在となり、その補完役としての塾が少子化の流れの中でも何とか業績を上げる状態であった。

「じゃー、その会社の株を買ってみたらどう?」そう私が言うと、また株の話とでも言いたげに、側にあった四季報の1492ページを覗き込んでいた。
「カオリのような生徒がたくさん通っているから、この会社は儲かっているんだよ。」と話をするとカオリは「へー、結構儲かってるんだね。」と四季報の数字を眺めていた。

 市進(4645)は10円配当(2月年1回)を継続して実施している長期安定配当の会社。今期の予想一株利益は23円。業績は順調に推移しているとのコメントが四季報には出ていた。株価は280円前後と配当利回り3.6%からしても魅力的だったが、ついこの間、250円という安値があったばかりだし、17万円余りしかお金がないことからカオリはもう少し安い別の銘柄を教えてほしいと言った。
「よーし、だんだんと興味を持ってきたようだ・・・。」私はカオリが多少でも株式に興味を持ち出しているのを喜びに感じていた。

 ある日、インストラックTVというCATV加入者なら只で見ることのできる番組を見ていたカオリに私は、「この会社も上場しているんだよ」と言うとエスコム(9472)という会社のことを教えてあげた。
カオリはこの数学の時間をよく見ているようだった。特に先生がユニークで何の関係もないのに柔道着で登場するのがおかしかった。

 さて、この会社の白井会長とは以前、億近の両津君ともども会ったことが有る。株価は今や50円以下に低迷。苦難の道を歩んでいる状態ではあるが、会長の人柄は抜群。第三者割り当て増資などで生き延びて今日に至っているが、業績は来期から浮上してくると四季報は伝えている。

 5万円以下で買える銘柄で多少リスクはあるが、候補にしておこう。私はカオリの株式買い付けリストの中に入れておくことにした。

 カオリはコンビニが好きだ。いつも塾の帰りに、お腹がすいたら立ち寄っているらしい。今のところは私が言うのもおかしいがカオリのスタイルは良い。
 でもこのままではいつかは太ってきはしないか・・・と心配している。

 そのコンビニについての番組が放映された昨日の日曜日。午前中のテレビ東京でお金の達人という番組では、東京湾岸を中心にサンクスチェーンを展開するCVSベイエリア(2687)が登場。私がかつて有料コンテンツ購読者向けに紹介した企業である。確か億の近道でも紹介したことがあると記憶している。

 その中身は新しいユニークなコンビニ業態ということで、登場した泉澤社長の話にカオリも見入っていた。
「お父さん、この会社は買いだよ」とカオリの口から出たので思わず私は微笑んでしまった。

 その翌日のCVSベイエリアの株価は一時前日比40円高となるなど、出来高を伴って上昇した。市進だけでなくこれも2月配当企業。

 私は、配当取りの動きが底流にあることをカオリにはそれとなく伝えることにした。(次回に続く) 
(炎)

 

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2002/01/21 カブユー便り
炎のファンドマネージャー

 

 「日光・鬼怒川温泉からロマンチック街道の旅を楽しむ  レジャー関連の株主優待制度」             by 株主優待制度研究所 研究員 NO.2

 ぴあでチケットを買ってお芝居や音楽を楽しむもよし、思い切って旅に出るのもよし、株式投資を楽しむ術は多い。
 今回は株主優待制度を活用して日光・鬼怒川温泉の旅を楽しむことにしましょう。

 東武鉄道(9001)は5000株で電車全線回数券が半期分として5枚貰える。さらに東武動物公園、東武博物館の入場券、テーマパーク、ゴルフ場、百貨店、ホテルなどの割引券もついてくる。株価342円は配当金だけで1.5%の利回り、それに全線回数券、各種の入場券、優待割引券さらに値上がり益も期待出来ますので、これらを勘案すれば相当に高い投資利回りが期待されます。今年の夏休みは東武鉄道株を買って「日本ロマンチック街道」の旅でもいかがですか。

 出発は東武鉄道の特急スペーシアで浅草から鬼怒川温泉へ。鬼怒川についたら東武鉄道の優待券を使って東武ワールドスクェアへ寄るのも良いし、また大新東(9785)の「日光江戸村」で心の洗濯をするのも良いでしよう。大新東は主力業務の企業の自家用車管理業務がリストラの影響で値下げ要求が厳しく、今期業績は大幅減益が予想されますが、株価も138円と低位で4円の配当を予定しています。さらに1000株で全国4カ所の時代村の入場券が4枚貰えます。但し一つの時代村につき一人1枚の使用が可能という制約付きです。また、有利子負債が多いのでその点には注意が必要かも知れません。

 宿泊は鬼怒川温泉で泊まるのも良し、もう少し足をのばして東武鉄道の株主優待券を利用して日光レークサイドホテル、日光アストリアホテル、日光田母沢ホテルを利用するのも良いでしよう。

 翌日はロマンチック街道を日光、戦場ヶ原、片品渓谷と史跡・大自然を満喫して伊香保温泉へ。伊香保温泉ではもしメンバーの紹介が得られれば温泉街近くの伊香保カントリークラブで東武鉄道の株主優待券で一日ゴルフを楽しんだ後、草津温泉へ。

 草津温泉からは軽井沢、小諸を経てロマンチック街道の終着地・長野へ。途中グルメ杵屋「信州そば処・そじ坊・佐久店」、「実演手打ちうどん杵屋・長野店」及びデニーズジャパン「佐久平店」、「上田店」「更埴店」「長野若里店」「長野県庁前店」「長野東和田店」で株主優待食事券を利用しましょう。

 グルメ杵屋(9850)は1000株で5000円の食事券が年2枚、デニーズジャパン(8195)は1000株で1万2000円の食事券が年2枚貰えます。両社とも業績は順調で株価の値上がりも期待出来ます。グルメ杵屋の株価は830円〜870円、配当は年14円、食事券をプラスすれば3%近い利回りとなります。また、デニーズジャパンは1月21日現在で1980円とアップしましたが、1900円台前半であれば配当は年31円、食事券プラスで利回りは2%台後半です。

 帰りは長野から長野新幹線で東京へ。JR東日本(9020)の株主優待割引券を利用しましょう。JR東日本は2株で料金が4割引きとなります(1株では2割引き)。株価はこのところ下落歩調にあり一時は56〜58万円まで下がりましたが、本日は62.2万円。配当は5000円ですが、56万円前後の安値圏なら値上がり益も狙えます。

*研究員NO.2は元証券会社の調査マンで現在も日本証券アナリスト協会に所属し、多くの企業の説明会や時に企業への訪問も行っているベテランアナリストである。非常に心優しく皆様の株主優待ライフをサポートしてくれると思います。ファンレターを頂ければ、返事を差し上げますので宜しく・・・。なお、現在ペンネーム募集中です。(株主優待制度研究所所長)

 

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2002/01/21 100人の村と株式市場
炎のファンドマネージャー

 

 今、ネットの中で大きな話題となっている100人の(地球)村。50数億人という地球の人口を100人に圧縮して考えてみると、私たちがいかに恵まれているかを考える機会になるというのがこのどこからとなく流れてきたメッセージの主旨です。まだご存じではない方々のために、以下にその中身を紹介しておきましょう。


100人の地球村・・・(日本語によるMLバージョン)

もし、現在の人類統計比率をきちんと盛り込んで、全世界を100人の村に縮小するとどうなるでしょう。
その村には・・・

 57人のアジア人
 21人のヨーロッパ人
 14人の南北アメリカ人
 8人のアフリカ人がいます

 52人が女性です
 48人が男性です

 70人が有色人種で
 30人が白人

 70人がキリスト教以外の人で
 30人がキリスト教

 89人が異性愛者で
 11人が同性愛者

 6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍

 80人は標準以下の居住環境に住み
 70人は文字が読めません
 50人は栄養失調に苦しみ
 1人が瀕死の状態にあり
 1人はいま、生まれようとしています
 1人は(そうたった1人)は大学の教育を受け
 そしてたった1人だけがコンピューターを所有しています

 もしこのように、縮小された全体図から私達の世界を見るなら、相手をあるがままに受け入れること、自分と違う人を理解すること、そして、そういう事実を知るための教育がいかに必要かは火をみるよりあきらかです。

 また、次のような視点からもじっくり考えてみましょう。
 もし、あなたが今朝、目が覚めた時、病気でなく健康だなと感じることができたなら・・あなたは今いきのこることのできないであろう100万人の人たちより恵まれています。

 もしあなたが戦いの危険や、投獄される孤独や苦悩、あるいは飢えの悲痛を一度も体験したことがないのなら・・・あなたは世界の5億人の人たちより恵まれています。

 もしあなたがしつこく苦しめられることや、逮捕、拷問または死の恐怖を感じることなしに教会のミサに行くことができるなら・・・あなたは世界の30億人のひとたちより恵まれています。

 もし冷蔵庫に食料があり、着る服があり、頭の上に屋根があり、寝る場所があるのなら・・・あなたは世界の75%の人たちより裕福で恵まれています。

 もし銀行に預金があり、お財布にお金があり、家のどこかに小銭が入った入れ物があるなら・・・あなたはこの世界の中でもっとも裕福な上位8%のうちのひとりです。

 もしあなたの両親がともに健在で、そして二人がまだ一緒なら・・・それはとても稀なことです。

 もしこのメッセージを読むことができるなら、あなたはこの瞬間二倍の祝福をうけるでしょう。なぜならあなたの事を思ってこれを伝えている誰かがいて,その上あなたはまったく文字の読めない世界中の20億の人々よりずっと恵まれているからです。

 昔の人がこう言いました。
 わが身から出るものはいずれ我が身に戻り来る、と。
 お金に執着することなく、喜んで働きましょう。
 かつて一度も傷ついたことがないかのごとく、人を愛しましょう。
 誰もみていないかのごとく自由に踊りましょう。
 誰も聞いていないかのごとくのびやかに歌いましょう。
 あたかもここが地上の天国であるかのように生きていきましょう。


 以上がその内容です。些か宗教的と思われるかも知れませんが、現実の社会を数字で的確に表しているようにも思えます。
 この100人の村では後の部分については後から誰かが付け加えたともされていて、意味深いものとなっています。

 日本人はこれから何をなすべきか・・・。どのような心を持つべきか、いろいろと考えさせられる内容のものですが、地球規模で考えることに慣れていない日本人にとっては良い教材かも知れません。
 人だけでなく、人がそこで活躍する企業もまたグローバルな志向を持っていないとなりません。株式市場においても国内では偉そうに言っていても世界に出てみれば力のない企業が多く、世界を見渡すと可能性がまだまだ大きいのに既に内向きとなり成熟してしまった産業や企業も多いのが現実ではないでしょうか。

 ユニクロが頭打ちとなっているとの報道でファーストリテイリング(9983)株価の下げが続いていますが、復活に期待したいところです。海外での展開にチャレンジする姿や、何事につけてもチャレンジする同社の姿勢に共感を覚えます。地球のユニフォームを売っている日本発のユニクロが、地球規模で圧倒的に支持されるような柳井社長のささやかな夢に100人の村人の中でたった2人の人たちこそ、もっとエールを送っても良いのではないでしょうか。

 グローバルに物事を考え、日本発のアイデアをもって積極果敢にチャレンジする日本人像があちらこちらで目につく時代になって、はじめて日本の復活があるのではないでしょうか?株式市場はこうした企業や企業人をもっと高く評価していく必要があります。

 決して収益の多寡だけが問題ではありません。エコノミックアニマル的な企業から地球環境に優しい人々の暮らしを重んじるエレガントなカンパニーがこれからの主役になっていくに違いありません。皆さんもそうした地球環境のことや地球規模の考えをもとにした投資対象の選定をしていくことが、結果として自らの生活を豊にするという社会機軸を、株式市場に参画しながら形成していく役割を担って頂きたいと願っております。(炎)

 

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2002/01/18 アメリカは復活したか
生涯遊人

 

 米国の経済統計の中に、「失業保険申請件数」というものがある。

 この数字は毎週木曜日に発表される速報性と、数字の正確さのために結構注目されている。企業の発表する数字でも、半期より四半期、四半期より月次の数字の方がより早く状況をつかめるのと同じことだ。
 もし経済の状況が変れば、週間発表のこの数字に真っ先に変化が現れるであろう。

 その「失業保険申請件数」だが、1月になって、44万7千、39万5千、38万4千と確実に減少している。
 また昨日発表のフィラデルフィア連銀調査景況指数でも14.7(前月−12.6)と良い数字がでてドルが買われた。

 米国には、中央銀行にあたるFRB(フィデラル、リザーブ、バンク)の下に、ニューヨーク(独立)、あとは東部、西部、南部、中西部ごとにそれぞれ12の地区連銀があり、それぞれ、景況指数を出すとともに公開市場委員会での投票権を、東西南中で1票ずつもっている。
 グリーンスパン議長を筆頭に、7人の連邦公開市場委員会理事がおり、それにニューヨーク連銀総裁、4地区連銀総裁の合計12人の投票によって、金融政策を決めている。
 12の地区連銀は、ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、リッチモンド、セントルイス、ダラス、アトランタ、カンサスシティー、ミネアプリス、サンフランシスコ、クリーブランド、シカゴである。

 この他にも、12月の雇用統計では、製造業の週平均労働時間が5ヶ月ぶりに増加に転じ、週平均労働時間が40.7時間と前月比0.4時間増えた。

 これらの統計のみで米国経済が底打ちしたとみるのは、早計かもしれないが、良い統計と悪い統計が交錯するのは、経済が底打ちした時にみられる現象であり、また過去米国経済が、平均11ヶ月、長くても16〜17ヶ月で景気の回復期に入ったことを考えると、少なくとも底打ちは近いのではないかと思われる。

 ただ、先週の11日にFRBのグリーンスパン議長が、「米国は短期的には引き続き重大なリスクに直面していることを強調したい」と述べ、市場の楽観論に釘をさした。
 グリーンスパン議長は、長期的な米国経済の見通しは明るく、9月以降のマイナス成長から、最近は、まだら模様の兆候もみられ、強弱入り乱れていると指摘した。
 またリスクとしては、企業収益、投資の低下、失業の増大、消費が抑制されていることとし、また株価下落による資産効果により景気の足を引っ張っていると述べた。
 このように彼は、景気が安定的な回復に向かっていると結論するのは、時期尚早であるとした。

 このために市場は早期回復説から、1月29日30日のFOMCミーティングで、0.25%の利下げがあるのではないかとの確信を高めた。しかし今週の経済統計により、市場はまた混乱してしまった。
 いまのところエコノミストは50%の確立で利下げを予測し、債券、金利のマーケットの方は、20〜30%の確立で利下げとみている。

 為替相場の方は130〜133円の間で膠着している。
 円安キャンペーンにのって、とりあえず130円代は定着したものの、早すぎる円安スピードや、他のアジア諸国に対する遠慮で、過度の円安懸念発言が政府サイドからでて、133円から131円にドルが下落した。

 しかしこの動きは、あくまで円安過程のなかでの調整にすぎないであろう。(生涯)

 

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2002/01/18 今年の抱負
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。

 本年最初の執筆となります。読者の皆様、本年も何卒宜しくお願いいたします。 昨年最後の挨拶(12月28日)で、「今年は“本物”たるべくともに勉強を続けましょう」と申し上げました。両津さんと金曜日隔週ごとの執筆となりますが、アナリストとしての日常的な活動のなかから、皆様のヒントになるものを提供し続けたいと考えています。

 現在は「小売・サービス」を担当しておりますが、小売企業の見方、収益モデルの作成の仕方など、少しずつご紹介できればと思います。当コーナーをお手伝いいただける方がおられれば歓迎いたします。機会がありましたら、ともに企業訪問なども行なってまいりましょう。

 本格的な活動は次回(2月1日)からといたします。
 また、新年早々、ファーストリテイリングの業績下方修正、ダイエーの再建計画発表など相次いでいます。何か質問等ございましたら、遠慮なくいただければと思います。

 “本物”たるべく、ともに勉強を続けましょう。(駄洒落)

 

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2002/01/17 アナリストが失敗するとき
大原部長

 

 アナリストが間違えるパターンを考えてみたいと思います。

【失敗のバターン その1 バブル時の対応によるもの】

 今期PERで説明できないとき、新しい指標を使うようになる。
 そのような指標としては、PSR(時価総額と売上の比較)、EV/EBITA(時価総額&純負債を償却前のれん前の営業利益と対比)、Qレシオ(土地などの含み資産を時価評価)など。
 現在も「特損を除いた実質PER」という抜け道が用意されている

 −PSR、EBITDA倍率、Qレシオ、特別損失を除いた実質純利益によるPER、これらは、アナリストが使いこなさなければならないツールです。どうして、バブル時に失敗してしまうのでしょう?

理由としては、

●「時代が変わった」「新しい世の中」「新経済理論」「国力のステージが上がった」
●強いトレンドが今後も永久に続くかのような錯覚に基づく強い期待感「買うための理由」を無理に探すことになってしまいます。

【失敗するパターン その2 高すぎる類似企業の前提】

 市場全体がバブルのときもそうですが、ある特定の市場に関しても、同じことがいえます。
 例えば、通信。携帯電話が伸びているときにのノキア。EBITDAが20倍になりました。
 それを松下通信に当てはめると、2万円でも安いという議論になりえる。

 青色ダイオードで市場が伸びているときの、米国企業のCREE。PERが200倍になってしまった。青色ダイオードの市場が急速に拡大しているためでした。しかし、持続可能なペースというより、市場立ち上がりに特有の現象でした。
 それを豊田合成に当てはめて、LED事業だけにPER200倍で算出すると株価は2万円ということになりました。

●ある特定の成長市場が現れて急速に立ち上がるときに、それを数年は持続すると思ってしまう
●そのため、光通信事業などをPSRで10倍程度で評価してしまう
●ある特定企業に高いPERがつくと、その企業に「似ている順番」で150倍、100倍、70倍などの高すぎるPERを当てはめてしまう

【失敗するパターン 業績の読み違い】

 景気動向から判断して、常識的にありえない方向で企業業績を強気に判断してしまう。
 半導体不況の入り口での、ローム。受注が失速していた一年前、ほとんどのアナリストがロームを今期増益で見ていた。

●急速な受注の落ち込みが2ヵ月程度で終了し回復するという甘い前提を立ててしまう:早期回復シナリオ
●固定費の削減をそのまま業績予想に反映させてしまう:リストラ鵜呑み
●新規事業の赤字幅を楽観的にみてしまう:新規事業離陸案
●新規出店が既存店売上を落とす、または、新製品が既存製品を売れなくするカニバリを想定していないベストケースシナリオ
●新事業の立ち上がり時期の見誤り
●好調な事業が安定成長するという前提:シクリカル事業なのに安定成長と思い込む

【失敗するパターン 高値での推奨】

 業績はある程度、当たっているが、株価が当たらないケース。

 バリエーションの過大な評価 PER20倍でも高い企業をPER30倍が妥当とする例

●ビジネスモデルの過大評価
●業績の安定感に対する過大評価
●経営に対する過大評価

【失敗するパターン マクロの見誤り】

●為替の読み違い
●金融危機の認識の甘さ

 その他、いろいろあるかと思います。

 わたしが、高値で推奨し、その後急落した例として、

1)エンプラス→CMOSセンサー向けレンズの立ち上がり時期を見誤った
2)東北パイオニア→有機EL事業の収益低下を見抜けなかった(ライバルの液晶価格が急落)
3)兼松→ 金融危機に対する認識の甘さ
4)アイワ→ 業績回復を伴わないうちに推奨、リストラを過大評価

他にもいろいろパターンはあると思います。

 タイミングとして成功した例としては、

1)日東電工、2)ローム、3)UMCJ すべて、受注が上向く期待感や好調な月次がベースになった。
4)オリンパス、5)リコー、6)ブラザー、7)SMM 円安や金属市況の追い風を受けた。
 流れを見て成功しているのは、電通と野村総研。セクター内でパリエーション的に高いものを避けた結果、消去法で残った。
 パイオニアなどもハイテク不況下の消去法で残る。

【失敗を避けるためには】

 結局、経営や事業モデルの評価だけではなく、業績の温度、今後、旗色がどうなのか、また、チャートや株価の位置で、総合的に判断するしかありません。
 為替の見方や海外動向も非常に重要です。

●常識的な考えにのっとる。
●冷静にな判断
●誤りはすぐに認める(市場のせいにしない、コンセンサスに敢えて挑戦しない)
●市場心理が冷えているときにはとくに、新規事業やリストラは結果が出るまで我慢
●月次などの足元やニュースフローを予測すること→次節参照

参照 【ボトム圏における月次前月比の活用】

 前月比に株価が反応するようになっている。 前月比が機能している理由としては、

●前年比が相変わらず大きなマイナスで、モメンタムをはかりにくい。
●ボトムを探って、底這い状態のため、前年比より前月比が適切
●ただし、より長期的な視点からは前年比回帰が望ましい 前月比伸び率を横軸に、株価を縦軸にとると、プラスの相関が出てくる。イレギュラな点もあるが、ベクトルで表示すると回転運動になっておもしろい。
●クリスマスなど売上の多い月については前年比が適切な評価軸
●株価が底打ちするタイミングを予想するときは、前月比の改善の程度で判断している
●安定的な成長軌道にのったときには、当然前年比が比較対象としてクローズアップされる

(大原)

 

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2002/01/17 企業研究 日本電産(6594)
大原部長

 

 〜技術大国日本に求められる経営者像〜

【なぜ経営が重要なのか】

 経営力さえあれば、日本企業は競争力を取り戻せる分野が数多くあります。未曾有の金融危機と長期デフレ不況下で喘ぐ日本企業。技術力のある企業でさえ、本来の力を発揮できないでいます。その根本には、経営不在があると見ています。

 日本企業の多くは、技術力がありながらも、リーダーシップの欠如により、組織運営が効率的にできていません。会社の宝である人材を奮い立たせるビジョンが、経営者によって示されていません。ビジョンがなければ従業員の士気は高まりません。士気が低ければ、競争に敗れ、市場から退出しなければなりません。

 よい経営者ほど、危機感をもち経営しています。どうしたら、投資家として、よい経営者を見分けられるようになるのか、その点をまず説明していきます。
 そして、会社が、技術的な優位性を保ちながら発展していくためには、よい技術があるだけでは不十分です。技術力が業績に反映されるためには、ここでも経営力が必要とされます。なぜなら、技術は流出していくからです。人材の流出に伴い、重要なノウハウまでもが流出してしまうからです。人材をいかに引き止めるのか。やはり経営にかかってきます。

 読者のみなさん、日ごろから、この人はよい経営者かどうかということに気にかけるようにしてみてはいかがでしょうか。わたしは、自分が投資家として共感できる経営者に投資するように心がけています。そして、実績としても、よい経営者に投資した方が、結果は良好のようです。


1)経営を判断するポイントその1 事業選択のセンス

【どの事業を選択するのか〜 戦いは戦わずして勝たなければならない〜厳しい競合を避けるセンス】

 優秀な企業でも、競争の厳しい市場では意図した結果がでないことも普通の会社であっても、競争相手に恵まれた市場では抜群の成績を残すことも 経営力とは事業を選択・運営するスピードです。どの事業をどの事業に優先させるのか、どの事業にどれだけ投資するのか。どの事業にどのような戦略を当てはめるのか。
 競争の少ないビジネスをどう選んでくるのか。それが経営のセンスです。

 

2)経営を判断するポイントその2 経営者の資質

 経営者として以下の質問にすべてイエスと答えられるでしょうか?

●社会貢献の意思があるか 社会のニーズを特定できているか
●産業の成長性をしっかり述べているか
●参入の難易度についてしっかり述べているか
●価値観や経営理念を述べているか(ありきたりでなく心に残るものかどうか)
●簡明で理解しやすい言葉で産業を説明できているか
●市場シェアはどの程度が好ましいのか述べているか
●10年先20年先の自社の像を述べているか
●簡潔に事業ドメインを述べることができるか
●売上より利益率を重視しているか 
●理想的なB/SとP/Lについて述べられているか
●新規事業は1つか2つに集中して推進しているか
●経営理念を従業員が共有できるように具体的な方策を実施しているか
●研究開発や設備投資の優先順位を明確に述べられるか

 

3)経営を判断するポイントその3 組織の息吹

 経営者に卓越したビジョンがあっても、組織に命が吹き込まれていなければ、事業運営はままなりません。以下は、組織をチェックするポイントです。

【組織の状態と会社の技術力はシステムとして機能しているか】

●意思決定過程は文化となっているか(風通しはよいか)
●特許戦略は述べられているか
●人材の質は高いか
●人材のモチベーションは保たれているか
●適正な設備と適正な雇用の水準について基準があるか
●過大な人員増を伴わないで売上が増やせるシステムか
●過大な設備投資増を伴わないで売上が増やせるシステムか

 

4)経営を判断するポイント4 経営から見る技術評価

【高い技術力が生まれ、その技術力で他社をリードできる環境が生まれ、その好循環が継続する基礎的な条件】

 よい経営、よい組織、そして最後に重要なのは、よい技術です。よい経営によい技術が結びつくと、傑出した会社となります。

【よい技術力かどうかの判断ポイント】

●ユーザーのニーズを満足させる技術かどうか
●コストを劇的にさげる見通しが立つ技術かどうか
●利害関係者の気分を害せずに実行可能な技術か(すんなりと実行できるスキームがあるか)
●技術陣が金銭的に大きく報われる仕組みがあるか

 

 さて、これまで述べてきた全てのチェックポイントに、自信をもってYES!と答えられる経営者がいます。日本電産(NIDEC 6594)の永守社長です。


個別企業研究【日本電産 NIDEC 6594】

1)日本電産 − ポイントその1 事業選択のセンス:

【事業を集中】
日本電産は、ブラシレスモーターという事業領域を明確にしています。小型ブラシレスモーターという今後の成長分野を見据えています。今後は、車載用モーターを中心とする中型モーターへの展開に余念がありません。

【競合他社が少ない】
米国にはすでに小型モーターを量産できる会社はありません。欧州にも2−3まだ会社は残っていますが、基本的に数億単位で量産できる会社はありません。小型ブレシレスモーターのライバルは松下寿、ミネベア、三協精機など、日本勢となっています。小型モーターの市場は年間1兆円を超える巨大市場ですが、たった数社で膨大な市場を分け合うという構図こそが、投資家として安心できる最大のポイントです。
 これから一番伸びる中型モーター市場。中型モーター会社を次々と買収してきました。日本電産のリーダーシップのもとで、中型市場はますます、すっきりとしてきます。競合関係を自らの努力で改善していこうという意気込みは、経営手腕として高く評価されます。

【競合他社との差別化】
 事業領域内では、競争の厳しいところを意図的に避けています。
 HDD向けスピンドルモータでは、一番儲かるハイエンドのサーバー向けと2.5インチのノートPC向けでシェア70−80%と高く、競争が最も厳しいローエンドの3.5インチデスクトップ向けのモーターでは、シェアを50%程度に意図的に落としています。

2)日本電産 − ポイントその2 経営者の資質

チェックポイントと日本電産永守社長の考え

●社会のニーズを特定できているか  −安い効率のよいDCブラシレスモータを安定供給する
●産業の成長性をしっかり述べているか  −車載モータ、HDDの今後の急拡大
●参入の難易度についてしっかり述べているか  −流体軸受、電力効率、安定供給
●価値観や経営理念を述べているか(ありきたりでなく心に残るものかどうか)  −「勝つまでやる」
●簡明で理解しやすい言葉で産業を説明できているか  −例え話は非常に上手
●市場シェアはどの程度が好ましいのか述べているか  −儲かる市場で高いシェア
●10年先20年先の自社の像を述べているか  −売上1兆円早期達成
●簡潔に事業ドメインを述べることができるか  −HDD、車載用、FAシステム
●売上より利益率を重視しているか  −過去最高利益率更新を目指す
●理想的なB/SとP/Lについて述べられているか  −NY上場。日本企業で最も保守的な会計処理
●新規事業は1つか2つに集中して推進しているか  −AV向けHDD、自動車向け
●経営理念を従業員が共有できるように具体的な方策を実施しているか  −入社式で新人を圧倒。成長すれば海外拠点や開発を任せる、事業を立ち   上げたものは株も所有させる
●研究開発や設備投資の優先順位を明確に述べられるか  −流体軸受け、自動車向けモーター設計力向上

3)日本電産 ― 経営を判断するポイントその3 組織の息吹

 経営者に卓越したビジョンがあっても、組織に命が吹き込まれていなければ、事業運営はままなりません。組織をチェックするポイントです。

【組織の状態と会社の技術力はシステムとして機能しているか】

Q:意思決定過程は文化となっているか(風通しはよいか)
A:トップダウン。海外拠点責任者もトップダウン的な意思決定で、組織がアメーバのように生き長らえること。もっとも危険な社員は「どうしたらよいでしょうか?」と聞いてくる社員とのこと。

Q:特許戦略は述べられているか
A:焼結合金を使用した低コスト化可能な流体軸受をNTNと共同で出願

Q:人材の質は高いか
A:毎年200−300人の理工系学生を採用。海外研修で徹底教育。

Q:人材のモチベーションは保たれているか
A:社長は社員の顔をほとんど覚えている。本社機能は小さく質素。

Q:適正な設備と適正な雇用の水準について基準があるか
A:設計力(エンジニア)は買収で確保している。1兆円の売上達成のための基礎人員は整っている。

Q:過大な人員増を伴わないで売上が増やせるシステムか
A:アセンブリー自動化で人員増によるコストアップは限られる。セットメーカーの要求を満たしていれば、セットメーカーが最終製品を販売してくれる。

Q:過大な設備投資増を伴わないで売上が増やせるシステムか
A:金型、精密加工、材料工学など、もっとも日本が競争力を持つ分野で勝負していることと、競合者が少ないため、投資効率が基本的に高い

【従業員のやる気は経営者の態度で決まる】

 経営者の戦略が従業員によって理解されるためには、従業員だけが損をしないシステムつくりが重要です。多くの会社が、経費削減で残業代をカットしていますが、従業員だけが損をしています。もともと経営者には残業代がありません。

【リーダーは、リーダーが育てるしかない】

 従業員をやる気にさせるためには、教育も重要ですが、人材の資質や精神力も非常に大切です。各部にリーダーがいるかどうかで、全体のパフォーマンスは決まってきます。日本電産は負けることが嫌いな会社です。負けることが嫌いな人ばかりが集まっている会社ともいえましょう。「ミニ永守」社長を何人作るかで、会社の将来は決まってくるという覚悟が経営陣にあります。社員も有能であればどんどん仕事が任せられるので、否応なく、がんばってしまいます。

 リーダーの資質は持って生まれたものですが、若いリーダーを上手く育てている会社、それが日本電産の強みです。
 5年前、日本電産に投資する際の最大のリスクについて永守社長にお聞きしたときは、「永守自身がいなくなれば、株価は1/3になるかもしれない」とお答えいただきました。今回、5年の歳月を経て同じ質問をしてみました。

 社長の答えは、「株価は30%程度は下落するかもしれないが、今回はミニ永守が7−8人出来てきたこと、そのミニ永守がさらにミニミニ永守を複製し始めた」。ミニ永守とは、永守社長のようなカリスマ性をもち、リーダーシップを発揮しながら、業績を伸ばしていく、という組織運営ができるリーダーのことです。

 官僚主義や大企業病に陥らない秘訣は、ミニ永守の存在にかかっているようです。

4)日本電産 − ポイントその4 経営から見る技術評価:

 日本電産は世界ではじめてHDDスピンドルモーターに流体軸受を使用。2001年から量産に入り、月産数百万個規模の実績を残している。この技術は10年前から取り組んでいる経営にとっての懸案事項でした。なぜ、経営者がこの流体軸受へ過去10年数百億円規模を超える研究費を投入してきたのか、なぜ、それほど重要だったのか、日本電産を例によい技術とはなにかを説明していきます。

【よい技術力かどうかの判断ポイント】

●技術評価ポイント1 ユーザーのニーズを満足させる技術かどうか
 流体軸受開発成功で
 1)HDDメーカーの歩留まりが急上昇している(修正コスト、モーター価格アップ)
 2)自身の利益率を大きく改善させている(過去10年間で数百億規模を開発につぎ込んだ)

●技術評価ポイント2 コストを劇的にさげる見通しが立つ技術かどうか
 今回量産に成功した流体軸受モーターは、コストを劇的に下げます。なぜなら、これまでは売価の約20%を占めているボールベアリングを使用していないからです。これまでは、ボールベアリングを外から買っていたため、利益率が芳しくありませんでした。日本電産は流体軸受の内作化に成功していますから、今後は部材の内作化比率が上昇していきます。
 1)最も高価な部品の内製化によって、付加価値を取り込むことに成功しています
 2)流体軸受は理論的にボールベアリングの約1/3コストで最終的に量産可能です HDDスピンドルモーターにおける一番のコストを占めるボールベアリングの時代は終わります。流体軸受が主流になる今年は日本電産の利益率も大幅に向上しそうです。

●技術評価ポイント 3 利害関係者の気分を害せずに実行可能な技術か(すんなりと実行できるスキームがあるか)
 ボールベアリングをつくる会社(NTN)といっしょに流体軸受を開発しました。HDDメーカーは、歩留まり向上のため、思い切って流体軸受モーターの採用に次々に踏み切りました。これがボールベアリング会社の反対や、セットメーカーの反対があれば、日本電産がいくら採用を働きかけても採用されなかったでしょう。
 1)1枚ディスクに使える焼結合金はNTNという既存のベアリングメーカーと開発部材メーカーのやる気を煽りました。
 2)セットメーカーの製造プロセスを熟知、ボトルネックのノイズによる不良化比率を引き下げたため、流体軸受採用意欲が高くなった

●技術評価ポイント4 技術陣が金銭的に大きく報われる仕組みがあるか
 古参の社員は、自社株を数円程度の簿価で買っている。自分たちで新規市場を立ち上げ、事業を立ち上げ、儲けると老後は安泰であるという夢とロマンを与えている。

●技術評価ポイント5 他社との技術比較で優位性はあるのか
 ライバルは焼結合金の採用は見送っています。それは、焼結合金から出るゴミなどがモーターを突然止めてしまうサドンデスに悩まされているからです。ところが日本電産は5年前からその問題に取り組んでいます。

※上記レポートはあくまで事例研究です。投資を推奨するものではありません。(投資レーダーさんの新春チャートブックに掲載された「甦れ!NIPPON」向けに執筆したものの一部です)
(大原)

 

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2002/01/15 カオリの株式投資初挑戦記 その1
炎のファンドマネージャー

 

 私の娘は中学2年生。浜崎あゆみが大好きなイマドキの中学2年生であるが、今年のお正月はこれまでとは些か話す言葉が違ってきた。

 まず、彼女はお年玉を貰うとすぐに駅前のショッピングモールまで友人といっしょに福袋を買いに行った。
 自分から積極的に買い物をするようになって、お金に対する意識も変わってきたようだ。

「お父さん!お年玉の金額が少ないよ。親戚の家に行かないの?」
とぼやくようになった娘の話に、中学生であれば一体いくらぐらいお年玉を渡すのだろうか?とこちらは逆に関心を持ったが、テレビでは親戚からのものも含めて6万円ぐらいは当たり前などと言っていたのに多少驚きを覚えた。
 不景気とは言っても、子供たちの懐は少子化で案外豊かになっているのではないかと思えるが、実際にはどうだろうか?お金の有り難味もわからずに自動的に苦もなくお金がもらえる今の子供たちが、この先大人になったらどうなるのか…などと案じてみても致し方ない。
 成人の日に暴走する一部の連中の振る舞いも、この甘えから来ていると言ったら言い過ぎか…?

 さて、世間一般では親戚からもらうお年玉の合計を6万円から10万円として、子供たちはすぐに使うこともあれば将来のために貯金をする子供もいて、なかなかその使い道は個性があって面白い。
 実はカオリも生まれて小学校に入る程度までの間に、少しずつお年玉で貯金をしてきたのであるが、本人もまた親もその存在を忘れかけていた1月のある日、木箱に入った貯金通帳を見つけた私は、それを取り出し一体いくらあるのだろうかと覗いてみると、17万円余り。記帳は4年前で終わっていて、金利がわずかづつついてはいるが、最後に記帳された金利は100円にも満たない金額。

 その通帳をカオリに渡した私はこれはチャンスと思い、
「どうするカオリ。これを殖やさないかい。」と切り出した。

 子供にとってお金に対する意識が高まっている時だけに、本人はすぐに興味を示した。

「殖やすってどうするの?」
「株式に投資するんだよ。」

 株と聞いてすぐに拒否反応を示した娘に私は、手元にあった会社四季報を与え、銘柄の選択の仕方から四季報の見方、株式の売買のルールなどをこと細かくレクチャーし始めた。単位株が1000株以外にも500株、100株といろいろある点。業績の変動が株価の推移にも反映される点。チャートというグラフがあって過去の推移を知ることができる点。儲かっている企業に投資したら配当金が貰える点。買った時の株価と売った時の株価の差が儲けになったり損になったりする点。銘柄によっては株主優待制度がある点。などなど。

 わずかの時間で100%教えることはできないが、ポイントになりそうなことは教えてあげたつもりであるが、彼女は難しいと言って会社四季報から手を離し、浜崎あゆみの出ているファッション雑誌に手をやった。

 そこで私は彼女の関心を引こうと
「浜崎あゆみに関連している企業もあるよ」
と言うと、彼女は急に目を輝かせた。

「それはどこなの?」
「エイベックス(7860)だよ。四季報に出てるよ。見てご覧。」

 そう言って私は、カオリにその四季報のエイベックスのページを開いて見せてあげた。カオリは食い入るように見ていた。

「じゃあ、これが良いね。」あっさりと結論を出した彼女に対して私は、

「でもこの株は今4000円近くしていて、100株買っても40万円必要だから今のカオリの資金では買えない」ことを告げた。

「それに買っても今人気の浜崎あゆみが引退したら業績が悪くなるかも知れないから、株価は上がらないかも知れないよ」と余分なことまで言ったので、カオリはむっとした顔をして「浜崎あゆみはまだ大丈夫だよ、結婚なんかしないよ」と一人のファンの顔に戻っていた。

 17万円ではこころもとないから、私は株式を買うのなら10%の補助金をつけて上げることを提案した。
 カオリはその話を聞いてがぜんと張り切りだした。自分の読んでいるファッション雑誌から今流行のものを見つけ出して、これに投資しようとか、あれならどうだろうかと急に話が盛り上がってきた。

 私は彼女の言う話にすべてうなずいて一つ一つ丁寧にアドバイスした。
 彼女の関心は浜崎あゆみだけではなかった。友達同士で楽しんでいるアミューズメントセンターではプリクラで遊んでいるし、携帯電話は片時も離すことがない状態となっている。今時の中学生がこれほど友達とコミュニケーションしているとは驚きであるが、カオリは株式投資についても友人に相談していた。友人の中に詳しい人がいるというのだ。「今はまだ株は買い時ではない。外貨預金の方が良いと言っているよ」などと携帯電話からの情報を話してくれたので、一体その人はどういう人なんだと詮索してしまう自分がおかしくなってしまう。携帯電話が既に彼女たちの情報源となっていることに改めて驚きを覚えた。

 カオリは携帯電話のことなら何でも聞いてと自慢げに言うので、

「それじゃ、携帯電話の会社に投資したら」と話をまた株式投資のことに振り向けた。

 NTTドコモがいいけど株価が高いので買えない。他の会社も17万円の資金では買えないので、それに関連した銘柄を買っておくことを提案した。

 私からは過去に24.1万円もの高値をつけたことのある光通信(9435・時価1030円)を100株だけ買っておくようにしたらどうかと提案。
 業績の好転の噂を耳にしていたから、もしかしたら一発大逆転になる…との淡い期待が脳裏をよぎったためだ。

 また、プリクラに興味があるのならアトラス(7866)を、700円になったら100株だけでも良いから買っておくように奨めておいた。
 雑誌にあるプリクラのブームがまだ続いていて、とくに新製品のやまとなでしこが人気だとの話が目についたためだ。しかもこれなら7万円余りで買えるではないか…。彼女の勉強にはなるなと思ったこともある。

 カオリは考えておくと言って、いつも通っている学習塾に出かけていった。(次回に続く・・・)

(炎)

 

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8
2002/01/15 物の時代から心の時代へ
炎のファンドマネージャー

 

 20世紀は物の時代とされて大量生産、大量消費が日常茶飯事となって参りましたが、21世紀は心の時代と言われております。

 先日開かれたチケット販売の大手ぴあの上場前説明会で、同社の創業社長である矢内氏は、21世紀は心の時代として感動のライフラインを担うビジネスの展開を行うことを明らかにした。物が充足された21世紀では遊び、レジャー、エンターテイメントの役割が重大になってくると断言。心の豊かさをサポートするシステムをビジネスとして発展するとの意向を、集まったアナリストの前で示した。
 自らの持つレジャー、エンターテイメントなどのコンテンツを、ITを活用して感動のライフラインに繋げていくことが第3の創業期の方向とのことだった。

 景気が悪いと言っても世の中にはモノがあふれており、消費の二極化が進む中で、高級品、ブランド品が売れる一方で、100円ショップ、ユニクロに代表される低価格商品の需要も根強い。
 失業率の高まりの中で人手不足の業界もあるし、自己実現を目指す意識の高いフリーターの数も多いと聞く。

 心の時代が到来する中で、株式市場に参画する投資家も何がしかのこだわりや、自己主張があっても良いのではなかろうか?
 株価の上昇だけではなく、配当を楽しみたいとか株主優待制度を楽しみたいとか、企業の活動を支援したいとか、環境に優しい企業を応援したいとか、経営者の考えに賛同した、技術の良さにほれ込んだ、などなど。

 株式投資にレジャー性、エンターテイメント性をもたせるのなら、単位株は小さくして1回当たりの投資額と取引コストを小さくすれば良い。今ようやくこのことに気がついた証券各社や発行体は、パチンコや競馬と同様に少額でも株式の売買を楽しめる仕組みを構築し、証券人口の裾野拡大を図ろうとしている。

 リスク分散(時間分散、銘柄分散など)が可能となって、はじめて証券人口は拡大する。それぞれにお金はない訳ではなく、リスクを取るためのインフラが不足していただけではないかとの認識ができる。株式投資を楽しむ人口は今後着実に増加する。

 金利のつかないお金をほっておく臆病な人が目覚めてきた時に、株式市場は新たな発展を示すだろう。

 心の時代に入る今、株式市場も大いに変化を示すに違いない。(炎)

 

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7
2002/01/15 年賀状あれこれ
炎のファンドマネージャー

 

 お正月の間に私のところには多くの企業からの年賀状が届いておりました。
 会社をスタートしてはや3年を経過して、多くの企業の方々とおつきあいさせて頂く中で年賀状も徐々に増えてきた状態です。

 さて、13日はお年玉の抽選日。
 お年玉が当たっているかを見るのは皆さんも楽しみでしょうが、切手シートが当たるだけで私には1等など無縁ですが、今年も期待むなしく残念賞のみの結果となってしまいました。
 株式でもよく株式雑誌の特集でお年玉銘柄なるタイトルが踊ったりしますが、思わず当たるかなと期待してその銘柄を買ってみたくなりますから、この言葉には気をつけたいものですね。

 と言う私も先日、ある雑誌に編集長の命令とは言え、お年玉銘柄と銘打って書いたりしましたので、親しみのわく何となく憎めない言葉ではあります。なお、結果としては多少のお年玉となったかと思いますので一安心。

 お年玉はともかく、本日は多くの上場企業のトップから頂いた年賀状で、文面で気になったものを紹介しておきたいと思います。もしかしてお年玉ゲットのヒントになるかな・・・。企業名は伏せておきますので、皆さんでどこの会社かお考え下さい。


1)ライトオンではない某カジュアル・ジーンズ販売会社

 謹賀新年  旧年中は格別のお引き立てを賜り… 厳しい経済状況の中、当社におきましては店頭サービスのより一層の向上、ポイントサービス会員の113万人の加入、更に携帯電話向けの自社サイト「JEANSMATEモバイル」を立ち上げ、割引きクーポンや商品情報などの配信サービスを業界に先駆けて開始し、努力して参りました。以下略


2)株価が昨年1000円まで売られた後、今年1月8日に5000円まで急騰した神戸を本社としたハイテク企業 (私の有料メルマガで育成銘柄として紹介)

 謹賀新年  今年も画期的な新製品で皆様の期待にお応えいたします。


3)某人材関連ビジネス企業、昨年は業績の下方修正で株価低迷に苦しむが、2分割で流動性増す。

 明けましておめでとうございます。平素は …略… 社会のフレームが変わりつつある中、私たち・・・は「人と企業を結ぶインフラの構築」を目指してHRサービスにおける最高のクオリティーを追求して参ります。今後も …略…。


4)某アミューズメント関連企業、最近再び人気復活傾向の写真シール機で知る人ぞ知る企業

  謹賀新年 本年もよろしくお願い申し上げます。(パート1)
  今年は飛躍の年になると思います。 宜しくお願い申し上げます。(パート2)


5)衛星活用ビジネスの先駆的企業、昨年は私がスタジオ見学会まで開催して力を入れたが株価はむなしく低迷。

 皆様のビジネスをもっと便利に、より価値のあるものにするために、・・・は 新システム「AucNeo」をいよいよ稼働させます。機能の飛躍的な向上だけでなく、更に拡大する提携会場のライブオークションなど、皆様のビジネスを強力にバックアップいたします。今年も・・・は皆様の販売支援を目 的としたさまざまなサービスをご提供させて頂きます。2002年も変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。


6)もとは魚網などを取り扱う某繊維会社であったが最近はスイス系の銀行の資本で変貌しつつあると自己主張している企業。

 謹賀新年  生まれ変わった…コーポレーションは皆様のご期待に添えるよう邁進して参ります。


7)某コンピュータソフト、システム開発会社、研究所という社名で受付けの方も白い上っ張りをまとっている。

 恭賀新年 旧年中はお世話になりました。今年はIRコアを確立して時価総額倍増です。


8)某食品会社で最近東証2部に上場。

 謹賀新年 お陰様で21世紀を迎えた昨年東証2部上場することができました。2002年は第2の創業期のスタートと自負しております。今後は…おつまみ食文化の創造へ向けて挑戦努力いたします。 …略…。


9)広島に本社を置く某自販機オペレーター

 「良質の選択。−−−人、環境、未来に」 当社は21世紀の自販機事業のプロデュース企業として消費者起点の発想にもとずき良質の商品・サービスを選択・開発し、皆様に提供して参ります。


10)大阪に本拠を置くアウトソーシング企業

 謹賀新年 〜サービスの水道哲学を目指して〜 総務・経理のあらゆるニーズに応え得るソリューションカンパニーへ

(炎)

 

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2002/01/11 アルゼンチン化
生涯遊人

 

 ワールドカップのF組は、最激戦グループといわれ、因縁のアルゼンチン、イングランドの試合が注目されている。しかしこの2カ国は、かつての栄光と言う意味では、共通点がある。

 イングランドは、かつて七つの海を支配するといわれ、長く大英帝国の栄華を誇った。アルゼンチンもまた、19世紀の半ばから20世紀初頭にかけて、世界で有数の富裕国であった。
 食肉と穀物の輸出により、世界の食料供給元として発展し、世界各国からの投資が増え、人口も増加し、経済は大発展し、20世紀はアルゼンチンの世紀といわれたこともあった。
 しかし一時の隆盛を誇ったアルゼンチンも、農業のみ頼ったためか、あるいは、その後の工業化、経済改革、構造改革を怠ったために、急速に国力を衰退させてしまった。

 そして今回、債務のデフォルト宣言をするとともに、通貨ペソの切り下げを行なった。

 アルゼンチンは、1$=1ペソの固定相場を1991年より続けていた。金融政策の独立性を放棄する代わりに、通貨価値を安定させ、年率5000%のインフレを沈静化させていた。
 当初の目的通りインフレの沈静化には役立ったが、長く続けすぎたために、輸出競争力を弱め、デフレ圧力の弊害がでてきた。とくに90年代後半ドルが主要通貨に対して上昇すると、ペソも実力以上に高くなってしまった。

 しかしアルゼンチンの問題は、財政赤字と負債に行き着く。
 穀物輸出によって蓄えた富を、政権の維持のためにばら撒く大衆迎合主義(ポピュリズム)所謂ペロン主義によって、喪失していった。
 多くの労働者に有利な労働関連法がつくられ、また女性労働者の地位も向上し、富は労働者に分配された。
 しかし1次産業中心の構造改革は進まず、経済危機のたびに政府の支援を行ってきた放漫な国家経営により、国家負債の蓄積が積み上げられていった。

 過去4回、経済危機に陥ったアルゼンチンは、そのたびに政権が交代し、当初はIMFの支援を得るためもあり、改革を目指すが、国民に痛みを強いることなく、いずれ政権交代とともに改革を先送りにしてきた。
 今回アルゼンチンは、2000年10月の政局混迷から危機が噂されていた。
 去年は、IMFの支援を受け財政赤字削減に取り組んでいたが、12月18日に非常事態宣言、23日に対外債務支払い停止(デフォルト)を宣言し、1月6日には、固定相場制を放棄し、1$=1.4ペソに通貨を切り下げた。

 この変動相場制のもと、貿易決済など大部分は1$=1.4ペソの固定相場で観光客の両替は変動相場という二重相場制となっているが、すでに市中のヤミ両替商は1$=1.5〜1.6ペソで交換しており、いずれ1$=2.7〜3.0ペソに下落するものと思われている。

 国際金融市場では、去年から、経済危機あるいは、金融危機のリスクの高い国として、アルゼンチン、トルコ、日本をあげてきた。
 また最近、欧米の経済誌が日本のアルゼンチン化を懸念する特集を出した。
 我々日本人としては、それらの国と一緒にされることには少し抵抗があるが、国の債務が膨れ上がり改革が遅々として進まない日本は、同じように映るのだろう。

 アルゼンチンはかつて「銀の国」とよばれ、ヨーロッパにやってくる富裕な旅行者の代名詞となっていた。
 日本は、マルコ・ポーロによってジバング(金の国)とよばれ、日本の旅行者が世界中の観光地にあふれているが、かつて1980年代に、日本と言う国が一時だけ世界を席捲したと、世界史の教科書に書かれないようにしたいものだ。

 ドル円相場は、私が述べた「心地良い円安レベル」である125−135円内に定着している。
 短期的には、130円まで届かず130−135円のレベル落ち着いている。
 政治家による、早すぎる円安のスピードに対する懸念発言でも大きくドルが下落することはなく、売り手の勢いが弱まるとすぐ買い上げられてしまう。「問題企業に対する債権放棄による、邦銀のダウングレード」などといった円安方向の噂には、すぐにドル買いの反応がおこる。

 当面127〜128円は超えることなく、130〜135円をはさむ展開が続くだろう。(生涯)

 

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2002/01/08 がんばれ ぴょん吉!
大原部長

 

【果たした編集長の責務 ぴょん吉さんのこと】

 ぴょん吉さんは、37歳。いま、自分の会社を立ち上げたところです。塾の経営者です。さて、彼のゼミ応募時のメールです。

【2000年12月12日応募時のメールより】

わたしは36歳の自称「投資家」です。しかし、学歴や肩書きはありません。アクシデントによるレールから外れました。
大学進学はせず、18歳から社会にでて経済を学びました。といっても、マルクスやらケインズではありません。すべて現場での独学です。
堺商法、船場商法、近江商法、甲府商法をアパレル産業の中で10数年学びました。
設立に参加した会社が伸びてきたころ、アパレル産業特有の商習慣に疑問をもつようになり、改善してもらえるように百貨店、大手得意先を回りましたが、生意気な若造がいい気になってと反感を受けました。10数年後、商慣習が原因で発火点が量販店が破綻していく様をみて複雑な気持ちです。
現在(応募当時)は、日本TIという半導体工場で、製造装置のメンテナンスを担当しています。ここでも、独学で、半導体製造装置を学びました。ステッパーが得意で、レンズ以外はすべて自分で直すことができます。
でも、学歴がないので、エンジニアではなく、製造部員です。週休3日で時間があるので昨年から株式をはじめました。
株は博打を割り切って、得したり損したりと遊んでいました。
「億の近道」を読むようになってから、考え方が変わってきました。きちんとした起業に期待をこめて、応援するというスタイルに変わりました。
わたしは、中途半端な人生を送ってきました。10年前に反発をかったもの、現在も上司に認められないのも、きちんと理論立てて相手を納得させる力が無いからだと思います。
自分なりに独学でなんとかなるというやってきました。しかし、基本がないと最後の詰めができません。
基本を教えていただきたいのです。
そして、納得のいく仕事をしたい。

〜以上、2000年12月12日のメールより〜

【人格者 ぴょん吉さん】

 「投資が上手くなりたい」と応募してくる人は沢山いますが、「納得のいく仕事をしたい」といって、応募してくる人はぴょん吉さんぐらいです。
 ぴょん吉さんは、ゼミ参加中に、仕事を退職。半導体不況下の希望退職でした。失業中で時間があることを口実にわたしは、億近水曜日版を立ち上げる責任者に彼を抜擢しました。億ゼミのぴょん吉編集長は2001年の10月に誕生しました。

〜ぴょん吉さんから再び頂いたメールより 2002年1月〜

<億近ゼミに参加できて...>
株式投資を始めて2年がたち、損益とは別に新たな疑問が湧いてきた。これで良いのか?自分のやっていることは何なのだろうか?初めは単に珍しさで始めた株。
株をやっているというと少々聞こえは良いが、パチプロと変わらないじゃないか。
幼いころ、父がギャンブルで家業を潰し、荒れた環境で育った自分は、あんな大人には絶対ならないと誓ったはずではないか?
だったらやめよう。でも、銀行も保険会社も株式投資をしている。
株式投資っていったい何なんだ....。
そんな時、「億の近道」をインターネットで見つけた。
メールマガジンを読む毎に執筆者の思いや考え方がよく伝わり感動した。
でも、内容は理解できない。
大原部長の投資学校の開校と生徒募集の知らせに、真っ先に応募してみた。
投資の本質とは何なのか?教えてくれるのではと期待した。条件は厳しく、技術者とか研究者に混じって、補欠ではあったが、私のような学歴も無い、地位も無い者を受け入れてくださった。
毎月出される課題は難しくてついていけなかったが、自分なりにではあるが、とてもよい勉強になった。
何よりも、仕事が終わった後に大学に通う大原さんの姿に感動した。
ハイテク株を運用するなら技術を知らなければいけないと、ファンドマネージャーの激務をこなして更に奥深く勉強する姿を見てここまでやらなきゃいけないのかと思い知らされた。
真に応援したい会社を見つけ出す。その会社の持つ技術、経営、社員。とにかく調べる。とことん調べる。
その会社が生み出す価値を推測し、達成できるように応援する。株式投資という形で自分が参加することができることの素晴らしさに気がついた時、自分の投資手法は変わっていた。
相場であるから、株価は短期では上下に変動する。それが何だというのか?
世の中の役に立つ物を創ろう、しようと真剣に取り組んでいる企業。新しい価値を生もうと努力している企業を応援したい。
私のような零細個人投資家でも、経済社会の一員だと実感できること。喜べることに、株式投資の価値を見つけました。
「億近ゼミ」ありがとう。

【不屈の人間 ぴょん吉さん】

 「不登校とか落ちこぼれ連中を集めて,フリースクールみたいなものをやりたいんです。よく,TVで評論家がいろいろいっているけど,彼らにはわからないと思います。 私は,落ちこぼれの気持ちがわかる数少ない大人だと思うので,力になってあげたいと思ってます」(ぴょん吉さん)。

「そして,平日の昼間は,お年よりを集めてのPCスクール。病院の待合室でたむろしている時代じゃないと思います」(ぴょん吉さん)

【学研の学習ソフト「まなぶくん」は海外の日本人学校ですべて採用されるス ーパーソフト】

 そのぴょん吉さんが、学習塾を経営します。 この場を借りて、応援させていただきます。

【ぴょん吉塾とは?】

●とことん面倒をみるぴょん吉先生!
●どんなに困難にもくじけずがんばってきた人です 
●そこらへんの学生アルバイトがやっている塾ではなく、ぴょん吉編集長の塾の門をたたいてください。
●どんなに延長してもわかるまでやらせます!
●絶対に受験に合格させる意気込みでがんばります!!!
●落ちこぼれ大歓迎 人生のすばらしさを教えます
●小手先のテックニックではない。本当の勉強を教えます
●中学生&小学生&高校生&どなたでも学習意欲のある方
●教科:英語、数学、国語、その他
●月謝:下記にお問い合わせください
●わたし大原とゼミのC言語さんもぴょん吉塾へ手伝いに参じます!(ともに昔は予備校勤務の人気講師でした)

【連絡先】
関 口  昌 修
学研CAIスクール 佐貫教室
〒301-0032
  茨城県龍ヶ崎市佐貫3-20-7 2F
  TEL 0297-61-5061
   cai_sanuki@msn.com

※塾に応募される前に、ぴょん吉さんのすばらしいレポート億近バックナンバー2001年11月7日号をご参照ください。 http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000020640

大原

 

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2002/01/08 完全な投資とはどういうものでしょうか?
大原部長

 

 投資家として以下の問いかけに答えることができますか?

 理想の企業とは
 理想の経営者とは
 理想の組織とは

 短絡的、短期的な視点から、わたしは今まで、以下のような事柄を投資先に要求してきました。

 儲からない部門に対する徹底したコスト削減。撤退。他社との提携。
 「余剰」人員の削減。
 成果主義。ストックオプションの導入。経営陣のスリム化。
 決算処理の迅速化。IRの拡充。
 現預金有効活用や遊休資産の売却。
 経営目標数値の社外発表。中期経営計画。
 メリハリある配当。新規投資採算の目算。

 しかし、投資家としての要求をする前に、アナリストとしてやるべき本質的な事柄があったのではないだろうかという気がしています。
 数ある投資技法を駆使し、取材力を活かし、有望な銘柄を発掘するという前に、やるべきことがあったのではないだろうか。
 業績の評価の前に、やるべきことが本当になかったのか。
 経営を評価するという一言ではすまされない重大な過ちを犯しているような後ろめたさを感じずにはいられません。

 疑問は、こういうものです。

 「投資家寄り」と言われる市場重視の経営は本当に長期に渡って投資家を納得させることができるのだろうか?
 四半期ごとの運用成績に四苦八苦している投資家が本当に企業の発展を望むような提案ができるのだろうか?
 投資家が喜ぶような最新の経営手法や会計管理は、本当に長期的な時代の流れに抗せるものなのだろうか?
 不採算事業を売却するとき、不採算だからというただそれだけの理由で、すぐさま売却を迫るような行動は、本当に企業を救う道になるのか?
 変化の激しい時代だからという理由だけで、変化を企業に求めるのはよいことなのか?
 スピードを重視するという経営は、本当に優れているのだろうか?

 自分の人生を振り返るとき、わたしたちは、だめなものをすぐに諦め、じっくり考えるべきときに、早急な結論を出し、仕事を任せるときは、すべて他人に法外な成功報酬を与え、変幻自在に職業や大切にしてきた価値観を変えてきたでしょうか?

 わたしたち投資家が、企業を評価するときの手法は、業績の予想以外にないのであれば、投資というものは、単なるゲームとなってしまうでしょう。わたしたちは、自分の人生とは、切り離して、どうしたらゲームでよく勝てるようになるかの方法論を過去、何百年とやってきた。ただし、そのゲームにはルールが記載されていない。勝てる法則という法則は、勝つことを保証するものではなかった。どんな賢者がどんなに懸命に考え抜いた方法論も、確実なものは何一つなかったし、これからも出てこないでしょう。

 投資のゲームへの完全な勝利を諦めた人々は、ファイナンス理論を構築していきました。わからないことはわからないという前提で、確率の世界を実践的なポートフォーリオの理論として数十年前からだろうか、ランダムウオークで世界を語り始めています。

 投資の完全な勝利を諦めたもうひとつのグループは、次善の策を練りました。賢いと言われているそのグループは、市場では人気のない、しかし、安定的な事業を、投資案件として高く評価しています。いつのころからか、株は人気のないときに買い、人気が出てきたときに売るのだという数々の「鉄則」が生まれました。しかし、その方法論では、新しいことにチャレンジするイノベーターに投資するのは、愚者ということになってしまいます。

 完全な投資を目指す人々は、どうしたらよいのでしょうか。 わたしが今年にやってみようという試みは、今までの小手先の業績予想や投資家寄りの考えをすべて捨て去ることです。
 すべての投資の常識を一旦忘れてしまおうという試みです。
 そのうえで、理想の人間同士が理想の組織をつくり、事業を運営したならば、どういう結果が生じるのかということから始めたいと思っています。冒頭の質問に、万人を納得させることができる答えを見出すことです。
 そして、現実を直視することです。「いまある」現実の事業体の中で、どこが一番、理想に近いのかを検証していきたいと思っています。

 未来を見通す眼力というものが仮にあるとしたら、多分、各企業へ参画している人間の素顔を注意深く観察することから始めるべきではないでしょうか?
 組織の末端にいたるまで、各人ひとりひとりにやるべき適切な仕事を指示することは誰が考えても不可能でしょう。
 恐い上司がいる組織で、働く人々が自分のやりたいことを自由に表明することはできないでしょう。
 組織に対する忠誠なくして、自分が属している組織を偉大なものにすることはできないでしょう。

 とはいえ、システムや組織や経営を評価するとき、あまりにも多様で定性的な事柄を、有効に取り扱うことは、不可能であるように思えます。
 でも、絶対に、そこには、なにかがあります。結局、最後は、骨身を惜しんで、そういう定性的な事柄に全力でぶつかっていくしかありません。

 アイデアを思い付くのも人間、それを事業として成功に導くのも人間。オペレーションを遂行するのも人間。自己実現していくのも人間。みんなをとりまとめるのも人間。投資するものも、事業を任せられるもの人間。ならば、人間というものの本質にスポットを当てた投資のスタイルが本質として存在するはずではないでしょうか。

 わたしは、直感として、そういうものを確立できるのはないかと漠然と考えています。
 なんだか自分の生きがいをそこに見出せそうな気がします。
 少なくとも、業績が振るわない時期に差し掛かった企業経営者に向かって、株主総会で役員報酬支給に対して反対票を投じるよりも前に、投資家はやるべきことがあると感じています。

 丹念に丹念に骨が折れる作業をこなさなければならないとしたら、そういう努力は、世界がよくなる方向に使うべきでしょう。
 そういう丹念な努力をしないままに、投資家の論理を振りかざすのは、業界の発展を妨げてしまうでしょう。
 自分の人生を振り返るように、企業を分析してみたい。
 自分が自分に対して一歩一歩努力しているならば、企業の小さな努力を見逃すはずはありません。
 すべて納得し、すべて、「こうせざるを得なかった」、「こうする以外に道はなかった」といえる投資が必ずあるでしょう。
 完全な投資というのは、他人との比較ではなく、自分が精一杯やったといえるものなのでしょう。

 わたしはこれから投資家として飛躍できるのではないか。自分で言うのもなんですが、そういう期待感で一杯です。(大原)

 

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2002/01/07 低位2銘柄
炎のファンドマネージャー

 

 信用リスクの高まりから昨年の年末にかけては100円割れ、50円割れ銘柄が続出。全体相場もどこまで下がるか判らず、買い手控えムードが高まる中で、売り叩きの動きが見られたが、これはいつか来た道。98年にも見られた状況でもある。
 しかも年末特有の逃げ足の速い資金が集まった証拠とも言える動きでもあった訳で、売り一色のムードが過ぎてしまうと再び買い気が戻ってくるのだから、余り慌てることはないだろう。今回も98年と同じなのかは予断を許さないが、先行きに不安感が高まっている点では当時と同じ。

 その終着点が見えない中で、見えざる手が入りうまく反転上昇相場に転じることになるのかは投資家心理次第。多額の有利子負債を抱えた企業への売り圧力が続くのだが、それではそうした企業すべてがつぶれることになるのかと言えば、そうでもなかろう。

 相場で儲けるには人の裏を行く必要があるのだが、人の裏を行こうとして逆を行くこともあるので事はそう容易なことではない。大半の企業が業績の悪化に苦しもがく中で、有望銘柄を見出すことは至難の業かも知れないが、企業内容が堅実な銘柄までがとばっちりを受けて値を消してしまったことから、財務面などをしっかりと見直して取り組めば、それほど大きなロスにはならないと思われる。ここは勇気をもって臨むことにしよう。

 大方の投資家の脳裏には少額資金で再チャレンジを図れればとの考えがあおりなのかも知れないし、売買のしやすさを考慮して、ここでは低位株に絞って新春相場で活躍が期待される銘柄を紹介しておきたい。

 これらは大半が二極化相場の中で売り込まれ、底値模索が続いている銘柄ばかり。財務内容も比較的堅実で、PERや配当利回り等を勘案して株価水準が割安であることなどを加味して以下の140円台の2銘柄を選定してみた。
 選定したタイミングから既に一旦高値をつけたりしているので、じっくりと押し目を待って取り組むことにしよう。


私の好きな140円台の低位株

●名村造船(7014・大証) 147円  配当利回り3.4%

 昨年も同じ頃に注目して大きく化けた銘柄であるが、株価は低位株への売り圧力が高まる中で一昨年10月の114円安値に一時接近。その後、年末においては反転し、短期間で3割の上げを演じている。
 今期はオリイメックの売上寄与で大幅な増収ながら、船価安から採算が低下するため利益は大幅にダウンする見込み。11月14日の決算修正発表以来、この点はかなり株価に織り込まれてきたと言える。
 今上期の受注残は34隻、1088億円に達しており新造船については約3年分の受注を確保している。

 環境関連事業ではダイオキシン規制対応の事業所向け乾溜ガス化焼却炉への評価が高まっており、今後の事業の柱に育ちつつある。同業他社とのアライアンス戦略やIT活用による資材調達の効率化なども推進。来期は採算の良い船舶の売上計上で、業績は回復する見通し。

 ここに来ての円安傾向も同社の収益向上にとってはプラス。現状の時価総額は55億円にしか過ぎず、有利子負債126億円に対して有価証券と合わせた現預金は185億円と豊富で、同社の財務内容は健全。配当利回りも3%台と高く、利回り採算にも乗る。

 短期上昇後の調整場面入りとなりつつあるが、135円程度を目途に押し目買いスタンスを継続したい。

●日本甜菜糖(2108)  149円 配当利回り3.4%

 主力のビート糖・精糖は制度改正による価格引き下げによって環境は厳しいものの、ビートから分離精製して得られる天然のオリゴ糖であるラフィノース、ベタインをはじめとするオリゴ糖等の機能性食品は順調。アトピーにも効果があるというラフィノースは、タカラブネのシュークリームなどに既に使用されているほか、臓器の搬送用保存液としても使用されている。
 また、家庭で手軽に手作り味噌が楽しめるという乾燥味噌酵母の開発を推進。2000年6月に特許を取得し、実用化に向けて取り組んでいる。
 農畜産事業は、今話題の肉骨粉を使用しないイーストやビート糖蜜による配合飼料の販売が順調で、小幅ながら伸びている。
 スポーツ施設や石油販売、書店などのその他の事業においても上期は回復の兆しが出たほか、不動産賃貸事業も収益を下支えしている。

 新農業基本法を巡る農政改革の影響など厳しい事業環境が続く中、今期業績は小幅ながら減収の見込みであるが、利益は遊休地活用などを推進し経常増益を見込む。過去の最低水準に落ち込んできた株価は配当利回りが3%台となり、配当利回りからは狙い目。但し時価総額は228億円となっており、下値リスクが多少残っている点に留意。(炎)

 

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2002/01/07 化学セクターのキャッシュリッチ企業
炎のファンドマネージャー

 

 来年4月からのペイオフ解禁で銀行の信用リスクが高まりを見せ、必ずしも企業財務がキャッシュリッチだから良いというものでもなくなってきた点は否定できないが、メインバンクに留意しながらのキャッシュリッチ、好財務内容企業を選定していくことは価値のあることだろう。信用リスクの高まりから注目できる財務内容の良好なキャッシュリッチ企業として、今回は化学セクターから期末現在で有価証券をあわせた現預金が50億円以上の企業をピックアップ。更に時価総額がその水準に比べて割安な銘柄を選定してみた。


●伊勢化学工業(4107・東2) メインバンク:東京三菱 時価398円
(本日はイレギュラーに上昇したので注意)

 旭硝子系のヨウ素メーカー。天然ガスや二次電池用のコバルト、ニッケルなどの金属化合物も手掛ける。ヨウ素は人間の成長や人類の発展には不可欠な物質とされ、その用途はエレクトロニクスから医農薬品、食品まで多岐にわたっている。日本は天然資源に乏しい国ではあるが、ヨウ素だけを見ると世界の40%を生産。そのうちの40%が同社であるから、世界の16%を生産しているトップサプライヤーと言うことができる。同社のヨウ素の43%を米国向けに輸出。前12月期決算は円安メリットで3割もの経常増益を達成した模様。有利子負債1億6000万円に対して短期貸付金まで含めた現金残は59億円と豊富。これに対して時価総額は90億円余りにしか過ぎず、360円前後への突込み場面は買いのチャンス。


●東京応化(4186・東1) メインバンク:東京三菱 時価1742円

 半導体用フォトレジストでトップのシェアを誇る。世界的な半導体不況の影響から主力のフォトレジストの需要が減退し、今期業績は大幅にダウン。業績の回復は来期後半からになる見込み。既にBBレシオの回復予測も手伝って、9月25日の1500円安値から株価はジリ高歩調を辿っている。時価総額868億円は現状の収益からは割高感があるが、中間期末段階で505億円もの現金残を抱え、今後も比較的下値は堅いと見られる。


●ソフト99(4464・東2) メインバンク:三和 時価1200円

 カーワックス、補修材などの製造・販売大手。昨年6月に上場した後、今期の業績を下方修正したことから株価は下落の一途を辿り、1000円台前半まで値を下げてきた。売上の7割を占めるコンシューマ用が低調であるほか、半導体業界向け工業用研磨剤なども落ち込むが、来期からはコンシューマ用中心に業績の回復を見込む。無借金経営で現預金は85億円と豊富。時価総額134億円は来期収益の回復を前提にすれば割安感強い。公募価格2000円奪回の動きを期待。


●三洋化成(4471・東1) メインバンク:中央三井、三井住友  時価701円 界面活性剤を中心にしたファイケミカルの有力メーカー。高吸収性樹脂やトナーバインダーが輸出中心に好調な一方、採算の良いコンデンサ用電解液が弱い。競争も激化しており、今期業績は経常減益となる見込み。減配懸念の台頭から株価はここに来て低迷。7月31日の高値1300円から12月18日には650円と半値になった。企業内ベンチャーを育成するなどR&Dにも熱心なことでは定評があり、機関投資家を中心に市場人気も高い。来期の展望が見えないと投資しにくいのであるが、中間期末で有利子負債23億円に対して257億円の現預金を抱え、財務内容は良好なことからこれ以上の下値不安には乏しい。(炎)

 

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2002/01/07 今年当面の相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 新年明けましておめでとうございます。
 今年も億の近道をご愛読賜りますよう宜しくお願い致します。
 また、皆様の株式相場への取り組みも順風満帆なものとなりますことを年頭にあたり祈願申し上げます。

 昨年末にかけて暗いムードが漂っていた株式相場ですが、お屠蘇気分もあってか結構しっかりした展開が続いております。円安基調を背景にした電機・自動車等の輸出ハイテク株人気に加えて、売り込まれてきた銀行株も小泉首相の年頭の所信表明で金融危機を回避するとの発言を好感し、反転上昇傾向を強めてきました。

 ということで、今回はいつもと多少趣きを変えて大発会と本日の相場動向を踏まえて当面の相場展望を語っていきたいと思います。

 4日に2002年の株式相場がスタートしましたが、電機ハイテク株や自動車株などの国際優良株を中心にしっかりした展開となり、幸先の良い大発会となりました。
 本日も寄り付きこそ利益確定売りに伸び悩んでスタートしましたが、引けて見ればしっかりの展開。引けは10942円となり、11000円台乗せにあと一歩となりました。
 これで12月27日以来4日続伸の動き。年末特有の換金売りの恐怖から解放され、多少は前向きに取り組む向きが現れてきたとも言えるでしょう。

 さて、明るいスタートを切った株式相場ですが、この1年の株式相場は昨年にも増して厳しいものが想定されます。テレビなどに登場する多くの評論家の方々の見方では、1−3月に更に厳しい局面が到来するというのが一般的ですから、多くの皆さんが短期的には臆病になって様子見を決めてしまいがちですが、現実には多くの方々の見方とは異なった動きを示すこともありえるから面白い。

 つまり、相場というのは人の心理によって動きますので、理外の理といったこともあり得るのです。現実を見据えて相場の動きを短期的に捉えていくと同時に、重要な局面においては中長期的な視点で展望をしていくことが重要であります。

 月曜のオクチカでは私、炎のファンドマネジャーが慎重かつ大胆に、しかも有力テク二カルアナリストの意見も借りながら相場を解説して参りたいと思います。

 昨年は9月11日の同時テロの発生が相場展開を大きく変えてしまいました。一般的には心配が先に立って一時的には大きな下値模索を演じてしまいましたが、実際にはそうした心配をよそに、あの局面で優良株を中心に買いを入れていた方は利益を得られたことになりますし、JASDAQやNASDAQジャパンなどの小型株や、IPO銘柄に取り組まれた方々は大きなリターンを得られたに違いありません。

 相場を無責任に語ることはある意味では簡単です。相場で儲けるには人が総悲観の時に勇気を持って買い、多くの方々が自信たっぷりに強気を語る時に勇気をもって売り向かうことができるかどうかです。簡単そうに見えてこれが容易ではありません。

 皆さんに儲けてもらうためには回りの意見に惑わされず、冷静に相場を見つめ勇気を持って資産増強へのあく事なきチャレンジに、皆様をいざなう必要があります。
 でも、ことは容易ではあリません。相場の世界は一寸先は闇。不透明なリスクが目の前に立ちはだかっています。とにかく、結果を語るだけで未来の相場を的確に予想することができないのでは役に立ちません。当たりはずれはともかくとして、誠心誠意足下を照らすガイド役を務めて参るよう頑張りたいと思いますのでヨロシク・・・。

 今年は失われた11年(15年)を取り戻す年です。目減りした資産を増加させる気概をもって取り組めば、自ずと道は開かれると信じています。私たちの失われた富が再び戻ってくるようにと、年頭にあたって私の家の近所の布施弁天にも祈願してきました。

 さて、ここからの株式相場のポイントは、不良債権処理に迫られる銀行株の行方と、円安メリットを享受すると見られる電機ハイテク株、自動車株などの展開です。これらはインデックスを押し上げる効果をもたらしますので、相場全体を語る上では大事なセクターとなります。

 但し、ソニーなどのリード役を演じている銘柄も、短期的には行き過ぎの修正もありえます。
 個人的にはソニーやNECなどを外してはいけないとは思いますが、大きな機関投資家ならいざ知らず、個人投資家には様々な選択肢が与えられていますので、ソニーやアドバンテストなどが急騰しているからと言ってあせることは有りません。半導体の需給が良くなってきていてDRAM価格が上昇してきているとのニュースが流れていますが、これも頭に入れておくとしても、余り熱くなる必要はないでしょう。

 ハイテク株はボトムが昨年8月〜10月でしたので、既に先行して上げてきているセクターと言えます。一方で銀行株は直近まで下値模索しており、未だに底値の確認には至っていないかと思われます。3月まではセクター間の綱引き、内容の良い銘柄と100円割れで存亡の危機にある銘柄との二極化相場となって、指数は依然として上値の重い展開となるでしょう。

 それでも今回は日経平均が10月25日の高値11052円、11月27日の高値11186円に挑戦する動きになりつつありますので、ここから数日間は注意深く見守っていきたいと思います。
 また、仮に全体相場が日経平均で11000円以上へと水準訂正してきたとすれば、新たにテーマ性を帯びたセクターが活躍することになるでしょう。既に日経新聞などでは著名なアナリストにアンケートを取ったり、セミナーを開催するなどで有望セクターを皆様に提示しており、その中からはナノテク、燃料電池、ゲノム、環境、ブロードバンドなどのキーワードが示されています。そうした関連企業が物色の対象となって、相場の方向付けが鮮明になっていく局面があるかと思われます。
 本日は突然にナノテク関連のGSIクレオス(8101・旧グンゼ産業)がS高をつけるなどの動きが見られるようになりました。

 今週は4日の小泉首相の「金融危機に対して全力で回避する」旨の異例の会見に加えて、海外株高を背景にした上値追いがどこまで続くかが注目されますが、ここまでの動きからは日経平均は10000円と11000円のゾーンでの展開を余儀なくされており、11000円台乗せで再び頭重い展開となるのかどうかがポイントになるでしょう。ここ2日間で幸先の良いスタートを切った株式相場ではあるが、客観情勢は昨年暮れとは何も変わっておらず、お屠蘇気分が抜けた頃からは現実を再び見つめ直し、持ち合い解消売りや不良債権処理の行方を見守ろうとする慎重な投資態度に変わる場面もあるでしょう。NYダウやNASDAQの変動に左右されることも想定されますので、余り勢いにつられないことです。

 いずれにせよ、1−3月期における相場展開は、今後の日本経済や株式相場の動向を大きく左右する大事な局面になることだけは確かです。理外の理を求めるならば日経平均が意外にも底堅く推移し、12000円接近場面もあるのかも知れませんが、まだ上値の重さは否定できず、再び10000円割れの展開も懸念される可能性も否定できません。このため、戻り売りスタンスを今しばらくは堅持する慎重な態度が求められるでしょう。

 一方で、JASDAQについては日経店頭平均が6日続伸となるなど、堅調な地合が続いております。1月は新規上場銘柄が少ないことから需給は良好で、昨年後半に上場した銘柄を中心に内容を吟味しながらの物色が続くことになりましょう。

 本日は、以前ここでも紹介しましたアトラス(7866)株が775円と、66円高を演じておりますが、これは今月上場を予定していますD3パブリッシャーを意識してのものでしょうか。任天堂やテクモといったゲーム関連が需要堅調でしっかりした展開を続けていることもあるのかも知れません。

 また、今年はブロードバンド関連銘柄等で新たな事業展開を図るベンチャー企業が見直される可能性も否定できず、そうした材料株も一段と物色の対象になるかと思われます。昨年は既にJストリームなどの大化け銘柄が登場しましたが、今年もそうした展開が想定されるでしょう。いずれにしてもJASDAQやNASDAQジャパンなどのベンチャー企業の中から今年も活躍銘柄が続出することになるでしょう。(炎)

 

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